雑誌『世界』が「分水嶺」というドキュメントを連載している。当初少し読みはじめて、ああこれはコロナの「専門家」を自称する「感染症ムラ」の方々をヨイショするものだと思い、読んでいなかった。岩波書店がこういうドキュメントを連載し、それを単行本として発行するとは。
読んでいないのになぜここに書くのかと言えば、昨日のYouTubeで、北原みのりさんがその一部を読んだようで、紹介していた。
世界標準のコロナ対策は、何度も何度も書いてきたが、PCR検査を広汎に行って感染者を見つけ出し隔離・治療する、そして非感染者への感染拡大を抑える、というものだ。
しかし日本はそういう対策をとらなかった。その理由は、日本式対策を、厚労省の医系技官や「感染症ムラ」の方々は採ろうとしたのだそうだ。「日本式コロナ対策」。なるほど。だから当初から「with corona」などと言っていたんだな。日本式は、coronaと末永くお付き合いする方式なのだそうだ。中国や台湾、ニュージーランドのようなcoronaゼロ作戦はやらない。「日本人はずっと昔から自然と共存してきた」(この言説、私はそう思っていない。日本ほど自然を壊してきた国民はいない。海岸線をみてみよう。昔のままの海岸はほとんど残っていない!)から、ウィルスとも「共存」していこうという施策なのだそうだ。
そのために、ウィルスの跳梁を許し、感染者が出たらそこを叩くだけ。今ではこれも出来なくなっているが、「濃厚接触者」を見つけ出しPCR検査をして感染しているかどうかを確認するのだが、しかし「濃厚接触者」をどう認定するかはあまりに杜撰な状況だ。すでに COVID-19は空気感染することが証明されているのに、接触感染や飛沫感染の可能性ある者だけを検査する、マスクをしていればしない、という代物だ。
これだけでも、日本式コロナ対策には呆れてしまうのだが、しかしまだ感染したら治療が積極的に行われる、というのならまだよい。しかし、「自宅療養」という「自宅放置」が続く。薬の処方もなく、ただ自宅で耐え忍びなさい、もし重症になったら入院させますよ、もし自宅で急変した場合はそのときは仕方がないから、あの世にいきなさい。
その「専門家」の代表たる尾身某。いろいろ一貫していないことをのたまうが、しかし彼が代表を務める病院機構は、ほとんどcorona感染者を受け入れていない。それでいて政府から補助金はたんまりもらっている。要するに厚労省の医系技官の意見に従っていれば、厚労省から税金がたくさんくるのだ。
厚労省の医系技官も、尾身など「感染症ムラ」の人々は、みんな日本式コロナ対策でいこうと考えている。外国から入国する人々の監視を強めろという指摘があっても、coronaとの共存を図っているのだから、そんなことしないよ、ということなのだろう。
感染者が少し減ってきているが、感染者の増減を波で表現しているが、コロナ感染には波がある。外国でも下がり始めている。おそらく、冬に向けて、もっと大きな感染の波が襲ってくるだろう。
医療関係者はもっと働け、でも尾身が代表を務める病院機構はラクしてていいよ、国民はもっと自粛して感染しないようにしろ、感染しても自己責任だぞ、感染してもよほど瀕死の状況にならなければ医療措置はないぞ、ウィルスさんたち仲良くしようね・・・・というのが厚労省の医系技官と「感染症ムラ」の方針、つまり日本式コロナ対策なのだ。
こういう事態を切り開いていくためには、自民党・公明党政権は永遠にさようなら、しかない。