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【ベントをやると聞いたとき時、この会社は終わったなと思った】
「いまだに危機的な状況が続き予断を許さない原発事故。当初の想定を超え、水素
爆発やメルトダウンなどが進行し、後手後手の対応の中で、汚染は拡大していった。
なぜ、ここまで事故は深刻化したのか。事故対応にあたった官邸、保安院、原子力
安全委員会、そして東京電力はどう動いたのか。当事者たちの証言と内部資料をも
とに徹底検証する」(NHKスペシャル『シリーズ 原発危機 第1回事故はなぜ深刻
化したのか』)を観てあらためてことの重大さ、そこから学ぶべき点が浮き彫りに
されていた。当事者達の、特に海江田万里経産大臣のインタビューを観ていてこの
人の腹の据わりようが、誠実さが伝わり言いようのない同情を禁じ得なかった(東
京消防庁の隊員が長時間連続の放水を強制され「俺俺たちの指示に従えないのなら、
お前らやめさせてやる」の発言も取り出されていたが)。
「ベントの手動操作はマニュアル化されていなかった」テレビの女性ナレータの語
りを耳にした時、絶句してしまった。もうこれ以上書くことはないほどの重大欠陥
である。実にシンプルな安全対策がしるされていなかったという。ベント或いは爆
発による影響の告知と予測はセットである。これも情報操作させていた。やはり、
「大本営発表」だった。何度も何度も、録画 DVDを見直したが、それにしても日本
放送は上手く編集しているとも感心した。事態は思った以上に深刻だし、余震、群
発地震、連動地震、天候、そして人災(ヒューマンエラー)ではどう転ぶかもわか
らない。
原子力は核分裂の時、莫大(ばくだい)なエネルギーを放出する。原理は実に
簡単で、問題点はいかに放射性物質を遮断するかに尽きる。ただ今回は放射性
物質を防ぐ装置が、私に言わせれば最小限しかなかった。防御装置は本来、原
発装置と同じくらい金をかけて、多様で完全なものにしないといけない。原子
炉が緻密で高度になれば、同じレベルの防御装置が必要で、防御装置を発達さ
せないといけない
動物にない人間だけの特性は前へ前へと発達すること。技術や頭脳は高度にな
ることはあっても、元に戻ったり、退歩することはあり得ない。原発をやめて
しまえば新たな核技術もその成果も何もなくなってしまう。今のところ、事故
を防ぐ技術を発達させるしかないと思います
人間が自分の肉体よりもはるかに小さいもの(原子)を動力に使うことを余儀
なくされてしまったといいましょうか。歴史はそう発達してしまった。時代に
は科学的な能力がある人、支配力がある人たちが考えた結果が多く作用してい
る。そういう時代になったことについて、私は倫理的な善悪の理屈はつけない。
核燃料が肉体には危険なことを承知で、少量でも大きなエネルギーを得られる
ようになった。一方、否定的な人にとっては、人間の生存を第一に考えれば、
肉体を通過し健康被害を与える核燃料を使うことが、すでに人間性を逸脱して
いるということでしょう
人類の歴史上、人間が一つの誤りもなく何かをしてきたことはない。さきの戦
争ではたくさんの人が死んだ。人間がそんなに利口だと思っていないが、歴史
を見る限り、愚かしさの限度を持ち、その限度を防止できる方法を編み出して
いる。今回も同じだと思う
人間個々の固有体験もそれぞれ違っている。原発推進か反対か、最終的には多
数決になるかもしれない。僕が今まで体験したこともない部分があるわけで、
判断できない部分も残っています
吉本隆明「特集ワイド:巨大地震の衝撃・日本よ!」
2011.5.27 毎日新聞
吉本の言い足らざるを補うとしたら、リスク評価ということになる。さらに、個人
的には、原子力に頼らなくとも太陽光発電だけでも充分対応でき、人類の欲望を満
たすことができるような技術進歩段階にあるとわたしなりに吉本に答えるだろうと。
6月01日 22時59分 京都新聞
琵琶湖抱きしめて、25万人募る 11月催し
今年「びわ湖の日」が制定されてちょうど30周年になります。この節目の年に今一
度、びわ湖の環境を見つめなおし、美しく恵み豊かなびわ湖を守るために、参加者
や県民に環境保全の取り組みの大切さを訴え、考える機会となるよう「抱きしめて
BIWAKO」を企画しました。環境を守る理由はいくつもありますが今回は「命」をテー
マにしています。小さく弱い生き物をはじめ、その他にも多くの命を育むびわ湖。
その小さな命を守っていくことで、その周りの少し強い命も安心して暮らせること
でしょう。それは我々人間にも、同じことが言えます。一人では生きていくことが
できない、そんな弱い命を守っていくことが、福祉の第一歩だと思うのです。「命
の繋がり」という意味では環境と福祉は共通しているはずです。「みんなで助け合
って生きているんだ」ということをびわ湖畔に集まった皆が実感し、今後もびわ湖
の環境を守っていくことを誓う機会にしたいと考えています。
公式ホームページ『抱きしめてBIWAKO』
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