フェミニズムに関わった女性たちのインタビュー集である。
まず「「私」を生きる」の田中美津さん、米津知子さん、滝石典子さん。読んでいて、すごい!という感嘆の声をあげた。すごいバイタリティ。自分自身がもった疑問をひたすら追及しながら、様々な壁にぶち当たりながらある時はその壁を打ち破り、ある時は方向転換し、とにかくひたすら前を向いて歩み続ける。その生きる姿勢に脱帽する。まさに自分自身の「生」=「私」をひたすら生きぬく。
こういう生き方をしている女性は、全国各地にいるはずだ。
「「女」って何?」は、上野千鶴子さん、井上輝子さん、樋口恵子さん。いずれも学者である。この三人は学者として、女性の問題を、みずからが生きる中でもった疑問を学問的に明らかにしようと奮闘してきた。中でも上野さんはすごい。ビシッとした指摘に、すごい!と思う。
上野さんの著書には、すごいことばが並んでいるようだ。「ようだ」というのは、私は上野さんの著書を、新書版の数冊しか読んでいないからだ。『家父長制と資本制』は、出版されたときに購入しているが、本棚に鎮座したままだ。
「ジェンダーの枠組みのもとでは、男性はまず何よりも(女性)差別者である・・・差別者になるためには、差別された者が必要になる。差別された者がおらず、全員が差別者である社会は考えられない」
これはクリスティーヌ・デルフィーの言葉だそうだ。
「わたしの考えるフェミニズムは、弱者が弱者のままで、尊重されることを求める思想のことだ」
これは上野さんのことば。同感である。
「考えてほしい」には、加納実紀代さん、池田恵理子さん、高里鈴代さんが登場する。加納さんは最近亡くなられた。近現代史に於ける女性のありかを実証した。加害と被害の重層性。この三人は読んでいて、きわめて自然体でそれぞれの仕事に取り組んできたという感じである。力み感がない。だからこそ底知れぬエネルギーを感じる。
加納さんのことば。
「現在」は歴史的に形成されているわけですから、当然歴史的に変えることができる。疑問をもち、力を合わせて変えようとすれば変えることができる。リブはそれを証明したと思います。リブの誕生から40年以上たって、ちっとも変わっていないこともいっぱいあるけど、やっぱり大きく変わっている。
池田さんはもとNHK。池田さんがNHKに入るときのことをこう言っている。
当時のNHKはいまの産経新聞よりも右寄りと位置づけられていたから、活動仲間から、「お前は魂を打ったのか」と批判されたこともありました。
なら、今のNHKは「先祖返り」なのだろうか。
「あなたへの伝言」は、田中喜美子さん、中西豊子さん、桜井陽子さん。
田中さんは、「個人的なことは政治的なことである」ということばをもとに、今の政治状況を憂う。
中西豊子さんは、京都で女性関連の本を売る松香堂という書店を開いていた。今はWANを立ち上げている。
ここでインタビューを受けた人びとのエネルギッシュな生き方、差別的な日本社会での奮闘に頭が下がる。
とても良い本である。
WANは知らなかった。