「幻惑の板橋・近世編」 板橋区立美術館

板橋区立美術館板橋区赤塚5-34-27
「開館30周年記念 館蔵品展 幻惑の板橋・近世編」
4/4-5/10



開館30周年を祝して館蔵の近世絵画を公開します。板橋区立美術館で開催中の「幻惑の板橋・近世編」を見てきました。



近世とのことで、メインは言うまでもなく板橋ご自慢の江戸絵画です。ガラスケース無し、停止線なしのお馴染み「お座敷コーナー」をはじめ、雪村、文晁、抱一から狩野派のマイナーな絵師までの軸画、屏風などが、これ見よがしと紹介されていました。昨年の館蔵品展の出品作といくつか重なるものもありましたが、今回は「マイベスト5」として以下、印象深かった作品を挙げてみます。

*なお作品名は「」が板橋オリジナルの現代タイトル、()が正式名です。

5.歌川国貞「気になる手紙」(美人図)



確かに何を読んでいるのかが『気になる』作品です。はしたなく口に封をくわえ、手紙を貪るようにして読む女性が描かれています。手紙はこのままぐちゃぐちゃに丸めて捨てられてしまうのでしょうか。紙を押さえる女性の指先には力が入っていました。

4.河鍋暁斎「釣れんのぅ」(大公望図)



太公望が釣れなくてイライラしています。そんなに水面を睨んでも魚は寄ってこないとアドバイスした方が良いのでしょうか。勢いのある墨線に暁斎らしさを感じました。

3.加藤信清「お経で書いたお坊さん」(五百羅漢図)

→拡大

板橋タイトルがネタバレ中です。全体では何やらごちゃごちゃした羅漢図にしか見えませんが、細部を拡大すると人物を象るのはお経の字句でした。(単眼鏡必須です。)

2.月岡芳年「アイテッ!明治の女は強いなぁ」(正月羽根突図)



バシン!という音まで聞こえてきそうなほど臨場感に溢れています。男性が羽子板で顎をぶん殴られていました。これは痛そうです。

1.鈴木其一「甘い甘い花の蜜」(蝶二芍薬図)



琳派ファンには見逃せない一枚でしょう。輪郭線を用いず、絵具の濃淡だけで美しい芍薬を描いています。蜜を吸う蝶の描写も名人芸的でした。なお、何やら怪し気な作品の板橋名は、上部に書かれた賛に由来しているのだそうです。

如何でしょうか。



また今展示では、少数ながらも新収蔵品が紹介されています。(上の作品はその一部、狩野古信の「林和靖鶴亀図」です。)それらも見所の一つです。



会期初日に行きましたが、熱心な江戸絵画ファンが集まったのでしょうか。まばらながらも館内には一点一点をじっくり見入る方の姿も見受けられました。

なお本展は開館30周年の記念館蔵品展の第一回目です。次回、5月16日よりは同じく「幻惑の板橋」と題した「近現代編」が開催されます。(5/16-6/28)こちらもまた期待出来そうです。

ちなみにご承知の通り、館内の撮影に関しては、



です。一切の制限はありません。遠慮なく、好きな作品をカメラへ収めてきました。

今回は珍しくWEB上にも出品リストが掲載されていませんでした。忘れてしまったのでしょうか。(紙のリストの配布もありません。)作品名は会場でメモをしておいた方が良さそうです。

*追記:pdfファイルでの出品リストが公式HP上にアップされました。また会場でも紙のリストが配布されたそうです。対応をありがとうございます。

太っ腹の入場無料の展覧会です。5月10日まで開催されています。
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