A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

金子寿徳10周忌:灰野敬二(THE HARDY ROCKS)/ザ・スートンズ/割礼@新宿JAM 2017.1.22(sun)

2017年01月24日 23時52分26秒 | 灰野敬二さんのこと


金子寿徳10周忌
KANEKO JUTOK 1958-2007
"HE IS ALREADY LIVING,WHILE WE ARE STILL DEAD."


会場新宿 JAM
時間 開場 午後6時30分/開演 午後7時00分 
料金 前売/当日共 3000円(+ドリンク)

出演
灰野敬二(THE HARDY ROCKS)
ザ・スートンズ(工藤冬里g.vo,西村卓也b,高橋幾郎ds)
割礼



70年代末東京の地下音楽の担い手のひとり金子寿徳が急逝してから10年。晩年の金子のお気に入りだった新宿ゴールデン街のバー裏窓主催で追悼コンサートが開催された。命日の1月24日「寿徳忌」前後で開かれた裏窓主催の追悼コンサートは筆者の記録に依るとこれが5回目。前回から5年経った。裏窓のオーナーの話では金子への追悼ライヴ企画は今回で最後になるらしい。
追悼 金子寿徳様(2007.1.29記)
金子寿徳追悼コンサート@新宿JAM 2007.4.30(mon)
橄欖と塋窟~或る廃墟の思い出に 金子寿徳を偲ぶ会@新宿JAM 08.1.24(thu)
寿徳忌@新宿JAM 2009.1.24 (sat)
金子寿徳/光束夜トリビュート kaneko jutok 1958-2007」@新宿JAM 2012.1.24 (tue)

●割礼


割礼を観るのは約2年ぶり。初めて観てから15年経つが、ルックスもサウンドも全く年を取らないように思える。「Into」「ゲーペーウー」「リボンの騎士」といった定番曲の間に新曲を混ぜた40分のセトリは、意識の底を塗り潰すような濃厚で甘美な香りで空気を満たす。個々の音は決して特殊なものではないが、四人のアンサンブルになった途端に世界が変わる様を目の当たりにして、バンドの魔術に絡みとられた。割礼の宍戸幸司は金子寿徳の飲み友達で、ライヴの打ち上げで翌日の夜まで飲み続けることがしばしばあったという。

●ザ・スートンズ


シェシズのベーシスト西村卓也は工藤冬里とはジャズコンボ「シジキ」でも共演する等長年のパートナー。金子寿徳バンドや割礼でもプレイしていたという。筆者と同時期に吉祥寺ぎゃていで働いていたというが、シフトが違うので当時は会うことはなかった。工藤や高橋幾郎(青蝕器、あけぼのいず、ハイライズ、光束夜、マヘルシャラルハシュバズ、渚にて、シェシズ、不失者、LSD March、カスミトリオ、血と雫)に比べて派手な注目を集めることは余りないが、地下音楽シーンの土台を成す重要な存在である。この日はマヘルのファゴット奏者・長谷川真子が急遽加わり、4人版ザ・スートンズの演奏だった。金子寿徳の曲を中心に、その場で指示を出して即興的に演奏されるナンバーは、最近の工藤にしては珍しくロック的な感覚に貫かれていた。最後の英語の曲はヴェルヴェット・アンダーグラウンドを彷彿させた。

●THE HARDY ROCKS


THE HARDY ROCKS=灰野敬二(vo)、川口雅巳(g)、なるけしんご(b)、片野利彦(ds)(山崎怠雅は都合により不在)の2017年初ライヴ。「Summertime Blues」「End Of The Night」「Money」「Strange Fruits」等洋楽ナンバー加え、金子寿徳のカヴァーを披露。英語の曲では絞り出すようなシャウト中心のヴォーカルが、金子の詞では深いクリアヴォイスになり、天国で荒ぶる魂を鎮める慈愛を解き放つ。川口のギターのシャープなカッティングもさることながら、歌と対峙する竹を割るようなドラムと野太い豪放ベースがバンドの核を形作っているように思えた。その意味では光束夜のトリビュートとして最も相応しかったかもしれない。

死してなお
魂を呼ぶ
歌の中

最後に光束夜のベーシストにして金子のパートナーであるミックの感謝の言葉で10周忌ライヴは終了した。BGMで流れる光束夜の生々しいライヴ音源が金子寿徳の魂を転生させる祈りとなって響き渡った。

光束夜 / "Multiple Maniacs" Excerption, September 4, 1987. part 1
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする