A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

you me & us/超即興@秋葉原Club Goodman 2013.10.31(thu)

2013年11月02日 00時44分45秒 | 素晴らしき変態音楽


"you me & us JAPAN TOUR2013"
you me & us(デヴィッド・アレン from:GONG / クリス・カトラー from:Henry Cow,Art Bears,Cassiber,The Artaud Beats,etc / ユミ・ハラ from:HUMI,the Artaud Beats,Mammal Machine,etc)
超即興(吉田達也 / 内橋和久)



70年代末に始まる音楽の価値観の変革期において「Rock Magazine」「Fool’s Mate」「MARQUEE MOON」の3誌の果たした役割は甚大だった。現在活動する地下音楽家、特にベテラン勢には、これらのメディアの多大な影響を受けた者が多い。関西アンダーグラウンドにはRock Magazineが深く根を張っている。Fool’s Mateのメイン・アジテイターだった秋田昌美(MERZBOW)が世界のノイズ&アヴァンギャルド・シーンに与えた衝撃力は計り知れなく大きい。MARQUEE MOONは先達誌から溢れ落ちたよりディープな場、ピナコテカやL.L.E.やDD Records等と連動したり、よりプログレッシヴ・ロックに特化した情宣をして、ジャップロックに歴然たるアフターショックをもたらした。

ユーロ・ロックやプログレッシヴ・ロックと呼ばれるジャンルの中でも異色の存在がフランス出身のゴングとマグマだということには異論はあるまい。何故そうなのか、と振り返れば、ゴングは「ラジオ・グノーム・インヴィジブル」、マグマは「コバイア星」という独自の世界を創り上げ、その中で活動していたという事実に行きつくが、加えて日本に於いては特殊な状況があった。

70年代半ばまでの地下音楽マニアはタンジェリン・ドリームやカンやファウストといったジャーマン・ロックか、フランク・ザッパ、キャプテン・ビーフハート、ファッグス、シャッグスといったアメリカの異能ロックを愛好していた。ゴングやマグマはそれらとは一線を画したプログレッシヴ・ロック派に属する存在だったが、70年代末に上記3誌、特に「Fool’s Mate」が両者の世界観の分析を大展開したことで、アンダーグラウンド・ロックとリンクすることとなった。同時期にヘンリー・カウを中心とするR.I.O/レコメンデッド・レコードとスロッビング・グリッスル等インダストリアル/ノイズ系に注力していた同誌の愛読者によって、ゴングとマグマは異端の存在と認められ、我が闘争の同志に迎え入れられたのである。



90年代以降のCDやインターネットの台頭により、世界的にジャンルのフレームが崩壊する。襤褸切れを紡ぎ直すように徐々に再構築された世界で、各分野の異端者が相互リンクし、全盛期たる70年代とは比較しようもなく屈強な共闘体制を整えることとなった背景には世界各地のFool’s Mate的存在の力があったに違いない。

その動きの核となる存在がヘンリー・カウ(クリス・カトラー)であり、ゴング(デヴィッド・アレン)であり、ジャップ・プログレッシャー(ユミ・ハラ&吉田達也)である。彼らが一堂に会する惑星直列的チャンスミーティングが聖地秋葉原の倶楽部良男にて実現。デヴィッド・アレン75歳、クリス・カトラー66歳という年齢に応じて、客層は比較的年齢高め&絶対的男性率高めの2高プログ標準仕様。フロア半ばに座席があるが、前列はスタンディングという意味不な会場レイアウトもプログっぽい。

●超即興(吉田達也 / 内橋和久)

(写真・動画の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。以下同)

吉田達也といえば体型以外はマグマのクリスチャン・ヴァンデを連想するが、プログレッシャーというより変拍子愛好家であることは周知の事実。内橋和久に関しては特別プログ方面との繋がりが強い訳ではないが、アルタード・ステイツや様々なセッションで観た限りでは、単なるギタリストではなくエフェクターも含めたサウンドの魔術師の印象が強い。「今日は前座です」とのMCで始まった両者のガチンコ勝負は、火花を散らせながらも、破綻せずに緊張と弛緩の流れのあるロック色濃厚なカンバセ―ション。吉田のオペラ・ヴォイスと内橋の落ち着きのないエフェクター操作が異能ぶりを際立たせる。「超即興」と名付けたのはジャンル化した「インプロ」との混同を避けるためだろうか。




●you me & us(Daevid Allen/Chris Cutler/Yumi Hara)


キング・クリムゾン(デヴィッド・クロス)、クワイエット・サン/ディス・ヒート(チャールズ・ヘイワード)、ソフト・マシーン(ヒュー・ホッパー)、ヘンリー・カウ(ジョン・グリーヴス、クリス・カトラー、ジェフ・リー)、などプログ/カンタベリー人脈にしっかり根をおろし、今や英国ジャズロックの牽引車といえるユミ・ハラの八面六臂の活躍には脱帽するしかない。アルトー・ビーツの2度の日本ツアーに続くレジェンド・コラボがデヴィッド・アレン&クリス・カトラーとのトリオ、you me & us。深読みしたくなるユニット名だが、真意はユミの言葉を待ちたい。

デヴィッド・アレンについては語り出すときりがないので辞めておくが、先述したカルト音楽誌の影響で2枚組ライヴLPを聴いたが最後、脳内に尖った頭の宇宙人が棲みついてしまい、1989年ロンドンでのプラネット・ゴング(&ハッパ)で初のトリップ体験を経て現在に至る筆者には、顔を拝むだけで怪でんぱれーどに襲われる気がする。蜘蛛を想わせる長い姿態が眼前に迫り目眩がする中、30年前に想像だけで真似ていたグリッサンド奏法の極意を目撃。若造の妄想力が正しかったことに感動する。グリッサンド多用の即興を中心に、「怖がるのは誰?」という自作曲、ゴングやユミ・ハラの曲、エルヴィス・コステロ、ブライアン・ホッパーのカバー、トラウト・マスク・レプリカのサンプリング等ヴァラエティ豊かな構成は、何度も中断しつつも46年間続くゴングの魂が百まで続くことの証明だった。




●you me & us × 超即興


アンコールで全員のセッション。デヴィッドを中央に左にyou me & us、右に超即興の変則ダブル・トリオのスタイルは、オーネット・コールマン『フリー・ジャズ』のダブル・カルテットを意識したのか? リフが奏でられた途端に客席が沸く。ソフト・マシーンの3rdアルバム収録曲だが、決してメジャーではないこの曲で盛り上がるとは、濃厚プログ集会ならでは。クリスvs吉田/デヴィッドvs内橋のドラム'n'ギター対決はアシッド・マザーズ・テンプルや階段コラボを思わせるお祭り感があり、エントロピー発散の効果絶大。



音楽に於ける年輪パワーを見せつけて、アキバの夜は更けていった。

あなたと
わたしと
わたしたち

アメリカに同名バンドありんす。これはこれで好みでやんす。




コメント (3)
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