浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「入植者植民地主義」

2024-03-21 21:41:00 | 

 「入植者植民地主義」ということばを何度かみるようになった。その背後には、イスラエルによるパレスチナ人に対するジェノサイド的行動がある。

 ユダヤ人国家であるイスラエルは、なにゆえにそんなにも残酷になることが出来るのか、と思う。

 さて『世界』4月号で、酒井啓子さんがこの「入植者植民地主義」についての本を紹介している。いくつかの本を紹介しながら、イギリスがニュージーランドで行ったマオリ族に対する暴虐行為(まさにジェノサイドであった!)などを指摘し、「アメリカが、スペインが、イギリスが、新大陸で先住民を追い出して自分たちの国をつくることにまったくの罪悪感をもたない、どころか「開拓精神」などという美談に変えてしまうのなら、イスラエルが同じことをやって、何が悪い?」と書く。

 本当にそう思う。ついでに記しておけば、明治初期、日本人によるアイヌ民族に対する迫害は、アメリカのその「開拓精神」を真似たものだ。だから日本人の手も汚れている。

 酒井さんは、デイン・ケネディの『脱植民地化ー帝国・暴力・国民国家の世界史』から「ヨーロッパ人が海外で従属下に置いた諸人民に対し長年にわたってとり続けてきた容赦ない根本方針や政策、それとまったく同じものをヒトラーはヨーロッパというアリーナに適用した」を引き、「ユダヤ人がナチに迫害されたのは、まさに、欧米が行ってきた植民地支配が内化されたものだ」という指摘があることを記す。

 なるほど。そういう考えの存在をはじめて知った。

 歴史は繰り返している。人間は、歴史から学ばず、同じことを繰り返す。そこには「倫理」はない。野蛮な欲望があるばかりだ。

****************

 やっと本を読めるようになった。仲よくしていた学者がすべて他界してしまい、知的な話をする相手がいなくなった。本を読むことでしか知的触発がなされなくなったのが悲しい。

 

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社会的な倫理観

2024-03-21 21:16:59 | 日記

 『週刊金曜日』最新号の新刊紹介には、読みたくなるような本が並ぶ。

 まず『ケアの論理』(岩波新書)の紹介文を読み、これは読まなければならないと思った。というのも、ここに「リベラリズムの倫理においては、理性的で自律した個人が集まって普遍的正義に基づく社会を作る」に対しての「ケアの倫理」として、「誰もが生まれたばかりの時には他人に完全に頼りきっていたように、他人に依存するという形での「つながり」こそが人間の普遍的な条件であるという認識から出発する」が記されていたからである。

 私は、まさにその「リベラリズムの倫理」を意識的に追求し、それに沿った倫理観をつくってきたし、生きてきた。できうる限り感情や欲望をおさえて理性的に行動し、自律的に生きる、そのためには自立を図らなければならない、その自立には経済的自立はいうまでもなく、生活的自立(だから私は家事万般を行うことができる)も求められ、できうるかぎりあらゆる場面で他人に依存しないということ、それを実践してきた。学問的な面でも、他人に頼るのではなく(他人からはサジェスチョンしか受けない)、自ら学び理解する(自分自身が分かるまで学ぶ、考える)、思想的、学問的な自立である(だから多方面の書物を購入し読んできた)。

 しかしこういう生き方は、なかなか厳しいものであった。しかし近代的人間類型こそが民主社会の主体として存在可能であるという認識をもって、生きてきた。

 今になって、確かに「ケアの倫理」がいうように、他人に依存しながら生きていくことこそが「普遍的」ではないかと思うようになってきたが、いまだ「依存する」ことが体質的にできない。「依存する」のは、家族だけである。

 とりあえず『ケアの倫理』を購入しておこうと思う。

 

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ベトナムのこと

2024-03-21 18:07:57 | 

 『週刊金曜日』の最新号が今日届いた。本田雅和記者の「「本多勝一のベトナム」を行く」という連載が、今号で終わる。

 何度も書いているが、私が若い頃、ベトナムではアメリカという巨大な軍事国家が、ベトナムに最新兵器で襲いかかっていた。そのあまりの理不尽に、多くの若者が怒り、ベトナム戦争反対の声を挙げた。私も高校生の頃から、ベ平連の一員としてベトナム戦争反対運動に加わった。

 ベトナムの民衆は、大きな犠牲をはらいながらも、アメリカ帝国主義という巨大な怪物を追い払った。戦争は終わったけれども、アメリカ軍による空爆、とりわけ枯葉剤の撒布により、ベトナムの国土は荒廃していた。しかし、ベトナムの民衆は、そうした困難があっても、少しずつ国土を建設していった。

 私も日常生活をおくりながらも、ベトナムのことを気にかけていた。そして一度だけ、関空からベトナムを訪問したことがある。当時、静岡市に住んでいたもと朝日新聞記者の臼井茂さんがベトナムで学校建設の援助をしていたことから、その関係者と連絡を取り、ベトナム戦争の戦跡などを案内してもらった。クチトンネルも入ることができた。

 カンボジアのポルポト政権の侵攻、中国との戦争があったりしたが、私はベトナムを支持し、ベトナムの未来にいつも期待をかけてきた。

 『週刊金曜日』が、「本多勝一のベトナム」の連載をはじめたとき、たいへん喜んだ。本多勝一こそ、ベトナムに取材に入り、ベトナム戦争の真実を報じていた。彼のルポルタージュは今も尚処分せずに手元にもっている。

 本多勝一が報じた「現場」がどうなっているか、そこに住む人びとは何を経験し、考えているか、実際に本田雅和さんが訪問して、現在を報じている。素晴らしい企画であった。ぜひ加筆して書籍化して欲しいと思う

 ベトナム戦争はわが青春であった。ベトナム戦争反対の経験が、今の私を形成したと思っているからである。ベトナムの人びとは、わが青春時代の「師」であった。

 「社会主義」国としてのベトナムの今はどうなっているのか。今号は国会議員であったズオン・チュン・クオックさんからの聞き取りであるが、これがなかなかよかった。

 「社会主義」とは「今日よりもよりよい社会」であり、「目標は平和、統一、独立、民主、豊かさを実現する国の建設」であって、それを共産党が「自分たちが指導してこれをつくる」としている国がベトナムなのだ。

 最後に引用されていた、通訳をしていた鈴木勝比古さんの「戦争の中でもその後の曲折の中でも、ベトナム人民は持ち前の明るさと知恵で、都度、賢明な選択をしてきた。これからも必ず・・・・」ということば、戦い続けてきたベトナムの人びとと歩んできた者が言うことのできる内容だと思う。私も鈴木さんと同じように、ベトナムの人びとを信じ、期待するひとりである。ベトナムの未来に幸運を!と願う。

 

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あなたは幸福?

2024-03-21 07:40:41 | 社会

世界幸福度ランキング 日本は51位 20日は国際幸福デー

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