1月16日、ラグビートップリーグのプレーオフトーナメント準決勝、三連覇のかかるパナソニックとトップリーグが発足した2003年以来の優勝を狙う神戸製鋼との対戦を観戦してきました。
昨年9月に行われたW杯イングランド大会での日本代表の活躍により、俄かに盛り上がったラグビー。一部ではトップリーグのチケットが取れないというような報道もなされていました。この日も依然として続く人気を反映してか、公式発表で14,451人もの観衆が秩父宮ラグビー場に詰め掛けました。
さて、先制点は前半12分のパナソニック。攻守にバランスのとれたパナソニックですが、一発勝負のトーナメント戦ということもあり、ペナルティもタッチに出さず、キックで確実に得点を狙いに行きます。まず、パーカー選手が神戸製鋼陣10mライン右端付近から、約40mのキックを決めます。
リコー戦で10本のキックを決め、マン・オブ・ザ・マッチに選出されたパーカー選手ですが、この試合でもゴールキックを含む、決して易しくはない10本のキックを全て正確に決めました。この試合の42得点中、実に24得点がパーカー選手のキックによるものでしたから、実に大きな存在であったと言えます。
その後も、17分、22分、40分とパナソニックはキックで着実に得点を積み重ね、12vs0で前半を終えます。しかし、前半攻め立てていたのはむしろ神戸製鋼の方でした。パナソニック陣に再三攻め込み、ボール支配率も神戸製鋼の方が高かったと思うのですが、パナソニックの堅守に阻まれ、得点することができません。また、身長208cmの大型FL、ベッカー選手を先発させ、モールでも優位に立っていたのですが、肝心のラインアウトが安定しなかったのが残念でした。一方のパナソニックは、ノット・ロール・アウェイが2つあった位で、前半ほとんど反則がなかったように思います。
この試合最初のトライは後半5分になってようやく生まれます。神戸製鋼陣10mライン付近から、パーカー選手が右側に大きくキックパス。これをピーターセン選手、北川選手、笹倉選手と俊足のバックス陣が繋いで、右隅にトライ。その後パーカー選手が難しい角度のGKも決め、19vs0と2トライ2ゴールでも追いつけない点差に引き離します。
しかし、前半に比べ後半は攻撃にテンポの出てきた神戸製鋼がようやく反撃します。9分、パナソニック陣5mライン付近でラインアウトを獲得すると、FWによる連続攻撃で、最後は後半すぐベッカー選手に替わって入ったバンリーベン選手が左中間にトライ。田邊選手によるGKも決まり、19vs7。
さらに14分、ゴールほぼ正面約30mのPGを田邊選手が決め、19vs10。
ところが、わずか3分後の17分。今度はパナソニックがゴールほぼ正面約25mのPGを決め、すぐに突き放します。ようやく神戸製鋼に追い上げムードが出てきた矢先だっただけに残念でした。
その後は徐々にパナソニックが地力の違いを見せつけ始め、攻勢が顕著となります。25分、ピーターセン選手が左中間に飛び込んでトライ。GKも決まり、29vs10。29分にはパーカー選手のドロップゴールまで飛び出します。
神戸製鋼は26分に山中選手、28分にフーリー選手とインパクトのあるBKを投入しますが、終盤は再びブレイクダウンでスローダウンさせられ、折角のBKに展開することもままなりませんでした。
ダメ押しは32分。パナソニックは自陣10mライン付近でターンオーバーすると、右に展開。ピーターセン選手が神戸製鋼ディフェンスの背後にボールを蹴り、これは神戸製鋼側が抑えますが、それを再びターンオーバーし、今度は左に展開。大きく開いたスペースを笹倉選手が走りきり、ゴール後ろに回りこんでトライ。GKも決まり、39vs10。
試合終了間際、神戸製鋼は最後の反撃を試みゴール正面まで迫りますが、結局ペナルティ。このPGを決められたところでホーン。42vs10とパナソニックの圧勝でした。
次週1月24日の決勝戦は、パナソニックと昨年日本選手権覇者のヤマハ発動機を破った東芝とで行われます。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした