山口小夜子展イベント『小夜子 光と闇の夜』
「山口小夜子 未来を着る人」展関連イベントとして、小夜子に捧げる夜会「小夜子 光と闇の夜」を開催します。
古典的な美のミューズである一方で、常に新しくオルタナティブな表現の追究者でもあった山口小夜子。そのスピリットを彼女と分かち合い、ともに活動したミュージシャン、映像作家、ダンサーたちが一堂に会し、その濃密な表現世界をよみがえらせます。一夜限りの豪華な競演をお見逃しなく!
日時|2015年5月30日(土) 18時半開場 19時開演
主催|東京都現代美術館
場所|東京都現代美術館エントランスホール
出演者|
A.K.I.PRODUCTIONS、宇川直宏(with ハチスノイト)、PLASTICS(立花ハジメ、中西俊夫)、黒田育世、伊東篤宏、灰野敬二、生西康典×掛川康典(飴屋法水、萌(Moe and ghosts)、藤田陽介)、山川冬樹
料金|3,000円(オールスタンディング)
山口小夜子の名前は知っていたが、回顧展が美術館で開かれる程大きな女性だとは不勉強にも知らなかった。10年ほど前「蒙古斑革命」というウェブサイトに灰野敬二との対談が掲載され、ファッションモデルが一体何故?と思った位である。そのウェブサイトは既に閉鎖、同じ対談が『ソトコト』という筆者に縁も所縁もない雑誌に掲載されたのを、確か持っていた筈だが見つからない。どんな内容だったか具体的には覚えていないが、相手が誰でも灰野の話にブレは無い、と持ったことだけは覚えている。同じ頃に別の企画で内田裕也との対談もあり、今思えば21世紀に入って灰野やマイナー文化への関心が高まっていた時期と言えるかもしれない。
2015年4月11日(土)から6月28日(日)まで東京都江東区清澄白河の東京都現代美術館で開催の展覧会「山口小夜子 未来を着る人」には、音楽や芸術に深い関心と繋がりを持っていた山口小夜子に因んだ映像作品やインスタレーションも展示され、宇川直宏、山川冬樹、生西康典、掛川康典、エキソニモ、森村泰昌などが参加している。小夜子の声と共に灰野や飴屋法水の声も使われているらしい。らしいというのは筆者がまだ展示を観ていないからであり、この日参加したのは展示の時間が終了後、照明の落ちた美術館エントランスホールで開かれた関連イベントである。暗いロビーの突き当たりにステージが設置され、観客は床に座って眺めている。足元が見えないくらい暗く、何基かある照明ライトの他は、スタッフの懐中電灯と戸外を走る車のヘッドライトだけ。
出演順:各15分のパフォーマンス
1. A.K.I.PRODUCTIONS
床に響く低音ビートに通り過ぎる警備パトカーのライトの点滅がナイス演出。
2. 宇川直宏(with ハチスノイト)
スクリーンに小夜子の肖像コラージュを映し、対面してモジュラーシンセを操る宇川の捧げ方。
3. PLASTICS(立花ハジメ、中西俊夫)
二人プラスチックス。リズムボックスがあれば何処でも出来るテクノポップはApple Watchを35年先取りしていた。
4. 黒田育世
ラベルの管弦楽で踊るダンサーのバネのしなやかさは、布が風に舞うのと同じ。
5. 伊東篤宏
点滅照明灯が目に痛くて俯いていたら突然襲った地震の横揺れがナイス演出。
6. 灰野敬二
厄払いのOTOの火打石とホールを満たす声明が天空の扉を開いた。
7. 生西康典:構成/台本/掛川康典:映像/飴屋法水、萌(Moe and ghosts):朗読/藤田陽介:演奏と歌
火と旅をテーマにした語りの劇は音と言葉の先にある道行きへの誘(いざな)い。
8. 山川冬樹
客席から現れた仮面女子は奇声を上げる野獣の変化。人間界と天空界の亀裂に生じた降臨の儀。
暗いロビーを歩きながら、山口小夜子という女性の存在が自分の心の中で膨らんでいくのを感じていた。近いうちにまた小夜子に会いに来なければならない。
⇒『山口小夜子 未来を着る人』展イベントレポート
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