本を捨て続けている。これは「雑紙」として、これはブックオフ・・・というように。
その時々の政治の動向を書いた本は、すべて「雑紙」である。しかし文学作品は、そうはならない。
文学作品は、フィクションではあるが、一定の「事実」を書く。なかには現実と接点のない「事実」もあるが、しかし多くはその時々の現実と接点をもちながら描かれる。その「事実」が、現実をはるかに凌駕するほど現実に肉迫する場合もある。
金石範の『火山島』はフィクションなのか、と思う。済州島4・3事件を描いた『火山島』。
『世界』11月号の金石範の文に、「政治的であっても、政治を超えた文学、芸術の絶対性はついには政治を支配するものだ。政治は歴史の信仰とともに抜け殻となる。芸術は永遠である。」があった。文学は、「事実」をもって現実を変える力がある。
だから捨てられない。