6月3日、横浜スタジアムに横浜vs楽天1回戦の観戦に行ってきました。心配された雨も午後の一時的なもので済み、試合開始前には晴れ間も見えるようになりました。横浜は交流戦、ソフトバンクに2勝1敗で勝ち越したものの、西武とオリックスに1勝2敗、ここまで4勝5敗です。一方、対戦相手の楽天はシーズン序盤で圧倒的な強さを見せ、首位を独走していましたが、現在パリーグ2位です。
このところの横浜は先発投手陣が炎上続きで軒並み2軍落ち。仮にそこそこの失点で抑えていたとしても、四球が多いなどリズムを作れず、そんな時は打線が沈黙するという悪循環が続いているように思えます。目下頼れるのは今永投手、大貫投手ぐらいで、あとは投げてみなければ分からない。一方、序盤苦しんだ中継ぎから抑え陣は少し安定しつつあります。この日、怪我で戦列を離れていた大田選手、森選手が待望の一軍登録。ぜひこの二人に出場機会のあるような展開を期待したいところです。
さて、横浜の先発は何とか頼れる二人の一人、大貫投手。ここまで3勝2敗ですが、これでもチームの勝ち頭というところに現状の苦しさがあります。
その立ち上がり。不振に苦しむ西川選手にファウルで粘られ、結果三振でしたが、討ち取るのに9球を要しました。
続く小深田選手は2‐1と追い込んでから4球目でレフトフライ。
しかし、3番浅村選手にはフルカウントからの8球目をセンター前に、それもきれいにライナーで弾き返されます。
さらに島内選手もフルカウントからの8球目をレフト前へ。単打ではありましたが、いずれも強い当たりでこの先が思いやられる内容でした。
案の定、マルモレホス選手は初球レフトフライでしたが、フェンスギリギリ。何とか無失点で切り抜けたものの、ボールが先行し、打者3人にフルカウント。初回だけで30球を要するという不安な立ち上がりでした。
1回裏、楽天の先発は昨年2年目で二桁勝利を挙げたものの、今季はまだ1勝と振るわない瀧中投手。
その瀧中投手の立ち上がり。横浜は一死から二番柴田選手がセンター前ヒットで出塁。
すると続く宮崎選手が、外角から真ん中よりの低めに入ったストレートをレフトへホームラン。立ち上がりに苦しむ大貫投手に大きな2点をプレゼントします。
2点を貰って落ち着きを取り戻してほしい大貫投手でしたが、2回表もピリッとしません。先頭の辰巳選手を不運といえば不運なセカンドへのボテボテのあたりで出塁させると、
続く鈴木選手もセンター前へ。あっという間に無死二塁・一塁。その後は下位打線に向かう中で抑えましたが、2回で52球。このペースでは4回途中で100球に達してしまいます。
2回裏、二死から8番関根選手が四球を選び、この回を9番で終わらせます。次の回に投手を残して簡単に3人で終わらないこと。地味な貢献ですが、大事なことだと思います。
3回表。この回も先頭の小深田選手をボテボテのピッチャーゴロに討ち取りながら、送球が走者に当たるというプレーで出塁を許すという嫌な展開。しかし、中軸打線を迎え、ここから大貫投手が粘りました。3番浅村選手を4球で三振、4番島内選手はまたしてもボール先行で3‐1となりましたがライトフライ、そしてマルモレホス選手も4球で三振。立ち直りの兆しを見せます。
3回裏、一死から柴田選手が四球で出塁。
続く宮崎選手も四球。現在三冠王に最も近い男、牧選手の前にランナーを貯めるという理想の形が出来上がります。
そうなれば横浜ファンの期待は牧選手のホームランに集中します。何とその初球、よりによってチェンジアップがど真ん中に甘く入りました。これを牧選手が逃すはずもなく、打った瞬間それと分かるレフトスタンド上段への3ラン。これで0vs5。あとは不振に喘ぐソト選手が復調してくれば、オースティン選手の復帰を待たずとも相当破壊力のある打線になります。
4回まで持つかと心配された大貫投手でしたが、4回表を下位打線とは言え三者凡退に抑えます。結果、先に先発に見切りをつけたのは楽天の方でした。楽天は4回裏から酒居投手が登板。酒居投手は嶺井選手にヒットを許しますが、下位打線のこの回を無失点で抑えます。
5回表の大貫投手。酒居投手の代打渡邊選手にまたしてもフルカウント。結果的にファーストゴロで、続く西川選手はピッチャーゴロに討ち取りますが、そこから小深田選手、浅村選手に連続四球。最後、島内選手を三振に切って取り、この回無失点。悪いなりにゲームを作ったとは言えますが、5点のリードを貰いながら最後までフラフラした感じが拭えませんでした。ただ、全体的には制球が定まらなかったというより慎重になりすぎた印象です。
横浜は6回、7回と入江投手が登板。この入江投手が素晴らしい投球でした。150㎞超の力強いストレートと140㎞前後のフォークボールが冴え、打者6人を完璧に抑えました。特に圧巻だったのは7回表、炭谷選手、山崎選手、西川選手と三者連続三振。2回4三振という素晴らしい内容でした。入江投手が試合を締めてくれたことにより、流れは完全に横浜に傾いたと感じましたし、安心して見ていることができました。
さらに球場の雰囲気を盛り上げたのが、7回裏。一死二塁から代打大田選手が登場。良い時と悪い時のムラがある大田選手ですが、この選手には雰囲気を変えるオーラがあります。結果は死球でしたが、
ここでもう一人。お待ちかねの森選手が代走で登場します。球場の横浜ファンは大喜び。
その7回表をも上回ったのが、8回表、牧選手と森選手2つのファインプレー!特に森選手、絶好調のオープン戦で好調故の怪我で離脱し、その鬱憤を晴らすかのように躍動していました。明らかにセンター前に抜けるかという当たりに追いついただけでも凄いのに、そこからの送球動作の早さ、さらには送球も投手やれるんじゃないかと思わせるほどの肩の強さ。目の前で見て度肝を抜かれました。
古い話ですが、往年のオジー・スミス選手を彷彿とさせます。まさに次代のスーパースターに駆け上がる素質十分です。
8回裏、横浜は一死一塁から、こちらも復調が待たれる桑原選手の二塁打でさらに1点追加。これで0vs7。
最後は宮國投手がやや不安定ながらも無失点で締めました。もちろん課題がなかったわけではありませんが、見どころ満載の完勝だったと言えるでしょう。選手の顔つきにも集中の様子が見て取れますし、大田選手や森選手が復帰してきたことによって、横浜反撃の機運を感じました。
横浜ファンは1回勝っただけで「横浜優勝!」とか大はしゃぎするとよく言われます。それは一つには、ここ最近のオリックス戦、西武戦を見ても分かるように、せっかく良い内容で勝っても後が続かない。こうした傾向も一因としてあると思います。今度こそ、この試合が反撃の烽火となりますように!
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした