A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

シベールの日曜日/UP-TIGHT@神楽坂EXPLOSION 2014.6.27(fri)

2014年06月29日 02時21分12秒 | 素晴らしき変態音楽


THE NEXT ONE

シベールの日曜日
UP-TIGHT



10年程前シベールの日曜日とUP-TIGHTはそれぞれ函館/浜松で活動し、ユニークなサウンドで異彩を放った。当時裸のラリーズを引き合いに語られた彼らは、当然ながらその影響下から進化を重ね、オリジナルのスタイルを確立している。そんな二バンドが、ラリーズの代表曲「THE LAST ONE」を否応無く想起させる「THE NEXT ONE」というタイトルを冠して対バンすることには、どんな意図があるのか。大きな興味を抱いて、10数年ぶりに神楽坂のライヴハウスへ出向いた。記憶よりずっとボロくて年季の入ったエクスプロージョンの異様に大きいPAスピーカーからラリーズが流れている。家のオーディオやiPODで聴くと録音の悪さばかりが気になるラリーズのライヴ音源は、地下クラブでそれなりの音量で聴くと、実は実際のライヴ演奏に極めて近い音響であることに気付かされる。目を閉じて聴いていると、21年前に体験したライヴの耳鳴りが蘇ってくる。

UP-TIGHT

(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

浜松に根を下ろしマイペースな活動を続けるUP-TIGHTを観る度に、信念を貫くことの素晴らしさとその重みをヒシと感じる。最近は音楽に限らず感動というものが、とみに刹那的になっているように思う。演奏なり映像なり物語なり、体験してすぐその場で「泣ける」「染みる」「響く」「アガる」ものでなければならず、一回で感じなければ、置き去りにして次を求める。そんな時代にUP-TIGHTのようなタイプは理解されにくいのかもしれない。深いエコーの中から立上がる不気味なメロディー、淡々とフレーズを繰り返すリズム隊、ガラスのように繊細なストロークが突如ファズの嵐で荒れ狂うギター。三人が息を合わせをイチ撃を打ち鳴らす瞬間のエクスタシー。青木智幸の感情移入過多のような激しいアクションは、澄み渡った意識があってこそのパフォーマンス。阿吽の呼吸、という紋切り型の言葉では説明し得ないトリオの一体感は、やはり土地に根ざしたシンパシー故であろうか。




シベールの日曜日


昨年11月に14ヶ月ぶりにライヴを再開したシベールの日曜日は、今年に入ってコンスタントに活動を続けている。坪内和夫の卓越した美意識をバンドとして表現することは困難な作業に違いないが、現在のカルテットは坪内の脳内ヴィジョンの具現化のレイヤーとしては申し分ない。ジミヘン風のファンキーなギターをフィーチャーしたガレージロックからスタートし、次第にシンプルなバッキングにギターが縦横無尽に暴れまくるドープな世界が展開する。クラウトロックやミニマルミュージックの酩酊感に近いが、ゴリゴリした生命感溢れるサウンドはより覚醒的で危険な世界である。最新アルバム『TSUBOUCHI』でシド・バレットの世界へ旅立つかに思えた坪内が未だ正気で歌っているのは、信頼出来る仲間の存在があるからなのかもしれない。



BGMのラリーズはいわば、出演者と来場者の気分を「アゲる」ための触媒に過ぎず、ふたつの精神が奏でるメロディーこそが、真実の裏側に迫るリアリティーであること。それこそ「最後の者(THE LAST ONE)」の先を目指す「次の者(THE NEXT ONE)」に違いないこと。それを高らかに宣言する一夜であった。

次にくる
サイケの夜を
忘れない


コメント
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