1月11日、13年目を迎える新年最初のYMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回の講師は、株式会社横濱屋の山本宗男社長。YMSで毎年大好評の夏のイベント、「ワインセミナー」は山本社長の多大なご協力で開催させていただいております。その意味で、YMSと大変縁の深い社長様です。
【過去のワインセミナーの様子】
2022年:真夏にガブ飲みできるスッキリ爽やかワイン
2019年:おうちで楽しめるテーブルワイン
2018年:ワインを飲んでいる時間を無駄な時間だと思うな。その時間にあなたの心は休養しているのだから
2017年:酷暑の中でさっぱり飲めるワイン特集
2016年:世界が認める勝沼甲州ワインを軸にした日本ワインとフレンチのマリアージュ
2015年:夏に合うワインと料理のマリアージュを楽しむ
2014年:注目のジャパニーズ・ワインを楽しむ
2013年:手ごろなワインと料理のマリアージュを楽しむ
横濱屋さんは創業133年、横浜市内に食品スーパー5店舗、酒屋さん4店舗、「業務スーパー」のフランチャイズ1店舗を展開する業務用酒類販売の商社さんです。それでピンと来られる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回のテーマは「コロナ禍で失ったもの、或いは得たもの」です。
前述の通り、横濱屋さんは1889年(明治22年)3月に現在の横浜市南区宮元町(当時は区制前)で「山本屋」として創業されました。余談ですが、僕は南区新川町の生まれですので、1㎞ほどしか離れていない地元になります。元は近くの弘明寺観音へ参拝する人々や、鎌倉街道を往来する人々に向けてお茶屋を作ったのが始まりだそうです。その後次第に萬屋化していき、1978年(昭和53年)にはスーパーを開店。1990年(平成2年)に老舗の井藤酒舗と合併し、株式会社横濱屋と改組してから業務が拡大していったそうです。
一方、山本社長自身は1993年に横濱屋に入社。当時社長だった叔父さんから業務のイロハを教えていただいたとおっしゃっていました。
「業務用酒販は百人百様の営業をしなければならない」
「全勝する必要はない、(相撲も)8勝7敗すれば上に上がれる」
というのは叔父さんの教えだそうです。
しかし、その叔父さんが2017年に他界。代わって社長に就任しますが、今度は会長であるお父さんが2019年に他界。そして数字をご覧になってお分かりと思いますが、直後に新型コロナが襲います。特に横浜は港にダイヤモンドプリンセス号が停泊していたことから、いち早くコロナによるネガティブな影響を受けた地域です。その後、酒類販売を主とする飲食店が大変な困難に見舞われたのは記憶に新しいところ。
社長に就任して日も浅く、会社の基礎を築かれた先代二人を失ってのコロナ禍。その後苦労は並大抵のものではなかっただろうと思います。2020年には酒類の売上が1/4に落ち込みました。幸い、食品スーパーとの二本柱で事業を行っていたため、全体の売上が1/4に落ち込むことにはなりませんでしたが、逆に売上減に伴う給付金も受けられず。
「会社経営とはバトンランナーである。バトンをつなぐことが一番重要」というのは、お父様の言葉だそうですが、このような激変する環境に起死回生の一手などなく、いかに会社を守るかが至上命令でした。
仕事が減ってしまった業務系酒販事業の人員を、お客様へのサービスレベルを落とさないよう配慮しながらスーパー事業へ回すことで雇用を確保。2020年度、2021年度と連続の赤字に見舞われましたが、2022年度は何とか黒字回復できそうだとのことでした。
このように、コロナによって失ったものもある代わりに、得たものもあると山本社長はおっしゃいます。一つには、業務系酒販事業の人員がスーパー事業を経験することにより、今まで知らなかった別事業の苦労をお互いに理解する契機となったこと。また組織としても柔軟に対応する風土も生まれました。さらには、お客様との絆。特に非常に苦労されている飲食店様にスーパー事業の強みを活かして当時不足していたマスクを提供したことは、大変喜ばれたそうです。四つ目として、仕事環境が激変することにより、目の前の仕事に忙殺されてきた日常から少し距離を置くことができたこと。それがそれまで当たり前と思ってきた業務を見直す良い時間となったそうです。まとめて言えば、本業により深く向き合えるようになったと。
「総じてみれば失ったものより得たものの方が大きい」
と、山本社長はおっしゃっていました。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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