A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

灰野敬二 Experimental Mixture@恵比寿BATICA 2013.11.6(wed)

2013年11月08日 00時54分25秒 | 灰野敬二さんのこと


BLACK SMOKER RECORDS PRESENTS
灰野敬二 / EXPERIMENTAL MIXTURE Release Party!!!

<DJ>灰野敬二/KILLER-BONG/L?K?O

灰野敬二初のMIX CDを購入する為にクラブミュージック専門CDショップを訪れた。魔除けのお札を思わせる象形文字が描かれた黒い四角形が、カラフルなグラフィックに彩られたRap/Hip Hop/TechnoCD群に囲まれて、つまらなそうに鎮座していた。そもそもクラブミュージック専門店に足を踏み入れることは滅多にない。一応エサ箱を眺めると、名前だけは聞いたことがあるアルファベット列が目に留まる。似たようなガングロB系ボーイズが並ぶジャケットからは音の想像はつかない。ボトムの太いエイトビートとチェケラッ!ヘイメーン!アジテーションが溢れ出るのだろう。未知の音楽の宝庫だが、残念ながら筆者の感性への訴求力はアキバ系18禁コミックショップの百分のイチのセックス・アピールもない。かと言って灰野のCDがとらのあなに並ぶ光景も不条理極まりない。紛い也にも音楽仲間に埋もれている方が無難かもしれない。



それは兎も角、MIX CDを買うのは同じくBLACK SMOKERの中原昌也MIX CDに次いで生涯2度目。苦情覚悟でフルヴォリューム鳴らすべきか、iPODに入れてヘッドフォンで聴くべきか、行きつけのカフェでBGMとして流してもらうべきか、どう聴くのが相応しいのか判らない。普通のMIX CDはどうなのか知らないが、BLACK SMOKERのCDには曲目もアーティスト名も書いておらず、1トラックしかない。曲をスキップすることが出来ないので、一度再生したら一気に最後まで聴かなけらばならない。流行の曲名判別アプリを使えば曲名は判明するだろうが、だからといってMIXの意味が解明される訳ではない。既存の楽曲を並べただけだが、選曲・繋ぎ・流れの中にDJのセンスが発揮されている。他人の曲で自己主張する訳だ。他人の褌で相撲を取る?人の振り見て我が振り直せ?隣の曲はよく客喰う曲だ?以前考察したように灰野敬二のDJは踊らせたりリラックスさせたり盛り上げたりする意図は全くない。楽器演奏やヴォイス・パフォーマンスと同様に、灰野自身の内から滲み出る慈愛に満ちた情念を音として体外に投射する方法論に基づく。DJでは楽器や声の代わりにCDを使うのだ。BLACK SMOKER総帥KILLER BONGがカオスパッドを使うように、灰野はDJプレイにドラムマシーンを絡ませる。黒いレースのカーテンの向こうで、灰野身体を激しく揺り動かすのが見える。



PAから吐き出される圧縮された音の暴力に身体ごと連れ去られるような脅威を感じつつ、ミラーボールの光を目で追うと幽体離脱の恐れがあるので目を固く閉ざす。Eyes Wild Shut状態で身体にのしかかる音の重みを感じ、床の震動が足元から背骨を伝わり頭蓋に達し脳漿をシェイクさせるのを感じる。狭い空間に30人以上集まった観客は夢遊病者のようにゆらゆら蠢いている。魂を操るのが灰野マジックであるならば、このクラブの空間は魔術の箱庭に他ならない。同じ経験をCDに求めても無理。灰野敬二の世界は五感すべてを総動員して感じるべきだから。それでもこの銀盤には魔法の種のパウダーがふりかけられているのは間違いない。五感のうち聴覚のみに頼った受容体験は、あたかも純度の低いヘロインを摂取するように、生命を賭けた危険行為である。禁断症状が出たらすぐに霊験現たかなジャケットを胸に当て、灰野の愛に満ちた言葉を唱えるのがご長寿の秘訣であろう。



DJと
呼ぶから余計
わからない

KILLER-BONGとの共演が実現!
11/29 fri 渋谷Club Asia
BLACK SMOKER RECORDS PRESENTS
"EL NINO"
ARTISTS: 灰野敬二, KILLER-BONG, DOOOMBOYS(BLACK MOB ADDICT),
skillkills, Fumitake Tamura (Bun), ROKAPENIS, YAZI, VIZZA, KLEPTOMANIAC.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする