A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

MAGMA(マグマ)@渋谷TSUTAYA O-EAST 2015.6.5(fri)

2015年06月07日 01時06分07秒 | 素晴らしき変態音楽


THE ENDLESS TOUR IN JAPAN 2015
MAGMA




2010年、奇跡のフジロック出演から5年。結成45周年を経てマグマ来日決定!

1969年、巨匠クリスチャン・ヴァンデを中心に結成されたマグマ。コバイア神話の世界を圧倒的な演奏力と壮大なイマジネーションによって作り上げた芸術性は各界から高い評価を得ている。結成45周年を迎えた2014年には『リア・サヒルターク~孤高のコバイア人の末路~』をリリースしその健在ぶりをアピール。そして今年になって『シュラグ・タンズ~鞭打ちの舞踏曲~』を間髪入れずにリリースし天井知らずの才能を見せつけた。
5年振りとなる来日公演はこの2作品によって裏付けられたその高いパフォーマンスと45年というキャリアを通して再現してくれることだろう。闇と静粛の中に怒涛のごとく押し寄せる幾重ものリズムと崇高なボーカリゼーションはプログレッシブ・ロック・ファンのみならずジャズ・ファンにとっても必見のステージとなるにちがいない。

マグマ (フランス)
MEMBER
Stella Vander – vocals
Isabelle Feuillebois – vocals
Hervé Aknin – vocals
Benoît Alziary – vibraphone
James Mac Gaw – guitar
Jérémie Ternoy – keyboards
Philippe Bussonnet – bass
Christian Vander – drums



筆者のプログレ遍歴の始まりは、中2の頃フィルム・コンサートでリッチー・ブラックモアのギター破壊を観てあまりの残虐さにショックを受け「もう二度とロックなんて聴くもんか」と決意して、ジョニー・ウィンターかマーシャル・タッカー・バンドを買うつもりで貯めたこづかいで代わりに購入した冨田勲『火の鳥』だった。クラシックだと思って聴いたら、幻想的な現代曲とシンセサイザーの未来的・宇宙的なサウンドに魅了され、続く『惑星』にも心酔した。同じ頃渋谷陽一のラジオ番組でジェネシスを聴いて、冨田勲に通じるものを感じ、再びロックを聴きはじめた。



中3でパンクにハマると、それ以前の旧体然としたロックは聴かなくなったが、セックス・ピストルズが解散して、ジョニー・ロットンがジョン・ライドンになり、パブリック・イメージ・リミテッドがデビューしポストパンクが台頭した79年頃には、そのルーツとしてアングラロックや異端派バンドに光が当てられるようになり、ジョン・ライドンが影響を受けたバンドとしてCANと共に名前が挙がったのがフランスのマグマだった。



同じ頃キング・レコードのヨーロピアン・ロック・コレクションがスタートし、入手が難しかったヨーロッパの知られざるプログレ作品が安く手に入るようになった。シンフォニック系のバンドには余り興味を惹かれなかったが、マウロ・パガーニやアレア、ラ・デュッセルドルフなど個性的なバンドは面白かった。そのシリーズの第4回でマグマのリーダー、クリスチャン・ヴァンデ(ール)『トリスタンとイゾルデ』が発売された。コバイア語のチャント(合唱)の迫力は、『Fool's Mate』の記事で読んで想像していた通りの異世界だった。それと共に脅迫するようなピアノの連打に圧倒された。


(ライヴ写真はTwitterで拾ったものです。以下同)

他のアルバムは高価で手が出なかったので、90年代にCD化されるまで『トリスタン~』こそが唯一聴けるマグマの音源だった。だから『呪われた地球人たちへ』『コンタルコス』など全盛期のアルバムをCDで聴いた時には管楽器やキーボードのジャズっぽいサウンドに軽い違和感を覚えたものである。T.美川のようにコバイア語を鼻歌で歌える程ではないが、筆者にとって『トリスタン~』の歌は記憶に染み付いている。数年前に吉田達也のソロピアノ演奏を聴いたとき、強烈に『トリスタン~』がフラッシュバックした。



90年代からもう何度も来日しているらしいがマグマの来日公演を観るのは初めて。数年前のユニヴェル・ゼロやイタリアン・ロック・フェスティバルのように、白髪も目立つ男子90%の現場を予想していたら、思いの外若く、女子の姿も目立つソールドアウトのO-Eastは、BGMが暗くて重いSUNN O)))だったにも関わらず、WKTK感漂う和やかなムード。見知った顔もチラホラし、あちこちでプログレヲタ話が咲いている。隣の席の二十代半ばの女子二人組は音大出身らしく、教師や同級生の音楽活動の話題で持ち切り。それによれば三浦君が今年のフジロックに出るらしい。



開演時間とおりにステージに現れたメンバーは黒地にマグマ印Tシャツを着て、70年代当時の魔界的なオーラは殆ど無い。それでもフロントに立つ金髪のステラ・ヴァンデと赤毛のイザベルの風雅な佇まいは、渋谷のラブホ街をパリ郊外の没落貴族の館へワープさせる波動を放っていた。肝心のクリスチャン・ヴァンデはキーボード奏者の陰になってあまり見えないが、頭髪こそ寂しくなったものの『トリスタン~』のジャケットの鋭い目つきは健在だった。アンコールを含め20分前後の長大な曲を4曲立て続けに演奏、情動的な3声のコーラスと変拍子プレイが交互に飛び交う「これぞプログレ」曲展開は、あらゆる煩悩を祓って魂を浄化する異星人の鎮魂祭に相応しかった。



<Set List>
1. Köhntarkösz
2. Slag Tanz
3. Mekanïk Destruktïw Kommandöh
4. Zombies (Encore)

ゴング逝き
マグマは生きてる
エルドンは?

▼来日キボンヌ!プラスティック・ピープル・オブ・ザ・ユニヴァース(チェコ共和国)




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