最近初めて当ブログを読んだ方の目には、筆者の興味は前衛ロックとフリージャズと女子音楽とネコに限られているように映るかもしれないが、実は基本はRock'n'Roll、筆者的に言えばロケンローである。13歳の時初めて買ったLPはジョン・デンバーのライヴ盤だが、ラジカセでエアチェックしたカセットで愛聴していたのはベンチャーズ「十番街の殺人」やエルヴィス・プレスリー「監獄ロック」だった。いわゆるオールディーズだが、70年代ヒットポップスにはない、シンプルなロケンローの魅力に痺れていたのだ。2年後に15歳でパンクに気触れる下地は既に出来ていたのである。
バンドは中学時代はキッス、高校ではピストルズやジェネレーションXやクラッシュのカヴァー。大学のサークルで結成したバンドは、最初のうちこそ女子ヴォーカルのパワーポップをカヴァーしていたが、オリジナル曲を始めるとポジパンやネオサイケ風のダークな曲ばかりなった。大学卒業後はサイケにハマり背中までの長髪にベルボトムパンツのヒッピー野郎に転じた。バンドブームが盛り上がり、タテノリビートパンクや和風パワーポップが隆盛を誇る中、それに背を向けお香臭いラーガロックや変拍子ナンバーに没頭したので、ロケンローバンドは高校以来やったことがない。しかし、アルバム全曲コピーして、ギターを構えて鏡の前でポーズつけたり、ジャンプをしたり、腕を回したりして、法悦・恍惚・昇天していたレコードがある。特にスコットランドのパワーポップバンド、レジロスの1st『Can't Stand The Rezillos(邦題:レジロス登場』(1978)は、一度はバンドでやってみたかった。
ネットで見つけたThe Birthdayのチバユウスケの選曲を見て、心の奥のロケンロー魂がムクムクと沸き上がるのを感じ、ハチキレそうなロケンロー愛を思い切り解放するために、二連荘でベテラン男女ロケンローの現場に赴くことにした。
⇒「ライヴがかっこよすぎて3日間飲み続けた(笑)」──チバユウスケ(The Birthday)が選ぶ「不滅の名盤 」×「MUSIC SOUP -45r.p.m.-」
Quattro x Quattro Tour '15
The Birthday
オレ的ロケンロー三羽烏のひとりチバユウスケは、今年前半はTHE GOLDEN WET FINGERSでの活動で忙しかったが、結成10周年を迎える本隊のThe Birthdayの活動も本格化し、「I KNOW」「MOTHER」の2枚のシングルをリリース、広島・難波・名古屋・渋谷の4大クラブクアトロ・ツアーを敢行。最終公演ソールドアウトの渋谷は、男女半々年代若めのフレッシュなロケンローヲタんじょうびパーティーになった。
「情熱のブルース」という曲名がThe Birthdayの世界をうまく言い表していると思う。意外に一本調子でキャッチーなサビが必ずしもある訳ではないチバの曲に漲っているのは、4人のメンバーのPASSION(情熱)に他ならない。ライヴパフォーマンスに於いては、4人が一丸となって同じ方向へ走ると云うより、個々の情熱を思い思い自分のプレイに込め、ステージ上で絡み合い時にぶつかり合うことで、摩擦熱を含めた熱量の高いエナジーが、場を共有するオーディエンスや、画面やオーディオの向こうにいる聴き手の身体と心に情動の波を起こす。「Come Together(一緒になろう)」と呼びかけ「READY STEADY GO」の合言葉でロケンロー天国に導くのである。
1 BUDDY
2 I Know
3 NIGHT LINE
4 JOIN
5 ダンス・ナンバー
6 PIERROT
7 情熱のブルーズ
8 stupid
9 BECAUSE
10 STORM
11 BABY YOU CAN
12 シルエット
13 なぜか今日は
14 星の首飾り
15 くそったれの世界
16 Waltz
17 MOTHER
アンコール
18 Come Together
19 READY STEADY GO
アンコール2
20 ローリン
9月15日日本武道館公演LIVE AT NIPPON BUDOKAN 2015"GOLD TRASH"開催
9月16日BESTアルバム「GOLD TRASH」リリース
PERSONZ
ROAD TO BUDOKAN FINAL
DREAMERS ONLY SPECIAL 2014-2015
バンドブーム当時はサイケ道一筋だったので、PERSONZは聴いていなかった。その後28年間縁も所縁も無かったのだが、2013年6月渋谷で開催されたYATUI FESTIVAL(でんぱ組、BiS、アーバンギャルドが目当)で遭遇し、当時と変わらぬスタイルを追求し続けるロケンロー愛に共感。バンドブーム30周年(筆者提唱)の象徴として再評価するに至った。最新アルバム『夢の凱旋-TRIUMPH OF DREAM-』のジャケットの神々しさにはひれ伏すしか無い。
24年ぶりの日本武道館公演には往年のファンが集結した。バンドメンバーと同世代の4,50代祭りだが、子供世代1,20代も混じっている。80年代スタジアム・ロックを思わせる豪勢なレーザー照明、対照的に4人だけのシンプル極まりない演奏。何よりも女王JILLの貫禄のパフォーマンスと神懸かりなヴォーカル。「継続は力なり」という月並みな諺では説明できないエナジーの源は、これまた月並みな言葉だが「夢見る力」に違いない。DREAMER(夢眠人)は仮想・空想の中に生きるのでは無く、リアルな世界の生き様なのである。
「残念ながら二階席まで埋まりませんでしたが、次回(の武道館公演)は満員にしたい。また楽しみが増えました」というJILLの言葉に、生きる為の秘訣がある。
⇒PERSONZ、24年ぶり日本武道館に“夢の凱旋”
ロケンロー
バンドやろうぜ
夢を見て
The Rezillos Complete Old Grey Whistle Test 26.9.78. (3 songs)