「田中功起:雪玉と石のあいだにある場所で」 青山|目黒

青山|目黒
「田中功起:雪玉と石のあいだにある場所で」
7/16-8/20

青山目黒で開催中の田中功起個展、「雪玉と石のあいだにある場所で」へ行ってきました。

さて横浜トリエンナーレではあの大味なスペースを逆手にとったインスタレーションを展開した田中功起ですが、ここ青山目黒には最近海外で発表した主に3つの作品(映像1点、写真シリーズ2点)を出展しています。

中でも一番の見どころは今回のメインの「だれかのガラクタはだれかの宝もの」と呼ばれる映像作品です。

田中はロサンゼルスのフリーマーケットに出展者として参加していますが、ともかくはその売っているものに要注目です。

映像も実際に「売り物」を会場に搬入する様子から始まりますが、その「売り物」とは何とロサンゼルスはよく道ばたに落ちているという椰子の葉です。ようは日頃ゴミとして扱われているものが「売り物」と化したわけでした。

まさに商品は果たしてどうした定義で商品になり得るか、そして言い換えればアートは如何にしてアートになり得るかということへの大きな問いが投げかけられています。

ちらりと横目で通り過ぎる人達が多い中、一部の人は立ち止まり、これは一体何かということや、使い道云々、さらではゴールドでも出るのかといったようなやり取りもがなされます。また自らを詩人と呼ぶ男が登場し、そこからアートとは何かを問い交わすシーンなどもありました。

それに対して田中は答えをあえて持ちません。あいまいな応答に終始することで、むしろモノの価値や意味の在り方がいかに曖昧で相対的なものに過ぎないのかを浮き彫りにしていました。

とは言え、一定の秩序は無慈悲にも絶対的です。最後は呆気ない幕切れを迎え、田中も一線を超えることなく引き下がります。彼のアイデアと試みはその場で関係した者の経験と記憶だけ残して跡形もなく消え去りました。


田中功起「美術館はいっぺんに使われる」(2011年) *横浜トリエンナーレ会場作品。

8月20日までの開催です。

「田中功起:雪玉と石のあいだにある場所で」 青山|目黒
会期:7月16日(土)~8月20日(土)
休廊:日・祝
時間:11:00~20:00
住所:目黒区上目黒2-30-6
交通:東急東横線・東京メトロ日比谷線中目黒駅より徒歩8分。
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