アイドル、カオス、フリージャズ、お年寄りなど、関心空間メインラインがそれぞれ冬支度の準備をする中で、トレンドセッターUKロックもウィンターキャンペーン中。ノルウェーではクリスマスの装飾の解禁日が12月1日と決まっており、11月中のデコレーションは厳禁。筆者が13年前に訪れた時は、前日までは何の変哲もない商店街だったのが、ひと夜明けた途端に車道がスケートリンクに変わり、クリスマスツリーの大木が立ち並び、四方八方からジングルベルや赤鼻のトナカイが聴こえ、厚着したちびっ子軍団が走り回るX'masの狂乱が吹き荒れて腰を抜かした。しかしロケンローに解禁日はいらない。衝動に駆られたその瞬間に行動を起こしてこそR・O・C・Kである。冬眠とは無縁の英国ロックの加熱放射に火傷せぬようご用心。
●ジェイク・バグ
ノッティンガムから流星のように出現したロッケン・シンガーソングライター、ジェイク・バグが2ndアルバム『シャングリ・ラ(理想郷)』をドロップ。テン年代のワーキング・クラス・ヒーローに相応しいダミ声とザラついたフォーキーサウンドは、エアロ、レッチリ、ビースティなど大物を手掛けたリック・ルービンと組んでも、どこか垢抜けない下町情緒たっぷり。コスい盗っ人に扮したドタバタ劇は、ジェイクの実体験か?
●フランツ・フェルディナンド
グラスゴー出身の21世紀UKロックの首領フランツ・ファーディナンドは真夏リリースの4thアルバム『ライト・ソーツ、ライト・ワーズ、ライト・アクション(正しい思考、正しい言葉、正しい行動)』を携えて来日中。ゴツいルックスのフロントの2人はゲイ疑惑もあるが、フォールやPILをポップと切り捨て、フラワー・トラヴェリン・バンドやボアダムスを愛聴するアングラ人でもある。
●ザ・フラテリス
同じくグラスゴー出身のフラテリスは全員フラテリ姓を名乗る偽装集団。フラテリは「兄弟」の意味だからブラザー・トゥ・ブラザーでジノ・ヴァネリっぽい。2009年に活動休止し、今年復活、3rdアルバム『ウィ・ニード・メディシン(ヤクをくれ)』をリリース。3年間の不在は休暇ではなく、七日七晩闘ってきた、と言い訳する。
●テンプルズ
ミッドランズ出身の新鋭さいけ組テンプルズ(寺院)は日本独自盤『シェルター・ソング e.p(避難の歌).』で本邦デビューを飾り間もなく来日。11月29日にタワレコ渋谷でインストア(観覧フリー)。2014年2月にデビュー・アルバム『Sun Structures(太陽構造)』をリリースする。メンバーの自宅の物置部屋にてレコーディングされたというが、非常に理解のあるご近所さんに恵まれた。「いつも謝ってばかりなんだけど、彼(ご近所さん)は『これは騒音じゃない、音楽だから』って言ってくれるんだ」。愛情に育まれたアットホーム・サイケに期待。
●マキシモ・パーク
ニューキャッスル出身のエモギターバンド、マキシモ・パークは2014年1月29日に2年振りの5thアルバム『トゥー・マッチ・インフォメーション(情報過多)』をリリースする。「俺たちのリリックと音楽は気取ったスタンスじゃない。俺たちはエモーショナ ルなバンドなんだ。感情に正直過ぎるがまでに、時にToo Muchと受け取られることがあろうともね」という通り、過剰なエモ魂の暴走に正月気分が吹っ飛ぶこと請合い。
●the 45s
カーライル出身の高校生4人組。R&Bやパブロックに憧れるティーンエイジャーとくればザ・ストライプスを髣髴させるが、まさに同じ穴の貉。ウィルコ・ジョンソンのお気に入り。ストライプスがストーンズなら、The 45sはダウンライナーズ・セクトといえるだろう。デビュー・シングル「It Ain't Over(終わりはしない)/ Devil of a Woman(女の悪魔)」をリリースしただけなので、日本デビューは未定。未上陸のまま通好みを貫いてほしい気もする。
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