浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「自由な職業選択」

2023-06-15 20:48:28 | 社会

 『週刊金曜日』の巻頭にある「風速計」。田中優子さんが「売春禁止法をめざそう」を書いている。

 「まだ売春を「自由な職業選択」として支持する人々がいる。」と。

 田中さんは江戸時代の文化の研究者、遊郭についても研究してきた。遊郭の研究の中で、いわゆる遊女と呼ばれる女性の「命を削る」姿を見てきた。

 そこで、

「若ければ高い値がつきその後は値段が落ちるだけで、将来の可能性を伸ばす余地などない。絶えず病気と暴力の危機に晒され何の保障も受けられない。それは職業とは言えない。女性たちをこれ以上、そこに追いやってはならない。」

 と書く。

 私も同感である。売春という「職業」はあってはならないと思う。田中さんの主張に賛成である。

 

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関東大震災100年

2023-06-15 19:26:33 | メディア

 2023年は、関東大震災100年である。9月に向けて、関東地方を中心にそれに関する催し物も増えることだろう。

 『週刊金曜日』は、関東大震災を連続で取り上げるとのこと。最初の第1回は、事実が集積しているのに、それを強引に消し去ろうという歴史否定の愚者たちに対する、貴重な証拠としての朝鮮人虐殺を描いた絵を示す。

 凄い絵である。絵は表紙にも使われている。新井勝紘氏の文は、その絵の発見までの経緯が記され、具体的にどのような場面が描かれているかを記す。迫力ある絵と、そして文である。

 愼蒼宇の「朝鮮独立運動への弾圧が導いた虐殺」という語りをまとめたものに、「日清戦争以降の官民一体の「暴徒討伐」戦争の延長線上に関東大震災時の朝鮮人虐殺が位置づけられる」という指摘に、私は同意する。その「戦争」に、大日本帝国臣民は動員され、そして戦った。その記憶は、かれらの心身に刻まれ、1923年9月に首都圏で出現したのだ。

 

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【本】ひろたまさき『異国の夢二』(講談社)

2023-06-15 16:17:15 | 

 ひろたまさきさんは、2020年6月17日に亡くなられた。ひろたさんとは、メールや手紙をやりとりしていたが、この頃は止んでいた。手紙は、ワープロで印刷したものもあったが、ほとんどは絵ハガキに、そこには小さな字がいっぱい書かれていた。端正な字であった。

 ひろたさんが肺がんであることは聞いていたし、治療に励んでいたことも知っていた。そして長年に亘って研究していた竹久夢二を何とか完成させようとされていた。夢二に関する文章を何度かもらっていたし、私自身も夢二の絵が好きだったし、ちょうど某所での講座で何か話さなければならなかった時だったので、「竹久夢二ー~生の軌跡」をテーマに掲げた。2018年であった。

 私が、夢二の足跡をたどって、夢二が亡くなった信州の高原日光療養所跡(現在はJAの病院になっている)にいったことを報告すると、ひろたさんは私も行きたかった、というハガキをもらったこともある。

 夢二が書いたものをすべて集め、関連文献を渉猟してまとめたものを講座で発表し、私自身の夢二の見方をひろたさんに送ったこともある。

 ひろたさんの夢二研究にかける情熱を知っていた私は、ひろたさんが亡くなられた報せをうけ、夢二研究はどうなるのだろうかと心配していた。ひろたさんは、亡くなられる前、もう八割は完成していると言っていた。

 ひろたさんの夢二研究は、高木博志さんらの手で整理され、本になった。嬉しい限りである。ひろたさんも天国でさぞ喜ばれていることであろう。まさに「遺著」である。

 ひろたさんには、私が書いたものも送っていた。送るたびにきちんと読んでくださって、何らかの批評をいただいた。それが楽しみで書き綴っていた。

 しかし、ひろたさんが亡くなられてからは、書く意欲が私のなかから消えていった。私が教えを受け、親しくしていただいた方々が、次々と物故され、私だけが取り残されたような、そんな気がしている。

 今日、恵贈されたこの本を、さっそく読もうと思う。ひろたさんとは、1997年頃からのつきあいであった。たくさんの本をいただいた。ひろたさんには、感謝しかない。

 

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