A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

山下洋輔ニューヨークトリオ@草月ホール 2007.11.20(tue)

2007年11月21日 23時07分28秒 | 素晴らしき変態音楽
70年代の山下洋輔トリオの快進撃は凄かった。山下洋輔(p)、坂田明(as,b-cl,歌)、森山威男(ds:後に小山彰太)の3人による演奏はテーマだけを決め、後は3人が全力で即興演奏を繰り広げるというストロングスタイルの格闘技だった。学生運動絶頂期に早稲田大学のバリケードの中で演奏したとか、ピアノに火をつけて燃え尽きるまで炎の中で演奏し続けた、などの伝説、肘打ちや頭突きも繰り出す過激な演奏スタイル、丸刈りの強面のルックス。実際に演奏を観たことはないが、レコードを通じてそのパワーを感じることは出来る。大竹伸朗氏もその演奏に「ヤバさ」を感じ、音楽活動を始めたという。
その山下氏が単身アメリカへ武者修行を敢行し、日本へ戻って様々な活動の後に結成したのがセシル・マクビー(b)、フェローン・アクラフ(ds)との山下洋輔ニューヨークトリオ。闘い続けた70年代とは打って変わってスタンダードも取り入れた比較的穏やかな曲調、ベテランならではの阿吽の呼吸の演奏に移行してきた。
彼らの2007年ツアーのファイナルが赤坂・草月ホールで行われた。ゲスト参加予定だった川嶋哲郎氏(ts)が交通事故のため出演キャンセルというハプニングもあったが、それ故このトリオの本質を感じさせるライヴとなった。来年結成20周年を迎えるということで作った20拍子(!)の曲、故岡本喜八監督の次作映画のために書いたロマンチックな「幻燈辻馬車」という曲、ニューオリンズのリズムの躍動感のある曲、激しいインプロヴィゼーション、美しいメロディーのバラード、定番の「クルディッシュ・ダンス」など多彩な2時間の演奏。
猫が階段を駆け上がるようなコロコロした山下氏のピアノが好きだ。65歳になっても肘打ちを続ける強靭な魂に私は敬服する。

肘打ちと
ベストの似合う
洋輔さん

50年間ジャズの最前線を走り続けてきただけあり、観る人を包み込むような語り口と笑顔が素敵だ。
コメント
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