8月9日、今年恒例のYMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)馬車道十番館ワインセミナーを開催することができました。
【過去のワインセミナーの様子】
2022年:真夏にガブ飲みできるスッキリ爽やかワイン
2019年:おうちで楽しめるテーブルワイン
2018年:ワインを飲んでいる時間を無駄な時間だと思うな。その時間にあなたの心は休養しているのだから
2017年:酷暑の中でさっぱり飲めるワイン特集
2016年:世界が認める勝沼甲州ワインを軸にした日本ワインとフレンチのマリアージュ
2015年:夏に合うワインと料理のマリアージュを楽しむ
2014年:注目のジャパニーズ・ワインを楽しむ
2013年:手ごろなワインと料理のマリアージュを楽しむ
コロナ対策としての規制も緩和され、今回は本来の立食型のセミナーが戻ってきました。テーブル式も良い面はあったのですが、やはり「交流」という点では立食形式の方が望ましいのかなと思います。さらに今年はさいたま市より「さいたまを元気にする会」の皆さんがわざわざバスを仕立てて多数ご参加下さり、会場は総勢48名、ほぼいっぱいとなりました。埼玉の皆様には心より御礼申し上げます。
さて、今年のテーマは「酷暑にこそ合わせたい!ワインと料理のマリアージュ」。ワインだけでなく、馬車道十番館さんによる、ワインに合うお料理とのマリアージュもこの会の特徴です。
ワインのラインナップは以下の通り。
シャトーメルシャン 椀子(まりこ) ロゼ 2021
シャトーメルシャン 椀子 ソーヴィニヨン・ブラン 2020
グランポレール 長野 メルロー
グランポレール 長野 シャルドネ
サントリーフロムファーム品種シリーズ 甲州 日本の白 2020
サントリーフロムファーム品種シリーズ マスカット・ベリーA 日本の赤 2019
ニッカ シードル・ドライ
ニッカ シードル・スイート
ジェイコブス・クリーク 江戸切子
ジェイコブス・クリーク スパークリンング・ロゼ
個人的嗜好になってはしまうのですが、まずこの蒸し暑い夜、爽やかなスパークリングから始めたいです。恐らく、YMSワイン会でほぼ定番(第34回、61回、86回)ともいえる、「ジェイコブス・クリーク スパークリンング・ロゼ」。穏やかな発泡の爽やかさと、イチゴのような果実味が感じられ、スタートにはもってこい。
見た目に涼しげだからなのか、何となくロゼに手を伸ばしてしまいます。それも今回の「椀子 ロゼ 2021」は、辛口で程よい酸味。タンニンが抑えられており、すいすいと飲めてしまいます。これも夏向きのお酒と言えるでしょう。
去年(第140回)に続いての、「ジェイコブス・クリーク 江戸切子」。最初は、オーストラリアの「ジェイコブス・クリーク江戸切子スパークリング」。伝統工芸士根本達也氏とのコラボレーションによる日本限定販売の辛口スパークリングワイン。これもまさに爽快感のある夏のスパークリング。こちらは先ほどより泡が口の中で丸く広がる感じがします。
さらに泡系ばかり行ってしまうのですが、ニッカの「シードル・ドライ」と「シードル・スイート」。ニッカといえばウィスキーですが、元は「大日本果汁株式会社(略して日果)」で、リンゴジュースを製造販売していた会社。印象的だったのはスイートの方で、僕がシードルというと辛口しか飲んだことがなかったということもあるのですが、本当にリンゴジュースのように甘くて飲みやすく、とても美味しかったです。
「椀子 ソーヴィニヨン・ブラン 2020」。当ブログでも何度か書いていると思いますが、ソーヴィニヨン・ブランは僕の最も好きなブドウ品種の一つ。グレープフルーツのような柑橘系の爽やかさが好きです。長野県椀子の土壌が粘土質であるためなのか、ミネラル感はあまりなく、素直に飲めてしまいます。欲を言えば、もう少しピーマンや芝草のような青臭さが欲しい、あれが好きなのです。
「グランポレール 長野 メルロー」と同「シャルドネ」はブドウ品種の「らしさ」が素直に表れている感じです。メルローは、カベルネ・ソーヴィニョンとのブレンドですが、メルローらしい穏やかで丸みのある舌ざわり、ベリー系の果実味が感じられます。シャルドネも柑橘系の香りと酸味、かといってシャルドネ感を主張し過ぎないやや控えめな果実味。
最後に、日本の固有品種、「甲州 日本の白 2020」、「マスカット・ベリーA 日本の赤 2019」。日本におけるワイン造りの歴史は近代に入ってからだと思いますが、甲州というブドウ品種自体は平安末期には既にあったとされています。ヨーロッパ種と中国種の交配とされ、恐らく遣唐使などの使節によって持ち込まれたのだろうと想像します。正倉院の「瑠璃坏」などを見ると、ひょっとしたら奈良時代にはワインが持ち込まれていたかもしれないなどと思ってしまいます。「蘇」というチーズのような乳製品はありましたしね。
一方、マスカットベリーAの方ははっきりしており、「日本ワインの父」と呼ばれる川上善兵衛が1927年にアメリカ産のベリー種とヨーロッパ産のマスカット・ハンブルグ種を交配して生み出した品種です。
いずれの品種も、フィニッシュが短く、酸味があり、果実味が穏やかという印象があります。そのため、ワイン単体で楽しむというより、料理と合わせたいワインです。甲州の方なら白身魚のお寿司、刺身、カルパッチョなど。マスカットベリーAなら赤身の刺身(カツオのたたきなどいいですね)か、照り焼きや味噌煮のような料理。以前から思っていたことですが、その土地のお酒と料理はなぜ合うようにできているのか?本当に不思議です、偉大な自然のなせる業としか言いようがありません。
最後に、開催に際し、いつも多大なご尽力を頂いている株式会社横濱屋の山本社長、馬車道十番館の本多社長に心より御礼申し上げます。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
過去のセミナーレポートはこちら。
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