TAMAYA HONDA 非常禁!
【MEMBERS】本田珠也(Ds)坂田 明(Sax)JOJO広重(G)
本田珠也がお送りするスペシャル・セッション。叩きまくり、吹きまくり、弾きまくり!「非常禁」だけに、先の読めない展開の1夜。音の洪水に飲み込まれる爆音ナイト、となりますか!
JAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISEJAZZNOISE
先日の渋谷タワーレコードのトークショーで「アウェーなライヴ」とJOJO広重が語っていた新宿ピットインでの「非常禁!」。2013年5月大阪・春一番でF1トリオ(坂田+本田+高岡大祐)と広重+Junkoのセッションがあったが野外の大ステージでのひと枠だったので、ひとつのコンサートまるまる完全共演するのは初めて。特に史上初の本田と広重のガチンコ対決が興味深い。一方、本田がほぼレギュラー的に共演する坂田明とは、広重もJAZZ非常階段で何度も共演しているが、いくらJAZZ非やJAZZBiS階段で蹂躙したとは言っても、やはりジャズの聖地48年新宿ピットインの揺るがぬ重圧の下では、みんなの表情がジャズっぽくなるのは致し方ない。
広重が非常階段を離れて、畑違いのミュージシャンとガチでセッションするのは、2003年8月6日吉祥寺Manda-la2で行われたJOJO広重+小沢靖(b/不失者)+石塚俊明(ds/頭脳警察)以来。もう11年前になるが、故・小沢靖が不失者以外のユニットでベースを演奏した[6/12 09:55訂正]
●JOJO広重+本田珠也
(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)
最初は広重+本田。はじめから両者がフルスロットルの演奏。最初に手の内を明かしてしまおうという意図か。一歩も引かない激音バトルが暫し続くが、中盤で波が引くように音圧が低くなる。本田の細かいフィルインに広重が薄いフィードバックを被せる。ロックかジャズかという線引きはしたくないが、本田のプレイは、力技に頼りがちなロックドラマーとは全く異なり、一打一打が命を持って舞い上がり、連続した流れと感情の波を描き出す。その意味では非ロック/非ジャズと言うしかないのかもしれない。
●坂田明+本田珠也
2セッション目は坂田+本田。F1トリオをはじめとして共演歴の長いふたりだが、デュオで演奏することは余り多くないのではなかろうか。坂田のクラリネットに、シンバルの弓弾きのドローン音を重ねる本田のプレイは、昔なじみの手慣れた安心感ではなく、一期一会の出会いの緊張感と歓びが濃厚に感じられた。細いロープの上を爪先立ちして歩くような注意深いプレイが絡み合い、徐々に大胆な冒険が加わり、最後に雷鳴ドラムがクラリネットの絶叫を誘発する恍惚のエンディングに雪崩れ込んだ。
●坂田明+JOJO広重
前半のラストは坂田+広重デュオ。JAZZ非での共演は常にトリオやグループだったので、ふたりきりの演奏は、2年前に渋谷アップリンクでの「ノイズ大学」で10分程度セッションして以来二度目。前回がトークショーの余興に近かったことを考えれば、刺しの真剣勝負は初めてと言って良かろう。フリーキーにブロウする坂田のアルトに、広重はフィードバックをエフェクターでコントロール。ギターというよりエレクトロニック・ノイズと呼ぶ方が相応しい、空間を切り裂く高周波を巻き散らす。割れるガラス、鋭い氷柱の刃、稲妻の閃光、牙を剥き出した狼の群れに襲われる恐怖。様々な夢想が頭の中を駆け巡る。耳に痛い轟音にも関わらず、イマジネーション豊かな芳醇な時間だった。
●本田珠也+坂田明+JOJO広重
後半は待望のトリオ。三者三様に技を尽くして、一瞬たりとも気を抜けない、三つ巴のハイテンションな音模様をカタチ作る。前半のデュオのどれとも似ていない特殊な音宇宙は「3x3=∞」級のビッグバンに違いない。坂田は途中でサックスを置いて、ハンドベルを鳴らしながらハナモゲラ語の激烈歌唱を披露。演奏のテンションが嫌が応にも高まる。大らかなサックスが広大なアジアの平原を想起させ、ドラムのトリルが大地を揺らし、痙攣ギターがスコールを降らす。ジャズもノイズもロックも関係なく、創造性に溢れた音楽表現の極みに酔い痴れた。
●論考「JOJO広重はギターヒーロー」
広重はピックを使わず、弦を弾(はじ)いたり擦ったり撫でたり叩いたり、とても繊細な指さばきでギターを鳴らす。「ノイズギター」というと大抵エフェクターの種類とか、アンプのセッティングとか、機材面で語られることが多いが、どのように弦を弾いて(もしくは弾かないで)音を鳴らしているか、というギター演奏の基本のキを抜きにしては、リアルなノイズを生み出すことは出来ない。また、足を広げ身体の前にギターを構えるロック風アクションは、長年の経験で覚えた微妙なフィードバックを調整する為の動作スタイルなのである。グループ演奏では大音量で耳障りな騒音を発して暴れているだけのように見える広重のギタープレイは、実は丁寧に練り上げられた職人技(ワザ)なのである。先日ギタリストの復権を願ったばかりだが、思わぬところに隠れたギターヒーローを発見した。非常階段結成35周年にあたる今年、「プレイヤー」「ギターマガジン」「ヤングギター」各誌は、可及的速やかにJOJO広重を巻頭特集すべきであろう。
⇒エクストリーム@昭和女子大学 人見記念講堂 2014.6.8(sun)
ギター弾き
ノイズもジャズもロックもメタルもパンクもブルースもカントリー&ウェスタンも演歌も関係なく
カッコいいもん勝ち
【特別付録】
カッコイイ!JOJO広重ピンナップ *プリントアウトして部屋に飾ろう!