【クローンブーマ】
当世の科学技術進歩甚だしく、これを計り入るは甚だ難儀。それを吉本の言葉を借りれば次のよ
うに「科学技術の使い方が問題になっている」(『緊急避難策としてのCCS』)ということと
交差する。
科学の発達はちょっと止まりようがないからどこまでいくか、ぼくなんか、もうキリが
なくいきそうな気がします。そうだすると、古典的な知識では片づかない。
ぼくはまた社会的なことと結びつけて考えるわけですが、昔は資本が剰余価値を生み出
すから、資本家はそれを自分の利益として、働く人には部分的にしか与えなかった。そ
れがもう少し発達すると、今度は国家が資本を独占して国家独占の資本主義になってい
く。こういう言い方で済んできたけれども、いまはそういう考え方では済まないぞとい
う感じがします。どういうことかといえば、何か権力的なものが介入してくると怪しげ
な方向にいってしまうということではなく、文化とか文明の発達に役立つような装置が
あれば、それをだれがどう使おうと、それ自体が権力なんだというふうに変わってきて
いると思うのです。そう考えたほうがいいのではないか。いや、そういうことを考えに
入れなかったらダメじやないかと思います。
ただし、権力といっても、それは昔のような強権という意味ではなくて、要するに人が
精神的にでも肉体的にでも外界に働きかければ外界が価値化してしまうから、人文系の
文化であっても科学技術と結びつく場面があれば、必ずそれは権力化する。そのもの自
体が権力になっていくということです。それにしろ、それはもう善悪の問題、倫理の問
題ではなく、文化自体か権力だとか、文化が科学技術と結びつくかぎり権力化すると考
えるべきではないでしょうか。ここのところは用心のしどころです。
だから、資本主義の科学技術だけかおかしいのかというと、それはそうではなくて、
資本主義であれ社会主義であれ、科学技術の使い方自体が問題になっているのだという
べきでしょう。いまのような使い方をしていると、自分では獲得したのが知識そのもの
であるかのように思っていても、じつはそうではなくて権力だったというふうになって
いくはずです。
第五章 古典的知識性は淘汰されたか
『「すべてを引き受ける」という思想』
吉本隆明 茂木健一郎 著
金曜日に理化学研究所が、1匹のマウスから遺伝子が同じクローンマウスを作り出し、さらにクローン作
製を繰り返して25世代で計 581匹のマウスを作ったと(理化学研究所再生・発生科学総合研究セ
ンタ)米科学誌セル・ステムセル電子版に発表。それによると、現在は26世代、598匹に達したと
いう。この技術応用すれば、将来は優良な家畜や絶滅危惧種のクローン作製に応用が期待できる。
クローンを繰り返す「連続核移植」は、続けるうちに異常蓄積するので、世代が進むごとに出産
率が低下し、マウスで6世代、ウシやネコは2世代が限界とされていた限界をブレークスルーした
こになる。このチームでは2005年、トリコスタチンA(TSA)という薬剤を使うと異常の確率が低
下し、マウスの出産率が上がることを発見。1匹の雌のマウスをもとに、約7年かけてクローン
を繰り返す。なお、TSAを使わない場合1%程度だった出産率が、最高で約15%になり、世代を経
てもクローンマウスの寿命や繁殖能力などは自然のマウスと同程度で、TSAの副作用もないという
ことも今回分かったというのだ。
要するに神をも恐れぬ領域に急速に踏み込むことで、人間の欲望が織りなす影響などはこれから
準備することになるのだが、着床前診断という生物工学(技法)をどのようなルールの元で利用
するのか否かとか、高度情報工学(技法)を使った情報操作のルールづくりとか、あるいは夥し
無線情報通信端末器の普及による人体・社会への影響などはこれから諸問題が顕在してくる。簡
単にいえば、ワクワクしながらビクビクしてこれを眺めている自分がいるというわけだ。
※特開2009-268423 動物組織からクローン動物ならびにntES細胞を作成するための新規方法
【特許請求の範囲】
1)動物組織の核移植ES細胞(ntES細胞)またはES状細胞を作成する方法(a)該組織
中のドナー細胞を破砕して核を取り出す→(b)高分子ポリオールの存在下で、レシピエントで
ある除核した卵に核を移植する方法。
2)工程(a)の細胞の破砕はホモジナイズ法を用いる。
3)工程(a)が高分子ポリオールを含む培地で行なう。
4)この時、高分子ポリオールがポリビニルアルコール(PVA)である。
5)凍結した動物組織を使用する(前記1)~4)のいずれか1項記載)。
6)動物組織からクローン動物を作成する方法:(a)組織中のドナー細胞を破砕して核を取り
出す→(b)高分子ポリオールの存在下で、レシピエントである除核した卵に核を移植→(c)
作成されたクローン胚を発生させて仮親に戻す方法。
7)前項工程(a)の細胞の破砕をホモジナイズ法で行う。
8)工程(a)が高分子ポリオールを含む培地で行われる(6)または7))。
9)高分子ポリオールがポリビニルアルコール(PVA)である(6)~8)のいずれか1項記
載の方法。
10)動物組織が凍結する(6)~9のいずれか1項記載の方法)。
11)1)~5)のいずれか1項に記載の方法で作成したntES細胞またはES状細胞を動物組
織中のドナー細胞び用いるクローン動物の作成方法。
12)1)~11)のいずれか1項記載の方法で作成さしたクローン動物、ntES細胞またはE
S細胞
13)裸の核をレシピエント細胞を移植す法で、高分子ポリオールの存在下で移植を行う方法。
ここまで打ち込んできて、ベビーブーマならぬクローンブーマという言葉が口をついた。これに
は、ミレニアムブーマという言葉を十年前に造語したことが引き金になっている。ミレニアムブ
ーマはとは高度情報通信端末機器(携帯電話)の劇的な普及期に出生した子供達が十三歳を超え
る、2015年ごろに新しい社会現象(問題)が日本などの先進諸国を中心として起きるだろうとい
う意味合いで使ったのが最初だ。
【ポストメガソーラ】
今夜は、風雨まじりの天候の影響もあり、気管支・肺の部位にまつわる炎症も治まっている。も
う少し詳しことを言うと、空気清浄機の加湿を止めると(相対湿度が50%以下)具合は悪くなる
ようだ(それほど繊細に影響する)。さて、今日は世界のメガソーラのリストアップ作業(米国
編)しながら、なるほど、なるほどと納得しながら、世界はやはり広いなぁと感動していた(や
っけ作業でもあり、苛つくこともあったが)。さて、なるほどと納得しているのはそれだけでな
く、高変換効率である量子ドット太陽電池の製造の実用期が直前に迫っていること、それをやり
遂げることのミッションの再確認と、ある種の自信を、日本以外にそれを担える国はないことを
再確認していることも表裏一体に感じていたことを吐露しておこう。もう太陽電池は「ホストメ
ガソーラ時代」にまもなく突入する。それが実現できれば『贈与経済社会』(=社会主義社会段
階)に自動的に入ると?!おっと、これは大した飛躍だ。^^;