自分自身とは異なる者がいるということ、そうした存在の尊厳を尊重することは、とても重要なことだ。私は男性として生まれ、みずからを男性だと認識しているが、そうでない存在もいる。性の多様性は、人間存在の多様性として認めなければならない。ましてや、そうした存在を差別するなんてことはもってのほかである。それぞれがそれぞれを尊重すること、これに尽きるわけだが、なぜか日本では、そうしたことが実現されない。
LGBT法に関して、それを換骨奪胎したい勢力、あるいは反対する人びとによる、ウソを前面に掲げたキャンペーンが繰り広げられた。それはなんと国会でも、である。人一倍人権に関して敏感でなければならない人、人権擁護に邁進しなければならない立場にいる者が、どこかの宗教団体と符節を合わせて、法案とは無関係の虚偽を前面に押し立てて法案をつぶしにかかっていた。
そしてそれに呼応するかのように、ウソとデマが書かれたチラシがまかれた。
残念ながら、今の日本の政治は、ヘイトや差別を肯定する人によって担われているようだ。そういう人に投票する人びとは、いったい何を思っているのだろうか。