窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

日本実務能力開発協会交流会(第14回)に参加しました

2018年05月21日 | 日本実務能力開発協会


  5月19日、札幌にて日本実務能力開発協会の交流会に参加させていただきました。年2回開かれるこの交流会、残念ながら昨年11月の回はホテルと飛行機の予約が取れず参加できませんでした。結果、1年振りの参加となったのですが、久しぶりという実感がまったくありませんでした。札幌の皆さん、今回も大変お世話になりました!



  懇親会時の写真しかなく申し訳ございませんが、昨年同様交流会は2時間の勉強会と懇親会の二部構成で行われました。今回のテーマは、「質問力を鍛える」。

  質問。相手の思考を促したり、そこから新たな気付きを得たりするための、あるいは人間関係をより円滑にするための効果的な「声かけ」と言い換えてもいいかもしれません。誰もがやっている日常的行為でありながら、僕も日々その難しさを実感しているテーマです。上手な質問をすれば、先に述べたような様々な効果が期待できる反面、下手な質問をすると全く逆の、意図せざる結果を招いてしまうことにもなりかねないのが「質問」だからです。



  人は他者に対してばかりでなく、自分自身に対しても様々な質問を投げかけています。「カラーバス効果」として知られていますが、人には疑問を持つことによって関連する情報をより知覚しやすくなる、または自分の内面の関連情報を検索するようになる心理効果があると考えられています。一口に質問と言っても様々な種類がありますが、今回は特に「特定質問」と「拡大質問」に絞って勉強しました。

  「特定質問」とは、簡単に言うと「Yes/No」で答えられる質問を言います。答えやすく素早い情報処理に適している反面、会話が広がらないので、気づきを得たり考えさせたりする質問としては不向きという短所があります。「拡大質問」は「特定質問」の逆で、「Yes/No」では答えられないような質問の仕方を言います。その名の通り、会話がどんどん広がっていくので、人間関係を円滑にし、会話から様々な学びや気づきが得られる効果が期待できます。ただし、「Yes/No」では答えられなくても、答えが限定されているような質問(例えば「誕生日は?」など)も限定質問に含まれるので、拡大質問のつもりだったのが実は限定質問だったというようなことが現実には起こりがちだということです。

  最初にウォーミングアップ。向かいの席の方とペアになり、限定質問と拡大質問のワークを行いました。僕の相手は初めてお会いする方だったのですが、あっという間にお互いウィスキーが好きだという共通項が見つかりました。するとなるほど、そこから会話がどんどん盛り上がっていきました。たった3分で旧知の友達だったかのようになってしまうのですから、「質問」は侮れません。

  拡大質問のコツは、俗にいう「5W1H」を意識して質問を組み立てることだそうです。ただし、5Wの内のWHYだけは、論理的に答えを突き詰めていきたい時には適しているものの、論理性を求められる分受け手の心理的負担が大きく、自尊感情が低下の危機にさらされる恐れがあるので注意が必要です。このコツも話だけ聞けばいかにも簡単なことのようなのですが、実際に特定質問から拡大質問への変換を行う二番目のワークを行ってみると、「言うは易し行うは難し」であることを痛感させられます。特に気づいたのは、相談してきた相手の言葉そのものにとらわれ、効果的な質問を組み立てるための発想が狭くなってしまうということです。相談してきた意図を汲み取り、柔軟に質問の仕方を考えることが必要だと思いました。易しいことではありませんが、これをスムースに行うことができるようになれば、日々の人間関係がもっと素晴らしいものになるだろうと思います。

  さて、先ほど自分では拡大質問をしているつもりが、特定質問になってしまっているということについて触れました。三番目のワークは、そのような拡大質問を行うにあたって陥りがちな罠について学習しました。

例1.質問が漠然とし過ぎて、答えが見つけられない
例2.質問を装って、自分の要求を押し付けている
例3.自分の答えに誘導している
例4.矢継ぎ早に質問し、考える間を与えない
例5.立場を利用した質問をする


  これらの罠を回避するには、

対策1.幾つかの切り口に分解した質問をする
対策2.Iメッセージで伝える
対策3.主観を捨てて、相手の中の答えを引き出す
対策4.一つ一つの答えに共感を示す
対策5.対等な気持ちと支援する姿勢


が大切だそうです。日々膨大な情報を手早く処理することが求められる職場という環境の中で、こうした姿勢を身に着けていくには、質問の送り手に相当な自制心と日々の訓練が求められそうです。だからこそ「陥りがちな罠」ということになるのでしょう。しかし見方を変えれば、忙殺の中に自制心と訓練の場が日々提供されているとも言えます。

  当たり前なようでできていない、簡単なようで奥の深い「質問」。身近にいる質問の上手な人を参考にしてみるのも良いかもしれないと思いました。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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