A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【灰野敬二新作CDレビュー】『灰野敬二+SUMAC/ほんの少しだけでいいから 「償い」をチャージし続けてくれ〜』『サンヘドリン/密度を変えろ 義務の海から 這い上がるように』

2019年08月11日 01時21分58秒 | 灰野敬二さんのこと


7月31日NHKのTV番組『ガッテン!』のスイカ特集に突然灰野敬二が登場したことが話題になった。植物学者の広島大学・櫻井直樹教授が、スイカを叩いた音の良さにヒントを得て開発した楽器「ポリゴノーラ」の紹介だった。また、8月3日に瀬戸内国際芸術祭のDommune Setouchiに出演し<義務よりも礼儀正しく>という金言を残した。8月9日発売の雑誌『ユリイカ』遠藤ミチロウ特集号にPANTA、BUCK-TICK今井寿、七尾旅人等と並んでインタビューで登場。さらに明日8月11日にはアヴァンギャルドアイドル沖縄電子少女彩の生誕祭夜の部にドラびでお、美川俊治、ASTRO等と共に出演する。



妥協のない演奏スタイルや一貫した音楽思想が変化した訳ではないが、謎に満ちた灰野敬二の世界がこれまでとは異なる文脈で紹介されたりリンクしたりする機会が増えている。時代が追いついたなどと陳腐な常套句を言うつもりはない。正しく生きていれば白と黒/表と裏/陰と陽が交差する瞬間は何度も訪れることは紛れもない真理である。そんな出会いをキッカケに灰野敬二の真髄である『音楽』に触れてみてはいかがだろうか。最近リリースされたばかりの新作CD2作を紹介したい。

●KEIJI HAINO + SUMAC『ほんの少しだけでいいから 「償い」をチャージし続けてくれ 少しは良くしよう を接続して』
CD: Trost Records ‎– TR183 / Austria


2017年初夏に来日したアメリカのヘヴィロックバンドSUMACは灰野敬二とスタジオとライヴで共演した。2017年6月末のスタジオ録音の方は2018年2月にThrill Jockeyより『アメリカドル紙幣よ  そのまま横を向いたままでいてくれ 正面からは見られたもんじゃないから』としてリリースされた。そして今年7月にTrost Recordsからリリースされた本作は、2017年7月3日新代田Feverでの共演ライヴ音源である。1週間前のスタジオレコーディングによりお互いを理解し合っていた為、ライヴ当日も初顔合わせとは思えない一体化したグルーヴを持っていたと記憶する。その印象はこうしてライヴアルバムとして聴くことでより深くなる。トリオ編成でありながら重層的なヘヴィロックをクリエイトするSUMACに、ヴォーカル/ギター/チャルメラ/フルートで加わる灰野敬二。どちらがどちらに合わせるといった迎合性は全くない。KEIJI HAINO+SUMACというひとつのバンドの音である。ステファン・オマーリーとオーレン・アンバーチとのトリオNAZORANAIや、約10年前に裸のラリーズのメンバーとやっていた灰野敬二+どろんこ+サミーに近いヘヴィロックと言えるが、アメリカ土着のスケールの大きいサウンドと、4人の有機的なアンサンブルはバンドをやる意義を再認識させてくれる。今年5月23日にバンクーバーで3度目のコラボを果たしたこのユニット、機会があればまた日本で共演してほしい。
SUMAC/灰野敬二/ENDON@新代田Fever 2017.7.3 (mon)
【Disc Review】灰野敬二+SUMAC『アメリカドル紙幣よ  そのまま横を向いたままでいてくれ 正面からは見られたもんじゃないから』

●サンヘドリン『密度を変えろ 義務の海から 這い上がるように』
CD: Trailights Record - TRLT-0016 / Japan

 
灰野敬二(不失者)、ナスノミツル(Ground Zero, Altered States)、吉田達也(Ruins, 是巨人)という地下音楽界の名手により2004年に結成されたサンヘドリンの秋葉原Club Goodmanでのライヴ録音。日付クレジットはないが、恐らく2014年3月7日のワンマンライヴではなかろうか。ゼロ(2000)年代のサンヘドリンでは灰野はヴォーカルはもちろん、様々な楽器を弾き分けていたが、テン年代のサンヘドリンは灰野がギターに専念するユニットへと変貌した。灰野の旗艦グループ不失者が、各メンバーの個人技ではなくバンド構成員の細心の注力を必要とする機能体へと進化する一方で、灰野のギターだけを思い切り堪能できる場が少なくなった。その希求を昇華させることがサンヘドリンに託されたのではなかろうか。この日のトリオは冒頭から気迫溢れるプレイで聴き手に畏怖の想いを抱かせた。全4曲75分を超える長尺CDに灰野のギターマジックがたっぷり注入されている。ナスノと吉田の卓越したクロスプレイはもはやリズムセクションと呼ぶことを許されない凌ぎ合いとなり、三つの魂の切磋琢磨がリスナーの聴覚を解放する。7月半ばの西日本ツアーで各地の音楽ファンに大きな衝撃を与えたサンヘドリンの東京公演が望まれる。
サンヘドリン(灰野敬二+ナスノミツル+吉田達也)@秋葉原Club Goodman 2014.3.7(fri)

雪崩堕ちる
ヘヴィネスと
ギタリズム

<灰野敬二2018年8月のライヴスケジュール>
8月11日 (日)東京 小岩オルフェウス
沖縄電子少女彩:生誕祭:夜の部


18:00 open 18:30start
前売:3,500円 当日:4,000円(+1d)

出演:
沖縄電子少女彩
ドラびでお
灰野敬二
ASTRO
美川俊治
galcid
マキノユキ


8月17日(土)東京 秋葉原CLUB GOODMAN
GIGA NOISE SPECIAL !! レジェンド オブ ノイズ 2nd


18:30開場 19:00開演
前売り3000円 / 当日 3500円 (1ドリンク代別)
【出演】
灰野敬二+HIKO+T.美川+ドラびでお
LINEKRAFT+Daisuke Maekawa(GRIM)
Numb+Masayoshi Sakaguchi+VJ M.U.//Mikudarihan Uppercut
ASTRO+進入禁止


8月23日(金)東京 成城アトリエ第Q藝術
ハイパー能「睡蓮」


開場:19:00
開演:19:30 (21:00 終演予定)
入場料:前売り\3,500 当日¥4,000 

アーティスト
シテ:桜井真樹子(妖精、ジャンヌ・ダルク、龍笛)
ワキ:灰野敬二(クロード・モネ、ポリゴノーラ)
後見:加藤ひろえ(蓮、生け花)
協力:アトリエ第Q藝術、(有)生物振動研究所

ご予約・お問い合わせ
090-6034-7716, makiko_puti@mac.com(桜井)
03-6874-7739(13時-19時) q.art.seijo@gmail.com (アトリエ第Q藝術)
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