A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ZEK3=清水くるみ+米木康志+本田珠也@合羽橋なってるハウス 2014.2.13(thu)

2014年02月15日 00時49分56秒 | 素晴らしき変態音楽


1月21日新宿ピットインでの「本田珠也SESSION」で、本田がヘヴィメタルバンドSAXONのTシャツを着ていたのが気になり、彼のブログをググったところ、たいへん興味深い記事を見つけた。「Led Zeppelin そして ZEK3 へ」と題された記事の中で、本田はエルビン・ジョーンズにボンゾ(ジョン・ボーナム)を感じ、ジャズも楽しそうだと思ったのが、ジャズを始めたきっかけだと述べている。「これほどゼップ(いやボンゾかな)に造詣の深いジャズ(とは微塵も感じていないけど)ドラマーも、いないと思います」と記す通り、マニア度高めの一面はブログを参照していただきたい。要はツェッペリン好きなロック少年が父親と同じジャズの道に進んだのは、ボンゾになれると思ったからなのだろう。



ピットインでのセッションはもちろん、それ以前に観たライヴでも非ジャズ的な激烈プレイを聴かせた本田が、「このバンドを聴くということは、僕のドラムが解かるということ」と語るZEK3というトリオが俄然気になった。スケジュールをチェックし、このLed Zeppelinの作品のみを演奏するピアノトリオの直近のライヴを観に行くことにした。

ZEKトリオ/清水くるみ(p) 米木康志(b)本田珠也(ds)

Led Zeppelinの曲を演奏する超ヘビー級のピアノトリオが遂に「なってるハウス」に出演。必見です!!


ZEK3(ゼックトリオ)のメンバーは本田(ds)と清水くるみ(p)と米木康志(b)。80年代から活動する清水は作家の胡桃沢耕史の娘でジャズ・ピアニスト渋谷毅の妻。米木は今年62歳のベテラン・ベーシストで、本田珠也の父・本田竹曠率いるネイティヴ・サンに珠也と共に参加していた。三人の中で唯一Zeppelinの来日公演を観たという。ZEKとはレッド・ツェッペリンの「ZEP」と「絶句」をもじった名前で、こんなユニットは世界に唯一なのでみんなが絶句するだろうという意味。本田の記憶によれば、以前清水とのセッションをした時にツェッペリンの楽曲があり、ZEP好きな本田が食いついて「ツェッペリンの曲だけのセッションをやろう」と提案したことがきっかけだとのこと。清水にとってもレッド・ツェッペリンは文学少女だった頃からのアイドル的存在とのことで、レギュラーユニットとして全国ツアーすることになる。林栄一(as)を加えたZEK4や大編成のZEKオーケストラもある。


(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

ZEK3が、西荻窪アケタの店と並ぶフリージャズの殿堂、なってるハウスに初出演。開演前に清水と米木が楽譜を見ながら曲順やアレンジを話し合っている。ステージに上がった3人はお揃いのブラックの「ZEK」Tシャツ。清水が軽く挨拶、5曲目は未定とのこと。筆者の愛聴盤はライヴLP『永遠の詩』なので正直ZEPは余り詳しくないが、有名曲を期待していた訳ではなかったので曲を知らなくても問題ない。メロディやコード進行はZEPのオリジナルに準じているので、所謂ジャズ的なテーマとソロの繰り返しではなく、ストーリー性のあるドラマチックな演奏が展開される。その流れの中で各自が時に破天荒に、時にメロディアスに繰り広げるプレイが面白い。フリージャズのスポンテニアスな即興ではなく、ひとつのグルーヴに貫かれたアドリブは、3人が進む方向を同じくしているが故に、完全即興よりずっとエモーショナルで、ずっとエクストリームで、ずっとジャンルレスな表現が生まれる。ZEPフリークの3人らしく、セットリストはかなりレアな曲で占められたが、聴き覚えがあろうが無かろうが、ツェッペリンならではのブルース感覚が強調された演奏に聴き手の心は激しく幻惑される。もちろん歌いながら演奏するミュージシャン自身も同じくDazed & Confusedされているに違いない。



アンコールを含むラスト2曲の有名曲が、祭典の日さながらに胸いっぱいの愛を喚起してカタストロフをもたらした。このトリオに絶句するのは生演奏に接したことが無い者だけだろう。誰でも一度ライヴを経験すれば、類い稀な「絶頂感」(Z)と「悦楽」(E)と「感動」(K)に包まれることは間違いない。このトリオをぜひダンスホールか夏フェスで聴いてみたい、と思ったら、7月の宮崎フェニックス・ジャズ・フェスティバルに出演が決まったとのこと。ZEK3を南国の太陽の下で楽しむことは天国への階段を上るような経験に違いない。




[Set List](収録アルバム)
1ST
1. WE’RE GONNA GROOVE (Coda)
2. KASHMIR (Physical Graffiti)
3. THE WANTON SONG (Physical Graffiti)
4. SINCE I'VE BEEN LOVING YOU (Led Zeppelin III)
5. FOUR STICKS (Led Zeppelin IV)

2ND
1. OVER THE HILL FARAWAY (Houses of the Holy)
2. WHAT IS AND WHAT SHOULD NEVER BE (Led Zeppelin II)
3. FRIENDS (Led Zeppelin III)
4. THE RAIN SONG (Houses of the Holy)
5. IMMIGRANT SONG (Led Zeppelin III)

ENCORE
- ROCK AND ROLL (Led Zeppelin IV)

飛行船
永遠の詩を
奏でます

写真で分かるように下手ドラム側で観たので、ドラムの音が圧倒的に大きく響いて来た。まるで水を得た白鯨(Moby Dick)さながらの溌剌としたプレイだった。
コメント
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