■
世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は5月31日、携帯電話が
使用する電磁波を、発がん性のリスクのグループ「2B」=「人に対する発
がん性が疑われる」に指定した。神経膠腫と呼ばれる悪性脳腫瘍のリスク
が高まるという。2Bは5段階に定義されている発がん性リスクのうち3段階
目。調査の結果は、携帯電話ユーザーと神経膠腫と間に何らかの関連性が
見られるいっぽう、その他のがんについては関連性があるとの結論を引き
出すには至らなかった。職業や環境による差異は認められなかった。
IARCのワーキンググループは、発がん性のリスクを数値化しなかったが、
ヘビーユーザー(毎日30分、10年間)の神経膠腫のリスクが40%高まると
した研究結果があるという。ワーキンググループのグループ長のジョナサ
ン・サメット博士は「2B指定されるには充分な資料がある。携帯電話と発
がんリスクの関係について注意し続けなければならない」とする。2B指定
の物質は 266種類が指定されているが、それらにはクロロフォルム、コー
ヒー(膀胱ガンのみ)、DDT、舶用ディーゼル油、パラジクロロベンゼン、
ガソリン、ナフタリン、酢酸ビニル、溶接の煙などが含まれる。タバコと、
アルコール飲料に含まれるエタノールは、最も危険なグループ「1」=「
人に対する発がん性」だ。しかし、改めて呑んべいにはエタノールの格付
けが厳しい位置にあることに脅威を感じる。^^;
世界の携帯電話の契約数は50億を突破し、500億にまで膨張しそうな勢い
にあるが、無線通信機器から放出される高周波電磁界への暴露から健康へ
の悪影響の可能性について取付懸念されているが、携帯電話の電磁波を、
「発がん性の可能性がある(グループ2B)」に分類されているが、発がん
可能性があるという分類の中では根拠が弱いレベル。物質のほか、職業と
しても消防士やドライクリーニングの従業員などがこの分類に指定されて
いる。このため「根拠はまだ限定的。さらなる研究が必要」とも言及して
いる。97年にできた総務省の委員会が実施した動物実験や、約430人を対
象に行った調査では、携帯電話と脳腫瘍や聴覚神経のがんの発生との因果
関係は証明できなかった。IARCの決定に対し、世界各国の科学者たちが作
る団体は「時期尚早の決定」と批判するコメントを発表している。それで
もこのような決定をしたのは、少しでも健康に害を及ぼす可能性があるも
のは早めに注意喚起する、という「WHOの予防原則」からだという。
とりあえずどうすれば予防できるのか? 体から離して携帯を利用するこ
とで、人体が浴びる電磁波は非常に小さくなることから、結論が出るまで
の予防的措置として、イヤホンとマイクが一体となったヘッドセットを利
用することを勧めている。また、IARCが発表した報告書で責任者を務めた
ロバート・バーン博士は電話会議で、携帯電話のアンテナ塔や基地局で電
磁波を受けるよりも、携帯端末を通じて電磁波にさらされることの方がず
っと危険性が高まると指摘。無線周波電磁界は人に対して発がん性が「疑
われる」としている。
20年前の各国の対応は「限りなく灰色に近い白」(米国)から「限りなく
白に近い灰色」(ドイツ)の幅はあるものの発ガン性に対する明確な根拠
がなかったもののわたし(たち)はこの『デジタル革命』がもたらす無線
文化総体の負の側面が、ミレニュアム新生児が思春期を迎える2015年以降
に顕在化すると仮説している。これは科学技術の進歩と倫理の基本的関係
として不可避なものであり、その顕れの予測・予言・暗示こそが‘知識階
層’の質として問われているんだと思う。
2011年5月10日 Record China
世界中でミツバチが激減、原因は携帯電話の電磁波か―中国メディア
国連環境計画(UNEP)が3月発表したハチに関する報告書→この10年で世
界中のミツバチの数が激減している。北半球での減少が著しく、欧州では
10~30%、米国では30%、中東では85%のミツバチが消えた。その原因を
農薬の使用や大気汚染だとしているが、スイスの科学者たちは携帯電話が
最大の原因だとする見解を示している。携帯電話から発せられる電磁波が
ミツバチの方向感覚を狂わせるというもの。ミツバチは8の字ダンスをし
ながら、羽を1秒間に250~300回振動させ、仲間に食べ物の位置や距離な
どを伝達しているが、実験の結果、電磁波によりその正確性が損なわれる
ことが分かったという。
2011年2月23日 CNN
携帯電話の電磁波が脳細胞の活動に影響 米研究
携帯電話を50分間使用したとき電磁波で脳のブドウ糖代謝が活発化し、脳
細胞の活動が盛んになるとの研究結果を、米国立保健研究所(NIH)の研
究者らが発表。電磁波によって人工的に細胞の活動を盛んにさせることが
健康に悪いかどうかは不明だとしている。
2010年11月14日 NewYorkTimes
携帯電話を信頼すべきか?
「注意:携帯電話を耳のそばで使っていると、あなたの健康を脅かすかも
しれません。身体に接触させず、携帯電話をポケットに入れておくとよい
でしょう」。しかし携帯電話メーカーの法務部門が、携帯電話を人体から
遠ざけておくよう、ごく小さな注意喚起をしていても、消費者はそのよう
な喚起に目が行かない。米国では、2億9200万の携帯電話番号が実際に使
用されており、成年でも子供でも行き渡ってしまっている。2010年6月に
は、米国全世帯の4分の1は通常回線ではなく、携帯電話回線のみを使って
いる。携帯電話端末を日常的に使用していると健康問題が発生するとすれ
ば、多くの消費者の行動に影響を与えるだけでなく、巨大産業へ大きな打
撃を与えることになる。CTIAによると、携帯電話の通話時間は年間で2.26
兆分に上り、携帯電話通信業者に1090億ドルもの収入を保証している。
2010年12月8日 CNN
産前後の携帯電話が子どもの行動障害に影響か 米研究
胎児期から7歳ごろにかけて母親の携帯電話からの電磁波にさらされた子
どもは、そうでない子どもに比べて注意欠陥、多動などの行動障害を示す
割合が高かったとの研究結果を、米カリフォルニア大ロサンゼルス校のチ
ームが発表。研究は疫学と公共保健の専門誌JECHの最新号に掲載。それに
よると、同大のリーカ・カイフェッツ氏らは2万8000人の子どもを対象に、
母親が自己申告した携帯電話の使用状況と行動障害との関係を調べた。妊
娠中に携帯電話を使っていた母親のうち10%以上が、1日に4回以上通話
したと申告。また50%近くの母親が、携帯電話のスイッチを常時オンにし
ていたと答えた。チームによれば、母親が携帯電話をよく使っていたケー
スほど、子どもに行動障害が現れやすいことが分かった。
同氏らは前回、デンマークの国家調査プロジェクトから得られた1万3000
人の子どもたちのデータを分析し、同様の傾向を確認した。ただ当時は母
親たちの間で携帯電話の普及が進んでいなかったため、さらに研究が必要
と結論付けていた。新たな研究では、行動障害の家族歴や母親の育児放棄
といった要因も排除されている。ただ、チームによると、携帯電話からの
電磁波が子どもの行動障害に影響を及ぼす仕組みは不明。母親が電磁波を
受けることで体内のメラトニンと呼ばれるホルモンの分泌が変化し、胎児
の脳の発達に影響するという説もあるが、それも「憶測のひとつにすぎな
い」とカイフェッツ氏は話す。非常に強い相関関係があるとはいえず、母
親の申告の正確さにも疑問が残る。結局、携帯電話が行動障害の原因にな
るかどうかをこの研究から判断することは不可能とみられる。ただしカイ
フェッツ氏は、携帯電話が世界中に普及するなか、健康被害の可能性に注
意を払うのは重要なことだと強調。電磁波を避けるためにハンズフリー装
置を使うよう提案している。
※「電磁界に関する調査研究」
‘いたちごっこ’‘マッチ・ポンプ’というふうな例えられるように「進
歩→倫理」の関係がある。日本が1973年にエコロジカル・フットプリント
を超えた時点で、利便性とその反動をよくよく心しておく必要があったの
だが、わたしが個人雑誌に『引き寄せられる混沌』(1991年)を寄稿した
時は‘バブルの真っ最中’にあり、わたし(たち)の小さな行動は届きよ
うもなく泡沫に消える。その文明力を有り難く享受しつつも、警戒を怠る
ことはなかったし、電磁波のもたらす利便性を享受しながらも、その陰の
側面を怠りなく注視していくことが我が息子達へのささやかなる未来への
贈り物だと考えている。
ラスベガスのギャンブラーたちは、結局は勝った金額より負けた金額
のほうが大きくなる。社会としてのわれわれは、大手銀行や原子力発
電施設や自分たちの住むこの地球を対象にギャンブルをしている。ラ
スベガスの場合と同様、幸運な少数者、すなわちわれわれの経済を危
険にさらす銀行家やわれわれの地球を危険にさらすエネルギー企業の
オーナーは、大金を手にするかもしれない。だが、平均するとほぼ確
実に、社会としてのわれわれは、すべてのギャンブラーと同じく負け
ることになる。
残念ながら、それが日本の災害から得られる教訓だ。われわれが無視
し続けるのなら危険を覚悟しなければならない教訓である。
ジョセフ・E・スティグリッツ
『原発事故と金融危機に共通するギャンブル性』
■