管理職の意向を忖度しないで生きている者はあまり多くはない。管理職が強い姿勢を示せば、多くの者はなびく。そういう姿を私は見てきた。なぜか。管理職とことを構えたくはない、管理職によく思われたい、などの俗情があるからだ。また管理職によく思われないと「出世」(昇進)していかないからだ。
私は労働者の権利を守る闘う組合の一員であったから、当初から「出世」はありえず、管理職の意向を忖度することなど一切してこなかった。ストライキにも参加し、処分も何度かされてきた。おかしなことはおかしいと指摘し、こうすべきであると思ったことはそう主張してきた。
そういう組織や個人がいたから、管理職の意向が組織全体を覆うなんてことはなかった。
JRとして民営化される前、日本国有鉄道には、国鉄労働組合というそういう組合があった。そこで働く人びとは、日本の輸送の基幹を担う者としての誇りと自覚、同時にその安全を維持する使命を抱いて仕事をしていた。
ところが、日本全体の新自由主義化(私企業の最大利益を最大化する考え)にとって、そういう組織が邪魔であると判断した支配層は、国鉄労働組合に最大限の攻撃をしかけた。その手段となったのが国鉄の分割民営化であった。日本国有鉄道は民営化され、国民の財産であったものが私企業化され、株主のものとなった。そして国鉄は分割された。日本の鉄道は、ばらばらにされた。
昨日、北海道の鉄道が寒波襲来により運休が相次いだというニュースがあった。ただでさえ人口が減り、路線が廃止される中、北海道単独では鉄道事業が維持できないようになっている。だからさらに路線を減じ、労働者も減らしていく動きを示す。地方の交通網は急速に消え去っている。地方では生活することがむつかしくなってきている。
他方、カネもうけできる場を承継した、JR東日本、JR東海、JR西日本。彼らはカネもうけを最大限の原動力にしている。利用者の便益よりもみずからの利益を、というのが会社の方針である。
JR西日本は大きな事故を起こした。経営者の、スピードをあげろ、他社に負けるな、経営者の思い通りにならないと懲罰だ、などと労働者を駆り立てた。それに抵抗する組織はもうなかった。そして事故が起き、多くの人が犠牲になった(JR西日本に殺された)。事故の中で運転手は亡くなった。経営者は自分たちに責任はない、悪いのは労働者だというスタンスをとり続けた。それは今も変わらない。『朝日新聞』がその責任者にインタビューした。
そのなかで彼は、事故原因について、「運転士が悪い。『脱線していいから走れ』と言ったことはない」と述べた、という。こういう厚顔無恥の経営者が、国鉄の分割民営化のなかで育成された。
JR東海は、リニア新幹線建設を強行し、日本の大自然を破壊し始めた。自然は、きっと報復することだろう。しかしその際、日本の歴史が物語っているように、ほんとうに責任を負わなければならない者が責任を負わない。「無責任の構造」というが、「無責任」は支配層に分けられ、「責任」は庶民に分けられる。
こういう社会を、日本人は許してきた。今もである。
私は労働者の権利を守る闘う組合の一員であったから、当初から「出世」はありえず、管理職の意向を忖度することなど一切してこなかった。ストライキにも参加し、処分も何度かされてきた。おかしなことはおかしいと指摘し、こうすべきであると思ったことはそう主張してきた。
そういう組織や個人がいたから、管理職の意向が組織全体を覆うなんてことはなかった。
JRとして民営化される前、日本国有鉄道には、国鉄労働組合というそういう組合があった。そこで働く人びとは、日本の輸送の基幹を担う者としての誇りと自覚、同時にその安全を維持する使命を抱いて仕事をしていた。
ところが、日本全体の新自由主義化(私企業の最大利益を最大化する考え)にとって、そういう組織が邪魔であると判断した支配層は、国鉄労働組合に最大限の攻撃をしかけた。その手段となったのが国鉄の分割民営化であった。日本国有鉄道は民営化され、国民の財産であったものが私企業化され、株主のものとなった。そして国鉄は分割された。日本の鉄道は、ばらばらにされた。
昨日、北海道の鉄道が寒波襲来により運休が相次いだというニュースがあった。ただでさえ人口が減り、路線が廃止される中、北海道単独では鉄道事業が維持できないようになっている。だからさらに路線を減じ、労働者も減らしていく動きを示す。地方の交通網は急速に消え去っている。地方では生活することがむつかしくなってきている。
他方、カネもうけできる場を承継した、JR東日本、JR東海、JR西日本。彼らはカネもうけを最大限の原動力にしている。利用者の便益よりもみずからの利益を、というのが会社の方針である。
JR西日本は大きな事故を起こした。経営者の、スピードをあげろ、他社に負けるな、経営者の思い通りにならないと懲罰だ、などと労働者を駆り立てた。それに抵抗する組織はもうなかった。そして事故が起き、多くの人が犠牲になった(JR西日本に殺された)。事故の中で運転手は亡くなった。経営者は自分たちに責任はない、悪いのは労働者だというスタンスをとり続けた。それは今も変わらない。『朝日新聞』がその責任者にインタビューした。
そのなかで彼は、事故原因について、「運転士が悪い。『脱線していいから走れ』と言ったことはない」と述べた、という。こういう厚顔無恥の経営者が、国鉄の分割民営化のなかで育成された。
JR東海は、リニア新幹線建設を強行し、日本の大自然を破壊し始めた。自然は、きっと報復することだろう。しかしその際、日本の歴史が物語っているように、ほんとうに責任を負わなければならない者が責任を負わない。「無責任の構造」というが、「無責任」は支配層に分けられ、「責任」は庶民に分けられる。
こういう社会を、日本人は許してきた。今もである。