A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【まもなくブログ開設5555日。過去ブログ転載】2005年4月8日『灰野さんのハーディーガーディーを聴きに行ったよ』『ノイバウテンが聴きたくなったよ』

2020年04月08日 01時56分27秒 | 灰野敬二さんのこと


灰野さんのハーディーガーディーを聴きに行ったよ
2005年04月08日 00時59分31秒 | 灰野敬二さんのこと

六本木Super Deluxeに灰野敬二さんのソロライヴを観に行ってきました。今回は「エレクトロニクス&ハーディーガーディー」ソロということでギターは弾きません。前半はAir FX&Air Synth(アンテナのないテルミンみたいな円盤状の楽器。写真を参照して下さい)を各2台ずつ、ドラムマシンを2台使ったエレクトロニクスパフォーマンス。円盤の上にかがみこんで手の動きで音を変化させていくAir FX & Air Synthはまさにマジシャンの音。宇宙からの信号音、大地の叫び、町の雑踏、咽び泣く女、赤ん坊の泣き声、、、様々なイメージが広がります。
続いてハーディーガーディーの演奏。この楽器は中世ヨーロッパに起原を持つ昔の楽器で、ハンドルを回して弦を擦って音を出します。勿論灰野さんのこと、まともに演奏するわけはなく、弦をアルミホイルでくるんだりしてひたすらノイジーにギイギイと、下手なヴァイオリンの様な音を持続させ変化させていきます。以前灰野さんのハーディーガーディーライヴで眠ってしまって、例えようもない悪夢を実際に見たことがありますが、だいぶ慣れました。
最新の電子楽器でも中世の古楽器でも灰野さんが演奏すると灰野さんの世界になるのはさすがだと思います。



ノイバウテンが聴きたくなったよ
2005年04月08日 23時07分22秒 | 素晴らしき変態音楽

最近ソニックユース(と灰野さん)ばかり聴いているのですが、2、3日前から突然、あの頃(80年代前半)に聴いていたアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンが聴きたくなりました。LPを探したのですが棚の奥に埋もれていて見つかりません。今日思いきって邪魔なものをどかしたら、ついに発見。しかもスロッビング・グリッスルの後ろに隠れて(苦笑)。
85年頃初来日して、結構話題になりました。音楽雑誌Fool's Mateがニューウェイヴ専門誌で、六本木WAVEが最先端のレコード屋だった時代です。彼等の日本盤はWAVEのレーベルから出ていました。来日時に新聞に「廃虚求む」という広告を出していたのを鮮明に覚えています。
ヴォーカルのブリクサはカッコ良かったです。今は確かニック・ケイヴのバンドでギターを弾いているはずです。彼等のサウンドの特徴は何といっても金属板、ドラム缶、鉄パイプ、はてはドリルまで使ってリズムを叩き出すメタルパーカッションでした。
彼等の登場以降メタルパーカッションを使うバンドが世界中に増えたと思います。
私が今聴いているのは85年のサードアルバム『新人類』(時代を感じさせる邦題ですね)ですが、ソニックユース以上に過激で前衛的なサウンドとドイツ語の硬質な響きがたまらなく刺激的です。CDにはなっているのでしょうか。さっそくAMAZONで調べてみます。

あと6日で
ブログ開設
5555日

Keiji Haino - Hurdy-Gurdy Live in Los Angeles, 04.07.19 - Zebulon
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【勝手に翻訳】オリヴァー・レイクのブラック芸術主義。 彼のアーティスト・グループがニューヨークのロフトシーンをどう変えたか?

2020年04月07日 00時24分12秒 | 素晴らしき変態音楽


コロナウィルス予防対策で在宅していて暇なので部屋の片づけをしていると、昔買ったレコードを掘り出してついつい聴いてしまう。40年近く前高校時代に初めて買ったフリージャズ系レコード、ヒューマン・アーツ・アンサンブル『アンダー・ザ・サン』の中心メンバーでアルトサックス奏者のオリヴァー・レイクは、筆者のアヴァンギャルド衝動のきっかけの一人として常に意識してきた。77歳の現在も精力的に活動するレイクのレコードはたくさん持っているが、中には買って以来ほとんど聴いていない作品もある。この機会に彼のレコードをターンテーブルに乗せ、ときに破天荒にときに理知的にときに甘くしみるアルトの響きに浸っている。その合間に彼の公式サイトに最新記事として紹介されていたBandcampのインタビューを、最近評判のDeepL翻訳を活用して勝手に翻訳した。

オリヴァー・レイクのブラック芸術主義。彼のアーティスト・グループがニューヨークのロフトシーンをどう変えたか
Seth Colter Walls セス・コールター・ウォールズ/Bandcamp Daily 2017年5月17日


過去50年間、サックス奏者であり作曲家でもあるオリヴァー・レイクは、即興演奏と作曲の世界でリーダー的存在であり続けている。セントルイスの有名なブラック・アーティスト・グループ(BAG)の共同創立者であり、60年代後半から70年代初頭にかけてのブラック・アート・ムーブメントの一員として、レイクは芸術分野を超えた黒人実験主義者たちのパフォーマンスを組織する上で重要な役割を果たした。俳優、詩人、ダンサー、ミュージシャンなどがBAGに参加している。組織が解散した後も、レイクは人気の高いワールド・サックス・カルテットでジュリアス・ヘンフィル等のBAG卒業生と活動を続けている。レイクは今でも様々なグループとのコラボレーションを行っており、彼のビッグバンドでラッパーのOutkastやMystikalの曲を再解釈したり、今月開催されたBang On A Canマラソンでは完全即興セットで演奏したりしている。

『Right Up On』は、彼のインディペンデント・レーベルPassin' Thruからの最新作。このアルバムは、しばしば別ものとして考えられている伝統を融合させる彼のユニークな方法を強調している。このアルバムには、過去20年間に現代古典派ストリングスグループFLUXカルテットのために書かれた作品を収録。これらの作品の中で、レイクはスリリングで多様なアプローチを探求している。このグループのために書かれたスコアの中には、伝統的な書き出しのものもあれば、即興演奏を可能にするために図式的に表記されたセクションを持つものもある。

アルバムの3曲でレイク自身が弦楽四重奏団に参加しており、オープニングの「Hey Now Hey」、アヴァンギャルド・ブルースの「5 Sisters」、そしてラストナンバー「Disambiguate」で、すぐにそれとわかるアルト・サウンドを披露している。先日、ニュージャージー州モンクレアの自宅にレイクを訪ねた。リビングルームはアートや音楽の本に囲まれ、レイク自身の絵画が飾られていた。彼のアート作品は『Right Up On』のCDジャケットにもなっている。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーインタビューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Q, 弦楽のための音楽を書くことに興味を持ったきっかけは?

A. セントルイスに住んでいた頃、ブラック・アーティスト・グループの後期に弦楽四重奏曲を書き始めました。その後、ニューヨークに引っ越してきて、リロイ・ジェンキンスと知り合い、デュオ・コンサートを何度もやっていました。私の心に響いたのは弦楽器というより、バイオリンだったと思います。リロイと出会い、一緒に演奏するようになってからは、そのことが前面に出てくるようになりました。

それから私は弦楽四重奏曲を何曲か書いて、レコーディングのためにメンバーを募って弦楽四重奏団を作りました。そして「すでに結成されている弦楽四重奏団と一緒にやるべきだ!」と思ったのです。何故なら彼らはお互いに演奏に慣れた独自の音を持っているからです。私は弦楽四重奏団を探し始めました。そしてその中心的存在のFLUXと出会い、コラボレーションを始めることができて本当に良かったと思っています。

Q. ニュー・アルバムは本当に変化に富んでいますね。オープニングの曲は憂いがあり、「5 Sisters」では、とても突飛な旋律を披露しています。「2016」では、チクチクとしたピチカートのような音から、甘くも不機嫌なハーモニーへと変化していく。作曲は正確にこの順番でしたのでしょうか、それとも...

A. いいえ、「Hey Now Hey」は1998年に書きました。最も最近の曲は「2016」で、「Sponge」も同じく昨年書きました。「Einstein 100」は2005年に書きましたが、その年はアインシュタインが相対性理論を発表してから100周年にあたります。「5 Sisters」は2013年に作曲しました。曲から曲へと色彩を考えました。インストゥルメンタルの色の変化を意図したのです。1998年に書いた「Hey Now Hey」はFLUXが以前にコンサートで演奏したことがありましたが、レコーディングしたのは今回が初めてです。

Q. FLUXはその曲をあなたが参加しなくても演奏できるんですか?

A. ええ、私がいない時も時々演奏します。でも幾つかの四重奏曲では、敢えて私は参加しません。例えば「Einstein 100」のような曲は全く私は演奏しません。弦楽四重奏だけの表現を求めたからです。

Q. どのような文脈であれ、これらの曲では、演奏していなくても、あなたの音楽だとすぐわかりますね。

A. まあ、それは私の音楽の系統の一部であり、すなわちブルースだと思います。弦楽四重奏であろうと、4本のサックスであろうと、バンド「トリオ3」であろうと、ソロであろうと、私がすることすべてで私のサックスの音はブルースのラインを持っています。そして、自分の好きな様々なことをやって、それがアイデアから始まって、完成した作品となって終わるのを見ていると、とても成功していると感じるんです。私にとってそれは成功に等しい。経済的・金銭的な意味ではありませんが(笑)。また『Matador of 1st & 1st』という演劇の音楽を手がけた時もありました。

Q. レコーディング作品は知っています。強烈です。でも、演劇作品だったとは!?

A. 衣装替えやBGMや舞台設定がありました。ビデオがネットのどこかにあると思います。私はキャリアの中で、このように様々なプロジェクトをやってきましたが、とても楽しかったです。

Q. BAGを立ち上げた時は何歳だったのですか?

A. 30歳くらいでした。大学を卒業するのに時間がかかりました。何度も通い続けました。最終的に大学を卒業した時には、セントルイスの公立学校で教鞭をとり、小学校で3年間音楽を教えました。その頃ブラック・アーティスト・グループが始まったのです。

Q. 『Matador of 1st & 1st』のような、音楽と演劇が融合した作品は、BAGのアプローチの延長線上にあるのではないでしょうか?

A. そうですね、僕の大学、アーティストとしての大学はブラック・アーティスト・グループだったと思います。そこでやっていたことはすべて、自分のキャリアに繋がっています。「Put All My Food on the Same Plate(すべての食べ物をひとつの皿に盛る)」という詩を書きました。それは私のクリエイティビティの哲学というか、いろいろなプロジェクトをやり、自分のサウンドを爆発させるための異なるオーバーレイをもつことで、この社会の中で私がどのように機能しているかということを表しているのです。

Q. BAGについて書かれたベンジャミン・ルーマーの本の中には、ファースト・アルバムのライナーノーツに引用されている、ブラックミュージックのさまざまな側面が、市場で如何に人為的に分離されているかについての、あなたの詩が引用されています。

A. ええ、同じ詩ですね。ジャンルが分断されていて、そのために観客も分断されていることについて述べています。それは良くないことですよね(笑)。なぜなら、全て一つのものであり、全ては一つのソースから来ているからです。創造性には、完全で正直なコミュニケーションが必要なんです。ジャズと呼ばれる音楽はそういうものだし、素直なコミュニケーションをしてはじめて、オーディエンスもそれを感じることができるのです。個々の表現のスタイルは本当は重要ではないと思います。ただ、それが自分の心の表現であるかどうかが重要なんです。

Q. BAGを立ち上げようと思ったきっかけは、AACM(Association for the Advancement of Creative Musicians)を立ち上げたシカゴのミュージシャンたちを訪ねたことですよね

A. そうです。AACMに出会う前、セントルイスでほぼ毎日我々ミュージシャンのグループが集まってジャム・セッションをしていました。10人か15人くらい。セントルイスのフォレスト・パークという公園に美術館があって、その前で演奏していました。66年か67年頃のことです。私たちは組織化されてはいましたが、それはゆるやかな結びつきのようなものでした。その後、AACMに出会って、彼らがとても正式に組織されているのを見て、いいアイデアだと思いました。「僕等もグループがあるのに、自分たちの存在をアピールすることもなく、ただジャム・セッションをしているだけじゃダメだ」と思ったんです。

セントルイス出身で、アート・アンサンブル・オブ・シカゴに所属していたレスター・ボウイを訪ねるためにシカゴに行きました。インスピレーションを受けて戻ってきた私は「AACMのセントルイス支部にしよう」と言いました。そしたら確かジュリアス・ヘンフィルだったと思いますが、「いや、自分たちのグループを立ち上げよう」と言ったのです。その頃我々はジャン・ジュネの「The Blacks(黒子)」という作品を上演するために、俳優やダンサーや詩人と連絡を取り合っていました。その制作途中だったので、ジュリアスが「ジャンルの違うアーティストとの繋がりを活かして、ダンサー、俳優、詩人、ミュージシャンを含むグループを作ろう」と言ったのです。そうやってブラック・アーティスト・グループが誕生したのです。

Q. その組織は数年しか続きませんでしたが、そのメンバーがニューヨークに引っ越してきた時に、NYの「ロフト」シーンを変えることになったんですね。

A. ええ、BAGは正式には3年か3年半くらいしか続きませんでした。私は1972年にパリに引っ越して、2年間滞在しました。そのあと1974年にニューヨークに移ったのです。

Q. アンソニー・ブラクストンのアリスタのアルバム『New York, Fall 1974』にジュリアス・ヘンフィルを一緒にサックス・カルテットの一員として参加したのはその時ですね。

A. そうです!それがワールド・サクソフォン・カルテット(WSQ)を始めるきっかけになったのか?と聞かれたことがありますが、実は、WSQを始めたきっかけは、ニューオリンズのキッド・ジョーダンというサックス奏者でした。彼は我々の4つのグループの演奏を聴して、我々全員を招聘したいと言ってきました。でも4つのグループを全部呼ぶ予算がなかったのです。そこで彼は「ニューオーリンズに来て、ニューオーリンズのリズム・セクションと一緒に演奏してくれ」と言いました。そして私たちはそうしました。

反応がどうだったかって?凄かったです。観客は狂喜乱舞して叫んでいました。子供も年配の人もいました。大興奮していました。我々の演奏に、こんなにも心から反応してくれたことに驚きました。ステージが終わって「僕等はこのバンドを続けなければならない」と決心しました。ニューヨークに戻りましたが、ベース、ドラム、ピアノを誰にするか決められませんでした。で、やはりジュリアスだったと思いますが、「誰もいらないよ。4人でやろう!」と言ったのです。確か1976年のことです。

Q. 今ベテランの目で見て、他の組織で同じような伝統を受け継いでいるところがあるでしょうか、創造的な音楽の世界では。

A. ええ、もちろんありますよ。最初に思い浮かぶのは、(ブルックリンの会場の)ルーレットですね。彼らこそ実例、事件です!(笑)。グループには、以前に起こったこと、そして今も起こり続けていることまでの連続性があります。AACMや黒人アーティストグループから、ビジェイ・アイアー Vijay Iyerのような若いミュージシャンまで。彼はトリオ3とレコーディングをしましたし、何度か一緒にライヴをしたことがあります。彼はミュージシャンズ・ミュージシャンで、細部にまでこだわりを持っています。レコーディングでは、ミックスの面で彼が重要な役割を果たしてくれました。彼の作曲、または我々の作曲につけ加えたものは何でも、クリエイティブで、とてもオープンなんです。

Q. あなたもオープンでいようと努力していると思いますが、現代のヒップホップやR&Bはチェックしていますか?

A. はい、多少は。息子の一人がDJ兼レコード・プロデューサーで、Passin' Thruレーベルの幾つかのCDをプロデュースしています。彼のおかげで最新のトレンドについていくことができています。ラップはあまり聴きませんが、自分のビッグバンドのために2曲アレンジしたことがあります。Outkastの「The Whole World」とMystikalの「Bouncin' Back」。だから、彼らの曲を聴いています。何に対してもオープンであることが大事です。ミュージシャンとして、リスナーとして、クリエイターとして、作曲家として、我々には多くの選択肢があるということを言いたいだけです。様々な選択枝のために、すべてのドアを開けておきたいのです。

Oliver Lake & FLUX String Quartet - at The Stone, NYC - Oct 26 2014


サックスの
音の真ん中
ブルースあり

▼オリヴァー・レイクが参加したブルージーな新作。近日レビュー予定。
Ross Hammond, Oliver Lake, Mike Pride ‎– Our Place On The Wheel
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【クリス・ピッツィオコス最新トリオ三態】GPS Trio/David Leon, Chris Pitsiokos, Asher Kurtz/Concussion Projectile Trio

2020年04月06日 02時29分07秒 | 素晴らしき変態音楽


自己のグループCP Unitの最新作『One Foot On The Ground Smoking Mirror Shakedown』でハードコアジャズの新たな領域へと踏み込んだニューヨーク即興シーンの若手サックス奏者クリス・ピッツィオコスは他のミュージシャンとのセッションやコラボも精力的に行っており、その成果としてのレコーディング作品がデジタルオンリーでリリースされている。日本に於いてはフィジカルリリース(レコード,CD,カセット)がないとなかなか紹介される機会がないので、新作リリースに合わせてまとめて紹介しよう。最初の2作はBandcampでデジタルアルバムを購入できるのに加えてSpotify等サブスクリプションで配信されている。3番目はリンク先でDL可能。
JazzTokyo CD Review『CP Unit / One Foot On The Ground Smoking Mirror Shakedown』

●Devin Gray’s GPS Trio / Blast Beat Blues

Rataplan Records (RR 004)
devingraymusic.bandcamp.com

Devin Gray - Drums
Chris Pitsiokos - Alto Sax
Luke Stewart - Bass

1. Blast Beat Blues
2. Data Points Nowhere
3. Internet Explorer
4. Subtle Bully
5. Nevins all the way
Recorded May 11th 2019 by Juanma Trujillo at Douglass Recording, Brooklyn NY
Produced by Devin Gray & Zach Herchen (edit, mix & mastering)
Art work: Jussi Jääskeläinen
All compositions by Devin Gray (VonerMusic-BMI)

2006年からニューヨーク即興シーンで活躍する敏腕ドラマー、デヴィン・グレイの新トリオ。ベースのルーク・スチュワートはワシントンDC出身の32歳で、クリス・ピッツィオコスと並ぶ注目株。評論家から「マーシャル・アレン・ミーツ・ミルフォード(・グレイヴス)」と呼ばれるサウンドは、作曲面でも定評のあるグレイの楽曲に、二人の個性的な演奏が生命のエネルギーを注ぎ込む。ピッツィオコスの高速サックスがリードする新感覚のハードコアジャズ。

▼ピッツィオコスとデヴィン・グレイの6年前の共演。
Chris Pitsiokos / Devin Gray / Pascal Niggenkemper - at SpectrumNYC - February 11 2014



●David Leon/ Chris Pitsiokos/ Asher Kurtz / Current Obsession Vol. 1

davidleon.bandcamp.com

David Leon (Left Channel) - alto saxophone, piccolo, game calls, homemade instruments
Asher Kurtz (Center) - guitar
Chris Pitsiokos (Right Channel) - alto saxophone

1. Fixation 1
2. Fixation 2
3. Fixation 3
4. Fixation 4
Engineered by Zubin Hensler
Mixing and Mastering by Asher Kurtz
Recorded at Lethe Lounge on February 24, 2019.

マイアミ生まれニューヨーク在住のキューバ系アメリカ人サック奏者デヴィッド・レオンが様々なインプロヴァイザーとコラボレーションするシリーズ『カレント・オブセッション』の第1弾。ギターのアッシャー・カーツはオルタナロックバンドIris Luneのリーダーで、テリ・リン・キャリントンのバンドメンバーでもある。サックス以外に様々な楽器を使って音響的なプレイを聴かせるレオンと、ハイテクニックな超絶サックスを聴かせるピッツィオコス、エフェクトを駆使したノイズギターを鳴らすカーツの三者三様のサウンドが色彩に満ちた世界が即興ストーリーを産み出す。

David Leon’s Current Obsession - Bushwick Improvised Music Series - Aug 6 2018



●Concussion Projectile Trio / Enko Ecto Explo ep

www.gakishidosha.net/

Kikanju Baku - Drums on 1-3, Bass/Cello on 4
Chris Pitsiokos - Alto Sax/Percussion on 1-3, San Shin on 4
Luke Stewart - Double Bass on 1-3, Electronics on 4

1. Mountain Village Spry and Lissome (redux revise version)
2. Careen and Flit
3. Slink of the Jaguar
4. Leanan-Sidehe Love Lash
Recorded Jan, 2018 in a London living room
Produced by Kikanju Baku

ロンドンのアンダーグラウンドシーンで活動し、ロスコー・ミッチェルとの共演で知られるドラマー/ノイジシャンKikanju Baku(機関銃爆?)とピッツィオコス、ルーク・スチュワートによるコンカッション・プロジェクタイル・トリオ(脳しんとう発射トリオ)の1st EP。2018年1月ロンドンのKikanju Bakuの家で完全即興でレコーディングされた。常に覆面で顔を隠し、日本の漫画やアニメをデフォルメしたアートワークやレタリングを多用するKanjuの超エキセントリックな世界観はピッツィオコスとスチュワートの過激な部分を刺激し、荒削りながらもエネルギッシュな爆裂プレイを展開する。楽器を持ち替えて演奏された4曲目ではピッツィオコスは何と三味線を弾いている。こういう遊び心が音楽を面白くする。このトリオのレコーディングは他にもあるらしく、現在Kikanju Bakuに問い合せ中。在宅中にKikanju Bakuのことをもっと掘りたいと思っている。

▼ロスコー・ミッチェルとKikanju Bakuのデュオ
Rosoce Mitchell & Kikanju Baku lyv in London Oct 19th


在宅で
デジタルアルバム
聴き放題

▼クリス・ピッツィオコスはCOVID-19で危機のニューヨークを脱出し安全なヴァージニア州の田舎に滞在中。新たな音楽制作に意欲を燃やしている模様。
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【JazzTokyo#264更新】平野剛 Go Hirano インタビュー/CP Unit 『One Foot On The Ground Smoking Mirror Shakedown』レビュー

2020年04月05日 09時51分37秒 | 素晴らしき変態音楽

音楽情報サイト『JazzTokyo - Jazz and Far Beyond』最新号が更新された。特集はRIPマッコイ・タイナーとジョージ大塚。剛田武は以下の記事を寄稿した。

Interview
●平野剛 Go Hirano

Interview #205 平野剛 Go Hirano

簡素な中に豊かなものが響き合う、あるがままの音楽
「私のアプローチは純粋な即興と楽曲の中間にあります。楽曲は必要だと思っていますが、それを完成に近づければ近付けるほど瑞々しい魅力が失われると思っているので、その境界線を探しています。」

Corridor of Daylights



CD/DVD Disks
●CP Unit / One Foot On The Ground Smoking Mirror Shakedown

#1972 『CP Unit / One Foot On The Ground Smoking Mirror Shakedown』

欺瞞を見破り正気を保つためのハーモロディック・ダンシング・ブルース。
アメリカーナ=ブルースの要素を加える事で、より広範な音楽ジャンルと演奏スピリットを注入し、逼塞した今の時代を生き抜こうとする強い決意を表明した意欲作となった。

One Foot on the Ground


あたりまえの
日常生活
待ち望む

▼平野剛 新作制作中。
go  piano preview

2020/03/24 に公開

I'm working on a new album.
May your precious everyday come back,
I am praying.

新しいアルバムを制作する予定でいます。
大切な日常が戻ってきますように、、
祈っています。
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【私のB級サイケ蒐集癖】第29夜:ムーミンの国フィンランド発、化学の友人『ケミアリセット・イスタヴァト Kemialliset Ystävät』の曖昧性理論

2020年04月03日 11時58分25秒 | 素晴らしき変態音楽


1979年高校生の頃サンフランシスコの匿名音楽コンボ、ザ・レジデンツと出会い夢中になった。特に愛聴したアルバムは『ノット・アヴェイラブル Not Available』(78)だった。N.セナダという前衛音楽家の「曖昧性理論」に基づき74年に制作され、制作者がこの作品の存在を完全に忘れるまでリリースされない(アルバム『ザ・サード・ライヒンロール The Third Reich 'N' Roll』ライナーノーツより)とされていた作品である。N.セナダの存在自体がレジデンツの創作ではないかと噂され、リリース制限も「やらせ」っぽい気がするが、初期レジデンツの作品中で最も哀感のあるメロディと夢の中を彷徨うような朦朧としたサウンドが産み出す訳の分からなさは、聴くたびに展開を見失う健忘症状をもたらし、初体験とノスタルジアの軋轢で脳の一部が機能放棄する無明の悦楽に耽れる。それこそ「曖昧性理論」の本質だと感じた。80年代半ばまでレジデンツを追っていたが、85年の初来日公演を観てから、なんとなく聴かなくなってしまった。筆者が求める「曖昧性」のベールが剥がれてしまった気がしたのかもしれない。

The Residents - Not Available - 2CD pREServed edition


サイケデリックやノイズ/アヴァンギャルドに筆者が求めるひとつの基準が「曖昧性理論」と言える。直裁的なガレージパンクの輪郭を暈すストレンジなエフェクト、誰がどの楽器を鳴らしているのか判然としない集団フリークアウト、先の展開が読めない非イディオム即興。。。例えばサン・ラ・アーケストラやヒューマン・アーツ・アンサンブルのとりとめもないサウンドの森に木霊する奔放な自由演奏は、脳の思考機能をオフにして耳と心をなすがままに泳がせる時に初めて別世界の扉を開けてくれる。トリップよりもジャーニーと呼びたい夢見心地の音楽旅行こそ最高のサイケデリック体験なのである。

Sun Ra Arkestra "Shadow World" West Berlin


そんな悦楽の旅に誘ってくれる現行アーティストを某レコードショップのサイトで見つけた。「不思議の国の森林状況レポート」とコメントされたケミアリセット・イスタヴァト Kemialliset Ystävät(ケミカル・フレンズ=化学の友人)という覚えにくい名前の音楽ユニット。1995年にフィンランドの地方都市タンペレ出身のミュージシャン、ヤン・アンデルセン Jan Anderzénを中心に結成された。ギター、マンドリン、バラライカ、ハンド・パーカッション、ハルモニウム、玩具、サン・ラやシュトックハウゼンのサンプリング、ポエトリー、エレクトロニクス等様々な楽器を使って産み出すサウンドは途轍もなくカラフルでストレンジな手工業音楽。曲によってはレジデンツやスロッビング・グリッスル、大竹伸朗よりもポール・モーリアやふきのとうに近いラヴリーポップなメロディも飛出し、一筋縄では語れない迷宮入りの音楽性と曲と曲の繋がりすら暮夜けてしまう躊躇い溢れる展開は「曖昧性理論」の源流を遡って進化した異形のスピリット(精霊)が息づいている。サウンドにさらなる曖昧模糊のスパイスを振りかけるのがビデオクリップ。

Kemialliset Ystävät: Kajastusmuseo(反省劇場)


Kemialliset Ystävät - Arkistorotat(鼠の古文書)


ホームビデオを編集した安上りのビデオドラッグや家族総出で寸劇に興じるスラップスティックを観る限り、彼らのお楽しみは大袈裟な社会革命や頭脳改革ではなく、日常や自然界に潜む身近な神秘の解放にあるに違いない。狂っているように見えるのは、ムーミントロールの生まれ故郷フィンランドの風土が持つメルヒェン・エキスの成せる技だろうか。

取り急ぎ国内の中古レコ屋やネットサイトで注文可能な2枚を入手した。

『Kemialliset Ystävät / Sunroof! ‎– Split Series #19』
(FatCat Records ‎– 12FAT076 / 2008)


A1 –Kemialliset Ystävät : Taivaassa On Loivemmat Mäet(天国のなだらかな丘)
A2 –Kemialliset Ystävät : Hyvällisen Tähdellistä(よくやった)
A3 –Kemialliset Ystävät : Yöllä Tulen Ja Raapasen Tulen Karvoihin!(夜に髪に火を点けてひっかけ!)
A4 –Kemialliset Ystävät : Pirtua Raamatun Kansissa(聖書の糞野郎)
A5 –Kemialliset Ystävät : Tässä Maassa Kun Näin Makailen(あなたが横たわるこの地球で)
B1 –Sunroof! : Little Ornamental Lake Of Death
B2 –Sunroof! : Spiritual Forgery
B3 –Sunroof! : Extinction Fantasy

イギリスの80’sノイズバンドSkullflowerのMatthew BowerのソロプロジェクトSunroof!とのスプリットアルバム。イギリスのFatCatレコードのスプリットシリーズの第19弾で、両者の間に直接の関係はなさそうだが、Sunroof!の時代を感じさせるLoFiノイズドローンに比べて、時代も出自も超越したケミアリセットの森羅万象音楽の異様さがよくわかる。ちなみに白いジャケットに穿たれた穴は、シリーズ番号の数になっている。本作は19個の穴がある。

Kemialliset Ystävät - PS-1 part 1 Live at PS-1, Long Island City, Queens, NY on afternoon of June 1, 2008



『Kemialliset Ystävät ‎- Kultaista Kaupunkia Etsimässä (黄金の街を探して)』
(Dekorder ‎– Dekorder 071 / 2013)


A1 –Kemialliset Ystävät : Marsin Kanaalit(火星の運河)
A2 –Kemialliset Ystävät : Opaali(オパール)
A3 –Kemialliset Ystävät : Yhdeksänmetrinen Jättiläinen(9メートルの巨人)
A4 –Kemialliset Ystävät : Hyppivät Saaret(跳躍諸島)
A5 –Kemialliset Ystävät : Onko Tulella Vapaa-Aikaa?(灯を消す時間だね?)
A6 –Tomutonttu : E.K.A.(E.K.A.)
A7 –Tomutonttu : Nahinahin Ranta(ナヒナヒ・ビーチ)

片面ピクチャー・レコード。もともと2009年8月にレコーディングされ、Olde English Spelling Beeレーベルからリリースされる予定だったが、レーベルの閉鎖によりお蔵入りしていた音源。ドイツのDekorderレーベルの10周年記念Hybrid Vinyl Seriesのひとつとしてリリースされた。ヤン・アンデルセンのソロユニット、トムトントゥ Tomutonttuの曲が2曲ボーナス・トラックとして収録されている。ヴィジュアルアーティストでもあるヤンのカラフルなデザインのピクチャーディスクが素晴らしい。

Kemialliset Ystävät - Marsin Kanaalit



1995年に結成されてから2018年の最新作『Siipi Empii(躊躇いの翼)』まで15作を超える作品をリリースしていて、BandcampやSpotifyで多くの音源が聴ける。聴けば聴くほど増幅する曖昧性の迷宮に魅了され、ヤンの北欧テキスタイル・アートに包まれたレコードの現物が欲しくなり、Discogsでフィンランドのディーラーへ注文したが、COVID-19の為に日本へ荷物を送れない状況にあると連絡がきた。待ち遠しいが今は雌伏すべきとき。コロナが回避できた暁には、フィンランドの化学の友の音楽に脳と心臓と肺が機能放棄するまで耽溺したい。

Kemialliset Ystävät⇒http://www.kemiallisetystavat.com/
Jan Anderzén⇒http://www.janderzen.net/
Interview⇒http://www.phinnweb.org/5HT/interviews/kemialliset/

ケミカルな
化学反応
サイケ道

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