ブリヂストン美術館 「ザオ・ウーキー展」

ブリヂストン美術館(中央区)
「ザオ・ウーキー展」
2004/10/16~2005/1/16

こんにちは。

ブリヂストン美術館でやっているザオ・ウーキーの個展を見てきました。素晴らしい展覧会でした。

展示されていたザオの作品の半分以上は抽象画です。その多くは、カンヴァスのザラザラ感を生かしながら、緻密に、そして時には大胆に、色を合わせていくものでした。色をカンヴァズ全体に塗り広げていくとでも言うのでしょうか。赤、青、どの色も実に鮮やかで、「出せない色はないのではないか。」と思うほど豊かな色彩でした。また、仕上げがものすごく丁寧なのでしょうか。どの色もとても輝いて、その存在感を示していました。実に美しいです・・・。このザオの色を見るだけでも、十分に見に行く価値があります。

美しい色の中には、いくつかの動きを示す線や形があります。そして不思議にも、その線や形(もちろん色の置き方もですが。)が、作品の姿を具体的なものへと変化させるのです。つまり、何か形あるものに見えてくるわけですね。海や炎、大地や湖。それに大気の渦などの自然現象。このような見方、つまり抽象画を何かに置き換えて見る見方は、もしかしたら邪なことかもしれません。ですが、作品を別の具体的な何かに見せることができるのは、ザオの大きな魅力だと思います。もちろん、その具体的な形を、自分の心の中にある何かに置き換えることも出来ます。例えば、意識とかそのはかない移ろいでしょうか。一緒に見に行った連れは、心の琴線に触れるものがあったようです。大感動してしまって、思わずポロポロと涙を流していました。見る人それぞれの大切な琴線に触れる大きな力。それがザオの作品にはあると思いました。

ザオは中国生まれです。会場の案内にも書かれていましたが、確かに、東洋の伝統を感じさせるような表現がいくつもありました。例えば、水墨画の作品はその最たるものでしょうし、色の表現の中にも、まるで黄土の色のようなくすんだ金や、お茶の色を思わせる緑がありました。ただ、そういった文化的な背景は、あまり気にしたくありません。ザオの作品から何を感じるか。私にはこれだけで十分でした。

ところで今回、私は初めてこのブリヂストン美術館へ行きました。恥ずかしながら、東京駅八重洲口近くの殺風景なビル街に、こんな素敵な空間があったとはつゆほども知りませんでした。入り口が、中央通り沿いにではなく八重洲通り沿いにあるのがちょっと分かりにくかったですが、中はとても立派です。常設展は、古代エジプトやギリシャの美術品から、ルノワールやセザンヌ、そしてクレーまで、とても充実したコレクションが並びます。作品の数も適度です。モネの「黄昏、ヴェネツィア」という作品があったのですが、これはとても良い作品でした。見ることが出来てとても満足です。

年の瀬にいいものを見させてもらいました。これはまた行くかもしれません。

*と言うわけで、2回目の感想はこちらへ。
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