5月19日、札幌にて日本実務能力開発協会の交流会に初めて参加させていただきました。普段横浜にいる僕はもちろん初めてお会いしたのですが、皆さん気さくな方ばかりで、最後の方には僕も前からいたかのような顔をしていました。札幌の皆さん、ありがとうございました!
懇親会時の写真になってしまいますが、協会理事長の上前拓也先生。交流会は1時間45分ほどの勉強会と懇親会の二部構成で行われました。勉強会のテーマは、イラショナルビリーフ(非合理的な思い込み)について。これはアルバート・エリスが1955年に提唱した『論理療法』の理論で使われる用語の一つです。我々は合理的(論理的)思考により、より心理的負担の少ない形で社会に適応することができますが、中には経験、教育、環境などの要因によって形成された非合理的(非論理的)思考もあり、それが社会に対する不適応を生む原因になることがあります。これがイラショナルビリーフと呼ばれるものですが、論理療法ではこのイラショナルビリーフをラショナル(合理的)ビリーフに変換することによって、不適応を弱めることを目指します。
イラショナルビリーフには、「私は~でなければならない」(囚われ思考)、「どうせ私には~ない」(どうせ思考)、「~なので、もう…できない」(結び付け思考)、「~すべきでなかった」(後悔思考)などのパターンがあります。この「ならない」、「できない」、「ない」、「すべきでない」の部分がイラショナルビリーフで、これをラショナルビリーフへと変換します。
イラショナルビリーフの特徴は、①事実に基づいていない、②論理的でない、③幸せな結果をもたらさないことです。つまり、その対極であるラショナルビリーフの特徴は、①事実に基づいている、②論理的である、③幸せな結果をもたらすということになります。従って、楽観やポジティブ思考も事実に基づいていなかったり、非論理的であればラショナルビリーフではないということになります。むしろ、それはポジティブの皮を被った、形を変えたイラショナルビリーフの類と言えるでしょう。
この、イラショナルビリーフからラショナルビリーフへの変換を説明するものが「ABC理論」です(ABCD理論と呼ぶこともあるようです)。このABC(+DE)とは、以下の頭文字をとったものです。ポジティブ心理学の提唱者、マーティン・セリグマンはAをAdversity(困った状況)、EをEnergization(元気づけ)とし、ABCDE理論と呼んでいますが、内容はほぼ同じです。
A:Activating event(出来事)
B:Belief(信念)
C:Consequence(結果)
D:Dispute(反論)
E:Effect(効果)
即ち、心理的反応は出来事(A)があって結果(C)が起こるのではなく、必ずそこに信念(B)が介在します。この信念が非合理的であるために、不適応な結果が生まれると考えます。
そこで、非合理的な信念に論理的な反論(D)を加えることで、それまでの信念が非合理的であったことを理解し、より幸せな結果へと結び付けていきます(E)。
さて、問題は適切な反論をどのように行うかですが、幾つかの例題で実際にこのABCDEのプロセスを体験してみました。同じ問題に対しても、それに対する反論として過度の一般化に注目する人、省略部分を具体的に掘り下げていくアプローチをとる人など、参加者によってそれぞれ視点が異なっていたのが興味深い点でした。この理論は自分の思考パターンを検証する上でも非常に有効なのではないかと思いました。
第ニ部は会場を移しての懇親会。懇親会からという方も加わり、大いに話が盛り上がりました。冒頭で書いたように、まるで以前から知り合いだったかのような錯覚に陥る、気軽な集まりでした。皆さんのお人柄のおかげで非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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