浜松演劇鑑賞会の例会、前進座の「くず~い 屑屋でござい」を見た。落語の「井戸の茶碗」をもとにしたものだから、わかりやすくて面白かった。ただし、カネに困って屑屋に仏像を売った者、落語では娘と暮らす浪人であるが、劇では娘とその母であった。また屑屋の清兵衛は、パーフェクトな善人ではないが、その他の人びとは落語と同じように清廉潔白な者ばかりだ。
しかしこういうわかりやすい演劇は、誰もが、わかりやすく面白かった、という感想をもつだろう。あるいは、江戸時代には、清廉潔白な人がいたんだねえなどという感想をいだく者もいるかもしれない。しかしそれ以外の感想をもつことは、おそらくない。
話の筋はわかりやすく、話の展開も相応の動きがあってドラマになっていた。それはそれでいい。だが、私は、いろいろな感想がでてくる演劇が好きだ。だから、前進座の出し物より、新劇系のものが好きだ。