「濱田庄司 スタイル展」 パナソニック電工汐留ミュージアム

パナソニック電工汐留ミュージアム
「濱田庄司 スタイル展」
7/16-9/25



「現代陶芸の第一人者」(ちらしより引用)として知られる濱田庄司の業績を紹介します。パナソニック電工汐留ミュージアムで開催中の「濱田庄司 スタイル展」へ行ってきました。

いわゆる民芸運動を積極的に展開したことでも名高い陶芸家の濱田庄司ですが、彼はイギリスの陶芸と深い関係を持ち、彼の地の生活の在り方や芸術に強い関心を寄せていたことなどはあまり知られていませんでした。


左、イギリス「蓋付書き物机(ビューロー)、ウィンザーチェア」17世紀。右、濱田庄司(デザイン)「装飾電燈傘」1937年。

この展覧会ではそうした濱田のモダニストとしての側面にスポットを当て、とりわけ彼が工芸をどう実際の生活に取り込んでいたかについて検証しています。

会場には陶芸作品はもとより、愛用していた衣服、また使っていた家具などを揃えて、濱田の日常と生活に近づけるよう工夫されていました。

濱田自身が「英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った。」と述べている通り、彼はイギリスの生活や陶芸に強い影響を受けています。

1920年にイギリスへ渡った濱田は、バーナード・リーチとともにしばらく滞在を続けます。そこでまずみいだしたのが、スリップウェアと呼ばれる陶芸です。鳥などの文様が素朴な形で描かれるスリップウェアに濱田は関心を寄せ、自身もいくつかの作品を制作していきます。

自由な曲線、そしてまるで古代壁画を連想させるような可愛らしいモチーフなどは、後の濱田の作陶の原点にもなっていました。

イギリスでの生活は濱田の創作に様々な刺激を与えます。元々、彼は中学の頃から西洋家具に興味を持ち、骨董屋などを廻っていたそうですが、イギリスでもウィンザー朝の家具などを収集していきます。

濱田が書き物机として愛用していたのも、そうしたイギリスで手に入れたものでした。

またいわゆる西洋の民芸品収集にも熱心に取り組みます。スウェーデン製の水注やアメリカの絵壺、そして民芸ではないものの濱田がコレクションしたデルフト焼きの白磁の大皿なども紹介されていました。


左、「三越製 スーツ一式」1950年頃。右、濱田庄司「帯留」1960年代。

また興味深いのは、濱田が服装にもかなり気を使っていたという点です。彼は外出の際は必ずスーツに帽子という整った格好をしていたそうですが、会場ではそれらとともに、愛用のネクタイまでがいくつか展示されています。

それらは全てシルクであったそうです。濱田のオシャレな一面を見ることができました。


濱田庄司「赤絵角皿」1960年

後半は益子時代における濱田の陶芸作品がずらりと揃います。そしてこの展示がまた秀逸です。濱田は自身の食卓を彩るための器を多数制作し、多くの客をもてなしていましたが、会場ではあたかも濱田家の食卓を再現したかのようなディスプレイが行われています。

もちろん作品そのものも楽しめますが、ダイニングにずらりと並ぶ器を見ていると、多くの来客で賑わったという濱田家の日常の一コマが浮かび上がってくるようでした。

それにしてもこのダイニングしかり、最近のこのミュージアムの立体展示の上手さには舌を巻きます。展示では濱田の生活をスローライフになぞって紹介していましたが、そうした雰囲気を楽しめる会場といえるかもしれません。

ところでこの展示に全面的に協力している濱田ゆかりの益子参考館ですが、3月の東日本大震災により少なからず被害を受けたそうです。

現在は部分的に開館出来る状態とのことでしたが、再建のための募金の案内もありました。詳しくは以下の益子参考館の公式サイト、及び被害状況などを記した同館のブログをご参照下さい。

益子参考館/益子参考館再建基金(ブログ)

9月25日まで開催されています。これはおすすめします。

「濱田庄司 スタイル展」 パナソニック電工汐留ミュージアム
会期:7月16日(土)~9月25日(日)
休館:月曜日(7月18日、9月19日は開館)、8月12日(金)~8月16日(火)
時間:10:00~17:00
住所:港区東新橋1-5-1 パナソニック電工ビル4階
交通:JR線新橋駅銀座口より徒歩5分、東京メトロ銀座線新橋駅2番出口より徒歩3分、都営浅草線新橋駅改札より徒歩3分、都営大江戸線汐留駅3・4番出口より徒歩1分。
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