梅雨明けから1週間、日中摂氏35℃を超える猛暑の中、仕事から帰宅すると2通の大きめの封書が自宅に届いていた。ひとつは国際航空便でドイツから、もう一方はゆうメールで愛知県から、どちらもただの郵便物じゃないオーラを孕んでいた。というのは嘘で、筆者が楽しみにしていたご褒美が同時に届いた喜びに、家人が寝鎮まったころを見計らって、夜というのに派手なレコードかけて朝までふざけるワンマンショーで陶酔した。
『Lisboa & Moiré Studies / Lonberg-Holm/Camatta & Pitsiokos/Walter
7inch EP: Umland Records 22
1. Fred Lonberg-Holm (cello) & Simon Camatta (drums) - Lisboa
2. Chris Pitsiokos (altosax) & Florian Walter (altosax) - Moiré Studies
"LISBOA"
Fred Lonberg-Holm - cello
Simon Camatta - drums
recorded live by Marcos Silva at ZDB, Lisboa - 13th nov 2018
mixed by FLH
photo by Nuno Martins
thanks to Simrit Dhesi & Sara Camatta
„MOIRÉ STUDIES“
Chris Pitsiokos & Florian Walter
recorded in cologne - 3rd jan 2019
photo by Simon Camatta
thanks to Leo & AM19
Artwork by Lena Czerniawska
ドイツ・の即興レーベルUmlandレコードからのホワイトヴァイナル7インチEPレコード。A,B面共にドイツ・エッセンのミュージシャンとアメリカのミュージシャンのデュオ音源が収録されている。A面はドラム/パーカッション奏者サイモン・カマッタとシカゴのチェリスト、フレッド・ロンバーグ=ホルムの2018年11月リスボンでの録音。弦の摩擦音と打楽器の打音がガサゴソと交錯する共演は、演奏家の情念をオブラードのように隠して風通しのいいサウンド・オブジェを作り出している。B面はフローリアン・ヴァルターとニューヨーク出身のクリス・ピッツィオコスのサックス・デュオ。2018年5月のメールス・フェスティバルで初めてデュオ共演した二人が、再度コラボした2019年1月ケルンでの録音。どちらがどちらか分からないほどエキセントリックな二人のプレイが音のレイヤーを産み出し、酩酊するような多重のサウンドの波を作り出す。「モワレ研究」というタイトルに相応しい。どちらも4分弱のショートピースだが、それだけに集中度の高い凝縮されたトラックになっている。
⇒Umland Bandcamp
『SUPER GURU / 春日井直樹 Naoki Kasugai』
CDR: Daytrip Records – none
1 Super Guru 1
2 Super Guru 2
Tape, Noises, Bass, Electronics – 春日井直樹
名古屋在住の音楽家、春日井直樹のレーベルDAYTRIP RECORDSから2018年に木箱入特殊パッケージでリリースされたカセット作品のCDR化。7インチレコード盤にハンドメイド・コラージュがほどこされたフェイクレコード・ジャケ仕様。限定30枚、1枚1枚すべて異なる一点モノ。某宗教団体の某教祖の声をコラージュ及び電子変調して制作したトータル45分の音源は、80年代インダストリアル/リチュアルフォーク/アンビエント/ドローン的なノイズ・ミュージック。雑音塗れの教祖の法話は意外なほどハッキリしていて、24年前の地下鉄事件が起こる前に某教団を容認していた日本社会が陥っていた情報麻痺の日常風景が浮き彫りにされる。寝落ちしそうな意識の中にSHOKO SHOKOというチャントが木霊していた。夢の中で十四代目トイレの花子さんとデュエットする白い法衣の自分がみえた。
⇒DAYTRIP RECORDS公式サイト、DAYTRIP RECORDS Twitter
8/16盤魔殿vol.27ではこの2枚を同時プレイしてお盆の彷徨える霊魂の法要としたい。
即興と
教祖の法話
飽和して