先日紹介したフレデリック・ル・ジャンテの関連動画を観てみると他にも世界中に自動演奏音楽マシーンを使ったサウンドアーティストが多数存在することがわかる。日本のカイライパンチやVELTSもそうだし、多田正美や今井和雄らによるマージナル・コンソートは元祖的存在と言えるだろう。
そんなことを考えながら観ていて出会ったのが『Cabo San Roque カボ・サン・ロケ』というスペインのアーティスト。表題の写真は彼らの公式サイト(現在工事中)のメイン画像だが、これだけで尋常じゃない妖気を感じるだろう。この音楽機械の実際の演奏動画が「カボサンロケ・メカニカル・オーケストラ」。
CaboSanRoque Mechanical Orchestra by cabo san roque
大竹伸朗の「ダブ平&ニューシャネル」の曾祖父のような巨大な廃物オブジェが奏でるノスタルジックな音楽は、ディズニーランドのアトラクションに使われても可笑しくない。アートとミュージックとエンターテイメントを融合させた偏執狂の「カボ・サン・ロケ」の正体は、スペイン北東部地中海沿いのカタトーニャ州の州都バルセロナ出身のロックバンド。
teaser anterior 2014 cabosanroque
カボ・サン・ロケの奇跡を描いた動画。
2001年に7人組パンクバンドとして結成された。Cabo San Roqueとは「聖ロクス(サンルーカス)岬」の意味(ブラジルに同名の岬があるが関係あるかは不明)。結成当初から街で拾った日用品や鋼材などを再利用した奇抜な自作楽器を取り入れつつ、アコーディオンや管楽器などアコースティック楽器を擁するカタトーニャの伝統音楽と実験的サウンドの融合を追求していた。フランス・アヴァンポップ/トイポップの代表格パスカル・コムラードや、スペインのピアニスト/映画音楽家シャルル・サントス 、イタリアのシンガーソングライター、ヴァニチオ・カポセラ Vinicio Caposselaなどとコラボレーションしている。現在はロジャー・アイスート Roger Aixut (g)とライア・トレンツ Laia Torrents(key)の二人組で実験的インストユニットとして活動している。
Cabo San Roque actúan en En el aire
2015年スペインのTV番組でのパフォーマンス。テクノイズ風のビートを刻むマシーンは「Tres tristos trons(三つの悲しい玉座)」という名前。
Conductr & CaboSanRoque present "HiLo". Sonar 2015
2015年音楽アプリ「Conductr」とのコラボ映像。iPadで音楽マシーンをコントロール、最新テクノロジーにも対応できるフレクシビリティ。
Vinicio capossela + cabosanroque + Asso Stefana 14/09/2017 Mercat de música viva de Vic
2017年9月イタリアのトム・ウェイツと呼ばれるヴァニチオ・カポセラとコラボした音楽フェスの動画。ステージを埋め尽くすカボ・サン・ロケのガラクタ音楽機械に圧倒される。
シリアスになりがちな現代アート/サウンド・アートをエンターテイメントに転化する方法論は、賛否両論あるかもしれないが、個人的には大いに歓迎したい。何と言ってもカボ・サン・ロケのサウンドは面白い。この大掛かりなマシーンを日本に運ぶのは至難の業だが、誰か呼んでくれないものだろうか。
ガラクタも
集めて作れば
サウンドアート
CaboSanRoque, concert inaugural exposició "La cobla patafísica" a Arts Santa Mònica
2015年3月,バルセロナの美術館アーツ・サンタ・モニカで開催された回顧展「La cobla patafísica 2015-2001」でのライヴ映像。
2014年11月,スペイン放送ラジオ3主催のライヴ映像⇒Los conciertos de Radio 3 en La 2