アメリカ大統領に、トランプが就任した。就任と同時に、彼はかなりのスピードで動いている。
ネット記事などから引用すると、以下のような政策がある。
「米国の黄金時代が今始まる」「米国を再び偉大にするため、私は神によって救われた」「私は今、米国では何事も不可能ではないことの証としてここに立っている。不可能とされることこそ、われわれが最も得意とすることだ」「不法入国を即座に阻止し、何百万人もの外国人を送還する手続きを開始する」「パナマ運河を取り戻す」「メキシコ湾の名称を「アメリカ湾」に変更する」「気候変動問題に対する国際的な枠組み「パリ協定」から脱退する」「政権の一日一日、米国を第一に考える。最優先事項は誇り高く、繁栄し、自由な国をつくることだ」「米国は富を増やし、領土を拡大して成長する国家だと考える」「米国民を豊かにするため、(輸入製品に)関税を課す」「今日から性別は男性と女性の2つだけであることを政府の公式方針とする」
これらの政策をみると、別段新しいものでもない。どんな人が大統領であっても、アメリカ合州国は歴史的に独善主義をひたすら追求してきた国家だからだ。
アメリカ合州国は、当初から先住民・インディアンを「殲滅」し、そのあとに「明白なる運命」だとして「新大陸」(彼らにとっての新、である)の支配を正当化してできた国家である。最初の移民たちは、ピューリタンたちだ。彼らの信じる宗教にもとづいた国づくりを、彼らは始めた。
さて、岩波新書に『アメリカ 過去と現在の間』(古矢旬、2004年)がある。同書は、アメリカ合州国を次の五つの概念で分析している。
ユニラテラリズム、帝国、戦争、保守主義、原理主義
これらが通時的に出現していることを描いていて、当然これらは移民が「新大陸」に入ってきたところから始まっている。キリスト教の聖書をもとにした宗教的原理主義、それらを墨守する保守主義、そしてインディアンとの戦争の中で、アメリカ合州国は建国されたこと、まさにそれは帝国としての方法であった。そして先住民を殲滅した後にかれらが奪い取った広大な大陸は、孤立していても豊かな生活ができたのである。
建国後も、通商政策に於いても独善主義は貫かれ、自分たちだけがよければいい、という方針は常に保持されてきた。
トランプの政策の基本は、アメリカ合州国の伝統的なもので、アメリカ国民にとっては、別に目新しいものではないだろう、だからトランプが支持されるのである。
トランプが独善的な政策を繰り広げるだろうが、それこそがアメリカ合州国の本質だとみれば、トランプによってアメリカ合州国の真の姿が世界の人びとの前に示されるのである。