4/14 Sat北海道札幌市教育文化会館・大ホールから始まり、7/1 Sun愛知県日本特殊陶業市民会館・フォレストホールまで全国11箇所を回ったコスモツアー2018〜惑星探査〜を駆け抜けたでんぱ組.incは、休み間もなく7/15 Sun仙台GIGSよりツーマンライヴ「コスモツアー2018〜未知との遭遇〜」をスタートした。さらに30年に一度の猛暑の中、TIFやRock In Japanなど数々の夏フェスに出演。新曲『プレシャス・サマー』も先行配信リリースされ、2015年の『おつかれサマー!』以来の激しい夏をエンジョイした。
8/18satはテレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭りSUMMER STATIONに出演。13:30「愛踊祭2018」&「でんぱの神神 公開収録」〜18:00コカ・コーラ SUMMER STATION 音楽LIVEの2ステージに出演、比較的近い距離でえいたそ☆成瀬瑛美さんのレスを何度も貰った(気がする)神現場を堪能した。えいたそ本人も最高に楽しんだ模様。
めちゃアツ最高(*´∀`*)!!!☆ありがとうございました!!!💛✨ #テレ朝夏祭り #サマステ pic.twitter.com/Lqr6pmxhxZ
— えいたそ☆成瀬瑛美 (@eitaso) 2018年8月18日
特に夕方のライヴは昼間の暑さも涼んで、でんぱ特有の倍速振付けダンスの汗も然程でもない快適な時間を気持ち良く過ごした。
涼しくて!☆気持ちよくて!☆でも熱くて!☆とにかく全宇宙中HYPER-HAPPY(*´∀`*)!💖✨
— えいたそ☆成瀬瑛美 (@eitaso) 2018年8月18日
余りの気持ち良さにエイミが漏らした「全宇宙」という喘ぎ声にオレの心は2000光年の彼方へぶっ飛ぶほどの昂奮を覚えた。2014年3月に「コスモな宇宙にこんにたそ!」と歌う名曲『トキメキ☆すちゃらかテキサス』を発表したエイミにとって『宇宙』とは永遠に求めて病まない憧れであり、自らを投影するスクリーンであり、自分の他に誰かが存在していることを信じる為の妄想空間であった。空気の無い宇宙空間でどのように生き抜くかという現実問題はさておき、エイミが口にする「宇宙(コスモス)」とは一体何なのか、現実逃避しがちな彼女に成り代わって探索を決行した。
【成瀬瑛美】トキメキ☆すちゃらかテキサス【でんぱ組.inc】
【えいたそモダニズム】Episode 21『コスモな大宇宙』
●でんぱ組.inc『ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!』
"萌えキュンソングで世界に元気を発信♪"を掲げ、秋葉原を中心に活動するアイドル・グループ、でんぱ組.incのファースト・アルバム。作詞を畑亜貴が手掛けたシングル曲「Future Diver」ほかを収録。跡部みぅが2011年12月をもっての卒業を発表、メンバー5人での最初で最後のアルバムです!
でんぱ組が活動初期から世界を超えて宇宙をターゲットにしていたことは間違いない。何故寿司なのか、という問題は筆者の知るところではないが、現時点で最新シングルのカップリング曲「ギラメタスでんぱスターズ」PVのアウトテイクでお寿司を成層圏まで飛ばすことで本懐を遂げたことは確か。ツアータイトルを「ねぇもう一回きいて?宇宙を救うのは、やっぱりでんぱ組.inc」「コスモツアー」としたのは宇宙進出への布石であろう。
でんぱ組.inc「Future Diver」Full size
●冨田勲『宇宙幻想』
2016年5月に84歳で亡くなった冨田勲の、第5作目のオリジナル作品が当作。クラシックの名曲をモティーフに、自由な編曲とサウンド構成で大流行となった「トミタ・サウンド」は現代の耳で聴いても不思議なほどに新鮮。とりわけタルコフスキーのSF映画『惑星ソラリス』(1972)を見た印象に基づいて作られたという≪ソラリスの海≫は、このアルバムを象徴する名トラックである。
一般的に宇宙の音楽と聞いて想像するのはSF的な電子音響であろう。日本に於けるシンセサイザーの第一人者・冨田勲は70年代何百万円も出して購入したモーグシンセサイザーを駆使してクラシックの名曲を電気的に再現したレコードで、世界中で大ヒットした。『宇宙幻想(COSMOS)』は冨田のシンセ作第5弾。それまでは各アルバムごとに表題曲があったが、今作は『宇宙』というテーマに合わせて選曲されたクラシック曲のオムニバスになっている。バッハ原曲の『ソラリスの海』はでんぱ組の『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』の元ネタではない。
Tomita "Pacific 231" (1978)
●ファー・イースト・ファミリー・バンド『多元宇宙への旅』
宮下文夫(vo、g)を中心として1973年に結成されたプログレッシヴ・ロックバンド、ファー・イースト・ファミリー・バンドの2ndアルバム。メロトロン、モーグシンセ、ハモンドオルガン等を多用した、精神志向的でスペイシーなプログレ。ピンク・フロイドと、タンジェリン・ドリームやアシュ・ラ・テンペル等のジャーマン・プログレ(クラウトロック)の影響が強い。プロデュースはクラウス・シュルツェ。英国オックスフォードシャーのマナー・スタジオ(ヴァージンレコード)で録音された。
ジャケットのイラストはどこかの宗教団体か英語学校の広告みたいだが、70年代前半小学生の頃、ヒッピーの生き残りのような若者をテレビのコント番組だけでなく、街中でも時々見かけた記憶がある。精神世界に興味を持つと大抵は宇宙思考の新興宗教色に染まっていった。クラウトロックのグル、K.シュルツェと邂逅したこのバンドから、ヒーリングミュージックの宮下富実夫、ニューエイジミュージックの喜多郎が生まれた。宇宙が癒しに転じた好例である。
●遠藤賢司『宇宙防衛軍』
2017年10月25日、惜しくもこの世を去った純音楽家・遠藤賢司の1980年作。四人囃子の他に土屋昌巳等が参加した作品。『宇宙防衛軍放送局』の番組というSF的な世界観で、テクノ、パンク、演歌、ハード・ロック、クラシック、ムード歌謡、フォークなどあらゆる要素を取り入れ、「哀愁の東京タワー」では平山みきとのデュエットも。
「宇宙を救う」というでんぱ組の目的を先取りしていたのはハードフォークでパンクを先取りした男であり「不滅の男」でえいたそとも関わりを持つ(えいたそ進化論に登場)エンケンこと遠藤賢司。秋葉カルチャーとの接点はなさそうに見えるが、本作のSFアニメ感は間違いなくまんだらけやアニメイトに通じている。エイミのエンケン入門編としておススメの一枚。
遠藤賢司 / ザ・ガードマン〜通好みロック
●LAZY『宇宙船地球号』
Michell 影山 ヒロノブ Suzy 高崎 晃 Pocky 井上 俊次 Funny 田中宏幸 Davy 樋口 宗孝からなるロックバンド、レイジー。ラウドネス間近の貴重なライブ映像「DREAMER」「天使が見たものは」他、全9曲を収録した、`80年発表のラスト・アルバム。
エンケンが「男だけのファンクラブ」の会長を引き受け、アイドル歌謡路線からハードロック化・ヘヴィメタル化を後押ししたのがレイジー。同じく「宇宙」をタイトルにしたのはエンケンの影響だろうか。解散後、高崎と樋口はヘヴィメタバンドLOUDNESSを結成するが、影山はソロ・デビュー。『電撃戦隊チェンジマン』『ドラゴンボールZ』『鳥人戦隊ジェットマン』『聖闘士星矢』などの主題歌を手がけ「アニソン界のプリンス」の異名を持つ。エイミにとっても憧れのシンガーのはず。
Lazy Earth Ark レイジー アースアーク (宇宙船地球号) 1981年
●BUCK-TICK『夢見る宇宙』
不動のメンバーでデビュー25周年(2012年時)を迎える5人組ロック・バンド、BUCK-TICKの約2年ぶり(同)となるフル・アルバム。シングル「エリーゼのために」「MISS TAKE~僕はミス・テイク~」、カップリングの「夢見る宇宙」「ONLY YOU」(すべてアルバム・ヴァージョン)他を収録。
エイミに捧げるヴィジュアル系宇宙ソング。V系の中にはポストパンクやニューウェイヴの影響を受けたバンドが少なくない。BUCK-TICKも初期はスターリンのカバーをやったり、ラヴ・アンド・ロケッツ、ロバート・スミス、バウハウスといったゴス系ニューウェイヴの影響を受けていたり、ケバケバしさだけではないディープな音楽性を持っている。高校時代バンギャだったエイミはV系の深遠な宇宙に心ときめかせていたに違いない。
[フル] BUCK-TICK「エリーゼのために」 2012.5.23 on sale
●フィッシュマンズ『宇宙 日本 世田谷』
本作『宇宙 日本 世田谷』は、フィッシュマンズのプライベートスタジオ、ワイキキビーチ/ハワイスタジオで制作された3部作の3作目。悲しいくらいポップで感動的。覚醒作用のあるサウンドが身体の中にゆっくりと溶け込む、ダブ・ポップを確立した音楽性を更に深く進化させた歴史的名盤。1997年発表。
世田谷人<東京人<日本人<地球人<宇宙人という公式に当て嵌めて考えると、世田谷に住む宇宙人は知ってる誰かかもしれない。マクロよりもミニマムを好む風潮はは、日常生活の中で蔓延していて、多くの人はマクロ的視点=宇宙人の視点で自らの境遇を考えたりしないで日々を過ごしている。そんな怠惰な現代人に、ちょっとしたショックを与えたのがこのアルバム・タイトルだった。このアルバムを最後にヴォーカルの佐藤伸治が死去、文字通り世田谷から宇宙へ昇天した。宇宙を目指すエイミがディアステージを決して忘れないことは人として正しい。
Fishmans - In The Flight
●V.A.『フランク・ザッパの大宇宙』
1993年病床にあったフランク・ザッパを励ます為にニューヨークで開催されたコンサートのライヴ盤。スティーヴ・ヴァイ、ドゥイージル・ザッパ、でイル・ボジオ、ロッカペラなどが参加。94年にグラミー賞のロック・インストゥルメンタル部門を受賞した。
1993年12月4日に52歳で没したフランク・ザッパこそ、ロック/ポップス/前衛音楽の大宇宙を造り上げた偉人と呼ぶに相応しい。奇しくも追悼盤となったこのアルバムは、当時日本盤がリリースされた直後に権利関係の問題(ロッカペラの発売権がレコード会社に無い)が発覚し回収されたという曰く付きのアルバム。だからといって帯付日本盤CDが高額で取引されている事実は無い。それは兎も角、英題Zappa's Universeよりも「大宇宙」の方が本質を捉えているように思えないだろうか。エイミが将来回顧伝を出版する際は『成瀬瑛美の大宇宙』というタイトルにして欲しい。
live @ ZAPPA's UNIVERSE, NEW YORK - complete TV bdcst
●サン・ラ『コスモス』
『ライヴ・アット・モントルー』直後の76年8月にフランスで吹き込まれた人気盤。サン・ラーの奏でるロックシコードの音色が神秘的かつコズミックなムードで全編を覆う中、アーケストラが繊細なアンサンブルと引き締まったソロでアルバムを完成度の高い一枚に仕上げた。最も脂の乗り切った時期に残した充実のセッション。
筆者が2014年4月に『えいたそ文化論』を書きはじめた当初からエイミの血の繋がらない祖父として登場したのが「太陽神」の芸名を持つサン・ラであった。そもそも自ら「土星から来た」と言い張り独自の「宇宙哲学」に基づく音楽活動を貫いた異人であったとしても、遠い極東に生まれた成瀬瑛美のことを知る葦も無かろうが、88年7月に来日した際に、何らかの方法で地球>日本>福島>郡山の女性に受粉し発芽したのがエイミだとしたら。。。年齢的にも辻褄が合いそうな気がする。エイミの大宇宙思考が、まさかのサン・ラの直系遺伝かもしれないと考えると、壮大な歴史ロマンに妄想の暴走を止めることが出来ない。
Sun Ra Arkestra - Face the Music / Space is the Place
大宇宙
救うあなたは
瑛美さん
●でんぱ組.inc『プレシャスサマー! 』
平成最後の夏、玉屋2060%作詞・作曲・編曲による2018年でんぱ組.inc流夏ソング。2018年9月26日発売
2018年7月7日におこなわれた河口湖ステラホールでの初披露を皮切りにツアー、夏フェスで披露してきた「プレシャスサマー!」のほかに収録曲は、浅野尚志作曲・NOBE作詞「エバーグリーン」、 MOSIC.WAV作曲・只野菜摘作詞「かぼちゃタンデム」の 全3曲入り。
暦の夏は過ぎても、でんぱの夏はこれから!まさか水着が出ない夏ソングがあるわけない。セクシー831のエロエロボディを堪能できるPVを楽しみにしながら、秋の訪れを感じる今日この頃です。
でんぱ組.inc「プレシャスサマー!」