極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

涙を拭いて除染

2011年12月28日 | 時事書評

 

 

【涙を拭いて除染】

 


ことしをひとことでいえば、涙で明け暮れ、だるま状態と締めくくれ
るような気がする。涙で言えば、身近なひとたちとの惜別がつづいた。
そして、9月25日には愛犬とのわかれもあった。それ以上に、3・
11の大画面テレビに放映されるワン・シーン、ワン・シーンに涙し
た。そして、テレビドラマ『坂の上の雲』の連合艦隊離艦式辞の「勝
って兜の緒を締めよ」の件で、10年前に夭折した職場の後輩との惜別
が蘇り大泣きのおまけがついた。



 神明はただ平素の鍛錬に努め、戦わずしてすでに勝てるものに勝
 利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して地平に安んずるもの
 より、ただちにこれを奪う。古人曰く、勝って兜の緒を締めよ

                      『秋山真之起草文』




なんとなれば、彼がこよなく愛した司馬遼太郎の『坂の上の雲』を知
らず説明をわたしが求めたとき彼は「...あの勝って兜の緒を締めよの
名文を起草した秋山兄弟のことを書いた小説です」と話していたその
彼が癌に侵され病を押し、最後の面会にと職場に訪ねてきたのにもか
かわらず所用で留守にしてた悔やみが去来したためだ。「彼との約束
が果たせずまたことしも無為に終わったか」と。そして、日本の百名
山踏破の計画も全く果たせずに、唯々机に座り、朝から晩まで腰が砕
けるかのようにキーボードの打ち込み作業を、あの達磨大師のごとく
座り込み(座禅でなく煩悩を書き散らしただけで)一年を過ごした。

 

 



【除染に走る東芝】

 東芝は26日、トレーラーで運べる放射能汚染土壌処理装置「サリー・
ソイル」を開発したと発表。土壌にたまった放射性セシウムを97%除
去することが可能。1日当たり砂場2面相当分の1.7トンの処理が行え
るという。学校や公園などの土壌や下水処理施設の汚染灰の処理に、
装置と作業員を派遣し、1件当たり数百万円で除染を請け負う計画。
東芝は原子炉など原発関連施設を手掛けているが、福島第1原発の事
故後、国内の原発ビジネスは滞っている。再スタートさせるには、土
壌や水に蓄積した放射能を除去する取り組みの強化が不可欠と判断し
た。新装置は2台のトラックで運搬でき、原発の定期検査時に、機器
に付着した放射性物質を取り除く技術を応用。土壌などからセシウム
を溶かし出し、吸着材を使って除去する仕組みを採用した。縦20メー
トル、横20メートルの校庭であれば、5日で作業が完了する。発生す
る廃棄物は土壌容積の1~4%とのこと(2011.12.27 SankeiBiz)。




そうなんだ、“除染・回収機動部隊”は企業化できるのだと。世界中
の除染を引き受ければ、百年倒産することはない。そこで、その基礎
企業技術をネットで下調べする。

推察するはんいでは、シュウ酸+ギ酸による除染、つまり、シュウ酸
とギ酸の混合水溶液からなる除染液による除染をなっている。また、
工程途中では、シュウ酸とギ酸の混合水溶液からなる除染液中に溶出
する金属イオン(カチオン成分)をカチオン交換樹脂で除去し、土壌
と分離する方式だ。除染終了後は、ギ酸を優先的に分解し、シュウ酸
を優先的に分解する。分解終了後の除染廃液は、カチオン樹脂とアニ
オン樹脂からなる混床樹脂塔に通水して浄化する。炭素鋼製の部材に
シュウ酸(C224)の水溶液からなる除染液を通水すると(1)式
に示す反応により鉄がシュウ酸鉄(Fe(COO)2)として溶解する。

  Fe+(COOH)2→Fe(COO)2+H2 …(1)

参考の特許では、シュウ酸鉄は、溶解度が小さく炭素鋼製の部材の表
面に析出して炭素鋼母材の溶解を抑制する保護皮膜として作用する。
次に、シュウ酸除染液にギ酸を追加し、シュウ酸とギ酸の混合水溶液
からなる除染液を、炭素鋼製の部材に通水すると、以下に示す(2)
式の反応により、炭素鋼母材の鉄が、ギ酸鉄(Fe(HCOO)2
として溶解する。

  2HCOOH+Fe→Fe(HCOO)2+2H2 …(2)

同時に(1)式に示すシュウ酸による鉄の溶解とシュウ酸鉄の析出が
起こるため、炭素鋼製の部材は、母材の溶解が抑制されつつ除染され
る。また、シュウ酸とギ酸の混合水溶液からなる除染液に溶解した鉄
イオンは、カチオン交換樹脂に通水することで除去される。次に、除
染終了後の除染液の分解方法は、、シュウ酸とギ酸の混合水溶液から
なる除染液中のギ酸を、過酸化水素により優先的に分解する。ギ酸は
以下の(3)式に示す反応により二酸化炭素と水に分解される。

  HCOOH+H22→CO2+2H2O …(3)

混合除染液中のギ酸を分解した後に、第4の工程でシュウ酸を優先的
に分解する。このシュウ酸の分解は、以下の(4)式に示すように過
酸化水素とFe2+の反応で生成するヒドロキシラジカル(・OH)の
酸化力によって行う。シュウ酸の分解反応を以下の(5)式に示す。

  H22+Fe2+→Fe3++HO-+・OH     …(4)
   (COOH)2+2・OH→2CO2+2H2O …(5)

シュウ酸の分解反応を持続させるため、(6)式に示すように紫外線
(UV)を照射してFe3+をFe2+に還元する。

   Fe3++UV→Fe2++e- …(6)

シュウ酸を分解した後の廃液は、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹
脂からなる混床樹脂塔に通液して浄化するというものだ(詳しくは、
化学除染方法」を参考)
。除染だけでなく、放射性物質の回収と濃
縮あるいは保管・廃棄のパッケージを確実に企業化しなくては意味が
ないゾと思う。

※上記の化学反応式の鉄をセシウムなどに置き換えることで放射性物
質(重金属系)が回収される。



そうかと思えば、こんな記事も。「国土交通省が26日に新規着工を決
めた北陸新幹線・金沢―敦賀間(福井県)の地元負担分について、福
井県が県税の核燃料税を充てる方針であることが分かった。同税は県
内に原子力発電所を持つ電力事業者から原発立地の見返りに徴収して
いる税金。原発マネーが新しい新幹線の財源の一部になりそうだ。 核
燃料税は、全国最多の原発14基を抱える福井県が1976年に国の同意を
受けて導入。電力事業者が原子炉に核燃料を新たに装填するたびに燃
料価格に応じて課税してきたが、今年6月、原発が停止中でも半額分
を徴収できるように仕組みを変更した。 原発の稼働が続いた場合、5
年間で、関西電力、日本原子力発電、日本原子力研究開発機構から、
燃料価格の実質17
%分の計60億円見積もっている」(2011.12.28 朝日
新聞)。これはケジメのない後味の悪いニュースだ。

 

さて、この国は“限りない欲望”の制御に薄氷を踏むかのような状況
がつづいている。この北陸新幹線も東京一極集中主義と原子力政策が
生み出す核燃料税とが密通し「地方分権」とはほど遠い計画にあるか
のようだ。そうかと思えば、民営化されつつある道路事業では各事業
単位に分断され、通過税(料金)が恣意的に課せられようとしている
(織田信長の「楽市楽座」思想とは真逆の反動と喩えられよう)。根
幹の法整備を国政が担当し詳細運用は各地域行政が担当させることの
原理原則はわたし(たち)が想定する‘超高度分業社会’でも根幹な
のだが、この国は‘極度の分裂症’状態にいるかのように見える。有
り体に言えば、欠陥がみえるから解決の道筋もみえるのだが、“猫鈴”
だけが残されている。こういう時こそ「神様、仏様、ひこにゃん様!
お頼みもぉ~す!」と祈念することに。
                                                     

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