2006年 私が観た美術展 ベスト10

先のコンサート編に引き続き、美術展のベスト10を挙げてみました。

「2006年 私が観た美術展 ベスト10」

1 「花鳥 - 愛でる心、彩る技<若冲を中心に>」(1期2期3期4期5期
   宮内庁三の丸尚蔵館 3/25-9/10
2 「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」 7/4-8/27
   東京国立博物館
3 「ゲルハルト・リヒター展」 2005/11/3-2006/1/22
   川村記念美術館
4 「ヨロヨロン 束芋」 6/3-8/27
   原美術館
5 「須田国太郎展」 1/12-3/5
   東京国立近代美術館
6 「赤と黒の芸術 楽茶碗」 9/16-11/12
   三井記念美術館
7 「カルティエ現代美術財団コレクション展」 4/22-7/2
   東京都現代美術館
8 「宇治山哲平展」 2/4-4/9
   東京都庭園美術館
9 「藤田嗣治展」 3/28-5/21
   東京国立近代美術館
10 「HASHI『橋村泰臣』展」 9/16-10/19
   東京都写真美術館



ともかく今年は若冲に尽きます。プライス展を差し置いてでも一番上に花鳥展を挙げたのは、やはりあの「動植綵絵」の印象が非常に強く残っているからです。もちろんプライス展で拝見した江戸絵画の名品も見事でしたが、それを束にしても「動植綵絵」全30幅にて受けた感銘には及びません。それに花鳥展では、全4バージョンの中で最も完成度の高い、酒井抱一の「十二か月花鳥図」を初めて拝見することが出来ました。これも東博の常設に展示されていた「夏秋草図屏風」と同様、私が抱一の魅力にどっぷりと浸かる発端となったような作品かと思います。

3位以下では、期待通りのリヒターはもとより、見る度にその面白さにハマる束芋、または全く未知でありながらも想像以上に惹かれた須田や宇治山、それにHASHIや藤田など、いわゆる作家の回顧展で印象深い展覧会が多かったようです。また7位に挙げたカルティエ展は、主に外野(?)で喧々諤々と賛否両論があったようですが、私はとても面白く感じました。少なくとも今年のMOTの中では一番です。

以下は、ベスト10の他に心に残った展覧会です。

「揺らぐ近代:日本画と洋画のはざまに」 東京国立近代美術館 11/7-12/24
「MOTアニュアル2006 No Border」 東京都現代美術館 1/21-3/26
「プリズム:オーストラリアの現代美術展」 ブリヂストン美術館 10/7-12/3
「ロダンとカリエール」 国立西洋美術館 3/7-6/4
「パウル・クレー 創造の物語」 川村記念美術館 6/14-8/20
「プラド美術館展」 東京都美術館 3/25-6/30
「坂本繁二郎展」 ブリヂストン美術館 6/16-7/8
「伊東豊雄 建築 | 新しいリアル」 東京オペラシティアートギャラリー 10/7-12/24
「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」 世田谷美術館 10/7-12/10
「堂本尚郎展」 世田谷美術館 2005/12/17-2006/2/12
「アートとともに 寺田小太郎コレクション」 府中市美術館 4/29-7/17
「ホルスト・ヤンセン展」 埼玉県立近代美術館 4/5-5/21
「神坂雪佳展」 日本橋高島屋8階ホール 5/24-6/5

全体を振り返ってみると、私の趣向が年々、コンテンポラリーから日本美術へと向っているような気もします。新春早々、来月末より森美術館で予定されている「日本美術が笑う」展が今から楽しみです。

このエントリが今年最後となりそうです。本年も「はろるど・わーど」におつきあい下さり、どうもありがとうございました。それでは良いお年をお迎え下さい。

*関連エントリ
2005年 私が観た美術展 ベスト10
2004年 私が観た美術展 ベスト10その2。2003年も含む。
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2006年 私が聴いたコンサート ベスト5

全くの主観と偏見による、私的コンサートベスト5です。今年は、話題となった外国オーケストラなどの来日公演へ全くと言って良いほど出向いていませんが、それでもなかなか優れたコンサートに接することが出来ました。

「2006年 私が聴いたコンサート ベスト5」

1 「新国立劇場2005/2006シーズン」 4/9
   「カヴァレリア・ルスティカーナ」+「道化師」 ファビオ・ルイージ指揮
2 「東京交響楽団 第536回定期演奏会」 5/27
   ショスタコーヴィチ「交響曲第7番」他 ドミトリー・キタエンコ指揮
3 「読売日本交響楽団 第455回定期演奏会」 12/15
   メシアン「トゥーランガリラ交響曲」 シルヴァン・カンブルラン指揮
4 「東京二期会オペラ劇場」 4/22
   モーツァルト「皇帝ティートの慈悲」 ユベール・スダーン指揮
5 「ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ」 2/20
   ヴィヴァルディ「和声と創意への試み」他 ファビオ・ビオンディ指揮



ベスト5の中でも1位と2位は別格です。オケを鍛え上げ、いつもの新国とは別次元のカンタービレを聴かせたルイージと、東響から恐ろしいまでのパワーを引き出し、冷酷無比なショスタコーヴィチの響きを実現させたキタエンコはともかく圧巻でした。また、4位に挙げたティートはコンヴィチュニーの演出が全てです。ただ先鋭的なだけでなく、あれほど劇の核心にまで到達した舞台を拝見したのは初めてでした。その他、4位のトゥーランガリラは、カンブルランのセンスの良いバトンテクニック、そして5番目のエウローパ・ガランテは、ビオンディの愉悦感溢れる演奏が心に残りました。

ここに挙げた5つのコンサート以外では、「熱狂の日」にて対照的なモーツァルトの宗教曲を作り上げたコルボノイマン、またはゼッダの指揮だけはともかく素晴らしかった藤原のランス、さらにはN響をピュアなサウンドへと変化させたノリントンなどが印象的です。如何でしょうか。

今年は思っていたほどコンサートへ行くことがありませんでした。来年は話題となりそうな公演を含めて、もう少し積極的に音楽に接していきたいです。

*関連エントリ
2005年 私が聴いたコンサート ベスト5
2004年 私が聴いたコンサート ベスト3(2003年の「ベスト10」を含む。)
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