昨年11月13日、屋久島にある本坊酒造さんの屋久島伝承蔵へ行きました。焼酎の蒸留所はこれで霧島町蒸留所、霧島蒸留所につづき3軒目です。
開所は1960年、まだ屋久島で林業が盛んにおこなわれていた頃ですね。明治20年からあるという古甕を含む、手造り甕仕込みという伝統的な製法で、屋久島産の芋と屋久島の超軟水を使った、まさに「屋久島の焼酎」を製造しています。
硬度120mg/ℓ未満であれば軟水と呼ばれる中、屋久島の水の硬度は驚きの10mg/ℓ。飲めばその違いが誰でもすぐに分かるほどです。
宿ではその軟水で炊いたご飯が出てきたのですが、本当に驚くほど美味しいのです。
さて、話を戻して焼酎造りを工程順にみていきましょう。まずは原料の薩摩芋(黄金千貫)。最近は薩摩芋が腐る病気、「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」が全国で流行しており大変なのだとか。
芋は機械で水洗いし、一つ一つ人の手によって皮をむきます。皮ごと蒸している蒸留所も多い中、ここでは皮をむいています。
酒蔵の軒下に黒っぽいものが見えます。これが酒蔵に棲みついている酵母です。日本酒もそうですが、酒蔵ごとに棲みついている酵母がその酒蔵で作られるお酒の個性を生みます。
仕込み。この蔵の手作り麹を和甕に移し仕込みを行います。全部で56個の和甕がありますが、現在和甕を作る業者はもういないそうです。この和甕を地中に埋めることで、温度管理を一定に保ちます。和甕による仕込みで、ステンレスタンクでは出せない独特の風味が出るそうです。
蒸留器。米麹とふかした薩摩芋を混ぜ、発酵してできたモロミを蒸留させれば焼酎の原液(ハツダレ)ができます。加水してアルコール度数を調整すれば焼酎の出来上がりです。
ここには焼酎の他、ウィスキーを熟成させる蔵もあります。本坊酒造さんのマルスウィスキーは、「駒ヶ岳」や「薩摩」など僕も大好きな美味しいウィスキーを作っていらっしゃいますが、ここでは長野県の信州蒸留所と鹿児島県の津貫蒸溜所で蒸留した原酒を熟成させています。屋久島の気候を活かし熟成されたウィスキーは、「シングルモルト駒ヶ岳 屋久島エイジング」など、数量限定で販売されています。
熟成庫はオーク樽とモルトの香りで本当に癒されます。
屋久島伝承蔵 本坊酒造
鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2384
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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