極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

ワインの涙

2011年06月17日 | 省エネ実践記



【ワインの涙で省エネ】 

 

ジョンソン株式会社のスクラビングバブル トイレスタンプクリーナーが話題
になっている。マランゴニ効果だというのだが、耳慣れない方はわかんないだ
ろうなと思うと同時に、いよいよここまで商品化されてきているんだと感心す
る。なぜなら、営利組織の仕事に大いに関係する‘表面張力’との格闘がその
ミッションの一つだったからだ。結論だけ言おう。その結果、静的エンジンあ
るいは静的モータの着想に至ったわけで、液体や流体をその空間に移すだけで、
移動できる機関の開発だ。勿論、可動部を必要としない、超撥水-超親水パタ
ーン形成空間だ(ブログ記載済み)。似たものを参考に掲載する。

マランゴニ対流とは、流体表面の表面張力が不均質になることが原因で流体に
流れのスイッチが入り駆動する対流のことでだ。主に温度差、濃度差が原因と
なる。ひとたびマランゴニ対流が発生すると、流れにより温度や濃度が不均質
になり、特定条件でそれまでとは違う(準定常的:quasisteady)対流が続く。
シリコンなどの半導体材料を溶融し、冷却して再結晶させる過程でマランゴニ
対流が発生するため、均質な単結晶を生成することが難しくなることが知られ
ている。つまり、マランゴニ数は2つの流体が接した界面で起こる表面張力の
局所的な不均一によって生じるマランゴニ対流を支配する無次元数(ゼロ次元)
なのだが、数式で表すと下の式となるという。

 

                      
             
ただし、σ[N/m]は表面張力,ΔT[K]は系の温度差、H[m]は代表長、μ[Pa・sec]
は粘性係数、α[m2/sec]は熱拡散率。

【符号の説明】

10 流路部材 10A 流路 11 液入口 12 液出口 20 ヒータ 30 冷却手段 40 液
40A 液40の自由表面 100 流路部材 110 流路部材

マイクロポンプは、液を駆動するのに「体積力」を用いている。体積力は「駆
動部における被駆動体の体積に比例」するので、駆動部の寸法:Lの3乗に比
例する。駆動部の寸法がある程度大きい場合には液を有効に駆動することがで
きるが、小さくなると体積力は急速に減少しポンプの機能は喪失するため、支
配的となる「面積力」を駆動力として利用する、温度差マランゴニ効果を利用
するマイクロポンプが提案されている。

上記特許の温度差マランゴニ効果を特徴づける「マランゴニ数:Ma」は、液
(説明中の例で2cStシリコーンオイル)の表面張力温度係数:γ、温度伝
導率:k、粘性係数:μ、温度勾配:dT/dx(xは流路に沿う方向で流れ
の向きを正とする。)、駆動される液の代表長さ:h(流路の底面と自由表面
との距離とした。)により、

        Ma={γ/(μk)}|dT/dx|h

で定義される。即ち、マランゴニ数:Maは、温度勾配、表面張力温度係数が
大きいほど大きく、粘性係数、温度伝導率が大きいほど小さくなる。

                      =Ma・kh

また、実際の流量をQとし、この流量:Qと代表流量:Qとの比を比流量:
Q’(=Q/Q)と呼ぶ。

下図(c)に、比流量(縦軸)とマランゴニ数(横軸)の関係を示す。システ
ム1では比流量は、マランゴニ数の広い変化領域において安定しているが、実
際の流量は代表流量の40%弱である。これに対し、システム2では実際の流量
は、代表流量の80%以上である。同じマランゴニ数に対する非流量を対比する
と、システム2は、システム1に対して略2倍近い大きさを有している。代表
流量:Qは、上記の如く、マランゴニ数:Maと代表長さ:hと温度伝導率:
kの積であり、システム1とシステム2においてkとhとは互いに等しい。従
って、システム1、2においてマランゴニ数を同一とした場合には、代表流量
はシステム1とシステム2とで同一である。

 

 

そこで、加熱手段を、パルスレーザとか電子対(ペリチェリ素子)などで自在
にスポット的に或いは二次元的加えれば温度勾配で流体が流れる。なにが言い
たいかというと、ミクロ→マクロにマランゴニ効果を対流として展開させると
省エネ効果が期待できるという話をしたかったのだ。原発事故×猛暑にそなえ
大都市を中心として「遮熱フィルム」「照明間引き」などの動きが活発になっ
ている(「遮熱フィルム」を「薄膜太陽発電フィルム」に変えパワーコンディ
ショナと連動すればもっと良いのだが、この夏には間に合わない)。

 

そこで、一般住居向けには、通気窓を取付け改造することで、温度勾配を動力
とした水平対流、垂直対流の自然対流(自由対流)をつくり暑い夏を涼しく過
ごすというを考えているわけで、住宅設計段階と既築改造の二通りあるが、い
ずれも「太陽光発電+蓄電+自然対流+遮熱」のゴールデンカルテット設計で
考えようというのだ。なお、付け加えるとするなら、既築改造にはコンピュー
タでの数値計算解析は欠かせないから、‘デジタル建築学’という領域を創成
する必要がある。

既築改造方式は、低い位置に2箇所、高い位置に2箇所計4箇所ほどの通気窓
を新たに追加工事するだけで冷房必要しない方式(研究中)。

※「薄液膜内マランゴニ対流における温度勾配方向の影響
※「二方向に温度勾配を付加した薄液膜内マランゴニ対流の研究
※「マランゴニ対流実験の基礎知識
※「マランゴニ対流」河村研究室

※対流とは、流体において温度や表面張力などが原因により不均質性が生ずる
ため、その内部で重力によって引き起こされる流動が生ずる現象である。地球
の大気においては、大気の鉛直方向の運動は高度 0kmから約11kmの層に限られ、
この領域を対流圏と呼ぶ。また地球や惑星の内部では、対流により内部の熱源
から地表面への熱輸送が生じており、地表面の変動を引き起こす原因となって
いる。

近年、計算機の性能が向上し、流体の運動方程式を高精度に計算することが可
能となったため、コンピュータを用いた数値解析による対流現象の研究が盛ん
に行われており、工学的な技術としても重要な分野である。また惑星内部の対
流など、実験・観測が不可能な領域における流体の挙動を理論的に解明する研
究も行われている。



 

      

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