
近頃はなかなかバーに行く機会がありませんが、旭川の夜は行くと決めていたバーがありました。バーテンダー歴52年、上田和男さんんの「バーテンダー歴50年を祝う会」でもお会いしたことのある、吉田善信さんのバー、オー・ド・ヴィーです。昨日ご紹介した「和 だいにんぐ 日吉〇」の二軒隣にありました。
旭川と言えば木材・家具で有名ですが、カウンターには北海道産の栓の木(ハリギリ)が使われているそうです。

カクテルハウスということなのですが、この日はウィスキーでまとめました。初めは、バルヴェニー12年・ダブルウッド。なめらかで蜂蜜のような甘みとバニラ香。バーボン樽からシェリー樽に詰め替えて熟成させていることからダブルウッドと呼ばれます。

ザ・マッカラン アンバー 1824シリーズ。アメリカンオークとヨーロピアンオークのシェリー樽による熟成ですが、色を見て分かる通りオフィシャルのザ・マッカラン12年と比べるとやや薄い琥珀色をしています。シェリー樽由来のレーズンのような甘みが少し抑えられている感じがしました。

ザ・マッカラン・カスクストレングス。かつてハロッズの『ウィスキー読本』が、「ウィスキーのロールスロイス」と絶賛し、故スティーブ・ジャクソン氏も高く評価していたマッカラン。見るからに重厚な濃い茶色、これぞマッカランと思わせる深い甘味、プルーン、チョコレートのような味わいが後まで長く続きます。60度という度数を感じさせませんが、空気を含ませて香りが開いてくるとさらに落ち着きが出て深みが増します。残念ながら、もう作られていないのだとか。

最後は少し軽め、軽めと言ってもバーボンらしい力強さが抑えられているという意味ですが、フォアローゼズ・プラチナ。
長年この仕事に携わっておられる吉田さんから、樽にまつわる豆知識を伺ったり久しぶりにバーに来たという実感がしました。お話の中で、今年作られたばかりの新しい蒸留所、厚岸蒸留所を教えていただきました。厚岸は寒暖差が大きい事、荒々しい海沿いにあること、霧が出ること、近くで泥炭(ピート)が採れること等、スコットランドのアイラ島にとても風土が似ているそうです。そういえば、牡蠣の産地ということでも同じですね。この厚岸から日本人らしい本物にこだわったピーティーなウィスキーがやがて誕生するでしょう。今から期待が高まります。
カクテルハウス オー・ド・ヴィー

北海道旭川市三条通6丁目右10号 カワイビルB1F
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
