さて順序が逆になってしまいましたが、決勝戦に先立ち神戸製鋼vsヤマハ発動機の三位決定戦が行われました。
観衆は公式発表で22,377人、11:40のK.O.でしたが、9:30には早くも当日券が完売し、秩父宮ラグビー場には大行列ができていたようです。
試合は、前半昼近くの日差しを背にし、かつ風上(ピッチ上はかなり舞っていたようでしたが)に立つ神戸製鋼がハイパントを多用しヤマハ陣に攻め込みます。一方のヤマハ発動機は、先週行われた準決勝のパナソニックvs神戸製鋼も反映してか、強みのFWを前面に押し出す攻撃で応戦。
最初のトライは前半10分。スクラムからバックスに展開したヤマハ発動機がゴール前に迫ると、ラックから堀江選手がゴール右中間に持ち込んでトライ。しかし強風の中、五郎丸選手のキックは外れました。0vs5。
一方、神戸製鋼もすぐに反撃。前半19分、ヤマハ陣ゴール前のラインアウトからモールを形成。FWが密集を突きながら左に移動すると、最後はゴール左中間前のラックからエリス選手が飛び込んでトライ。山中選手のGKも決まって7vs5と逆転します。
さらに23分、ヤマハ陣約40m付近でヤマハ発動機がペナルティ。強風の中、山中選手がPGを決め、10vs5。
そして38分、ヤマハ陣10mライン付近でヤマハ発動機がペナルティ。するとエリス選手がクイックスタートからそのまま約40mを独走し、ゴール中央にトライ。GKも成功し、17vs5。神戸製鋼がヤマハ発動機を突き放し前半を終えます。
ところが後半に入ると、ヤマハ発動機のアタックに俄然勢いが出てきました。後半10分、ヤマハ発動機はスクラムからバックスに展開。ゴール左中間前のラックから大戸選手がトライ。GKも決まり、あっという間に17vs12と1トライ差に追い上げます。
20分。神戸製鋼はヤマハ発動機のラインアウトのミスからヤマハ陣へ一気に攻め込みます。このまま神戸製鋼のトライかと思われましたが、宮沢選手が目の覚めるようなタックル。前にこぼれたボールをヤマハ発動機が拾うと、何とマレ・サウ選手が自陣10mライン付近から一気に走り切ってゴール左にトライ。この際、宮沢選手のタックルがオフサイドだったのではないかということでTMOによる判定となりますが、トライは認められました。GKも決まり、ついにヤマハ発動機が17vs19と逆転。恐らく神戸製鋼が取っていれば完全に神戸製鋼に流れが行っていたと思われるプレーでした。
逆に神戸製鋼から見ればショックの残るプレーだったと思います。ところが22分、ヤマハ陣10mライン付近で五郎丸選手のパスを井口選手がインターセプト。そのまま約40mを走り切ってトライ。GKは失敗しますが、22vs19と神戸製鋼が再逆転し、相手に行きかけていた流れを一気に引き戻しました。井口選手、学生の頃からそうですが、ここという場面で魅せてくれます。
目まぐるしい攻防はまだ続きます。28分、ヤマハ発動機粟田選手がゴール右中間にトライ。GKも決まり、22vs26。ヤマハ発動機が再逆転。
そしてラストプレー。神戸製鋼は諦めることなく果敢に攻め込みます。ヤマハ陣ゴール付近まで迫ったものの、最後は密集でボールを奪われると、タッチに蹴り出されて万事休す。追撃も及びませんでした。
ここという所でのイージーなミスは目立ったものの、最後まで息の抜けない力の入った攻防が展開されました。わずか4点差、一杯に詰めかけた大観衆にとって見応えのある試合だったのではないかと思います。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした