グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

庚申塚の杜

2009年10月09日 | 歴史・文化
 台風18号の通過で皆さんには被害がありませんでしたでしょうか? こちらでは、観察を続けていたウミガメの産卵巣の場所が、大波で浸食されて1巣が跡形もなく流出してしまいました。孵化脱出してもいい時期が近づいていたので、また、前夜の雨の中、危機一髪で脱出して行った、ということにしましょうか。砂とともに流出したのは、卵のカラだけだったと。ポジティブシンキング。(苦)

 産卵地の保護柵もなくなっていましたが、何とか、もう1つの産卵巣は残っているのを見つけました。台風一過の秋晴れの日が続くようなので、ひと安心しています。

 さて、タイトルの庚申塚の杜(こうしんづかのもり)、「杜」は森でもいいのですが、森のイメージほど広大ではないので、こうしてみました。隣接する道路が整備され、石の階段がコンクリのスロープになり、手すりが付いて、バリアフリー化が計られたようです。太いタブノキなどに囲まれて、雰囲気のある隠れたスポットでしたので、いつかご紹介・ご案内したいと思っていました。

 大島にも思わぬところに、お地蔵さんや馬頭観音、小さな水神さんの祠(ほこら)などがまつられていて、その周囲の木立、太い木々や苔むした石垣、シダの茂みなどを見ていると長い時の流れを感じて、由緒などを知らなくても大切にしたい空間だと思えます。

 日本では、神社などで高い樹木をつたって神が降りて来るという信仰があり、木々は神の寄りしろとして、伐採してはならないという禁忌が伝えられていたそうです。そのため、地域の樹種で構成された周囲の森林も信仰の対象として大切にされてきました。

 大島空港の近くにある愛宕山は、小さな側火山(噴石丘)ですが、島内70ほどある他の側火山では見られないスダジイとタブノキの極相林が山頂部付近に残されていて、島内の植物種の3分の1以上の261種がここで確認されました。これは、ずっと昔から島民の信仰の山として大事に保護されてきたためだろうと考えられています。

 今、この愛宕山が、エコツアーのフィールドとして利用されていることは、とても嬉しいことです。空港をジェット化するための拡張計画で1度は消滅の危機にあったからです。大島の自然を守る会の、もう故人となられた先生方とご協力頂いた多く方々のお陰で山を残すことが出来ました。・・・斜面の一部は削られましたが。

 この10月からジェット便はなくなり、羽田飛行場からの便は、プロペラ機1往復になりました。最初からプロペラ機を導入していれば、多額の公費を無駄使いすることなく、愛宕山も削らなくてよかったわけで・・・。

(なるせ)
 
 

  

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