都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
根津美術館で「KORIN展」を開催中!
メトロポリタン美術館の「八橋図屏風」と根津美術館の「燕子花図屏風」が約100年ぶりに同じ会場で展示されていることでも話題のKORIN展。

右:「燕子花図屏風」尾形光琳 江戸時代 18世紀 根津美術館
左:「八橋図屏風」尾形光琳 江戸時代 18世紀 メトロポリタン美術館
会期は意外と短く5月20日まで、既に連日多くの方が来場されているようです。実は私も今日、シンポジウムに参加するために再訪しましたが、昼過ぎの館内はとても賑わっていました。

「八橋図屏風」尾形光琳 江戸時代 18世紀 メトロポリタン美術館
休憩を挟んで約4時間、一部討議を含む充実した内容のシンポジウムでした。その様子は出来ればまた別途、記事にまとめるつもりですが、ここでは根津美術館の野口氏の発表内容を踏まえ、取り急ぎ燕子花図屏風と八橋図屏風の鑑賞のポイントを記しておきます。鑑賞の参考にしていただければ幸いです。
とくに最後の橋の見え方は実際に試すと確かにそのようにしか見えません。右から左からと眺めてみてはいかがでしょうか。

なおお庭のカキツバタもそろそろ咲き始めました。

藤棚ももうそろそろ見頃を迎えるのではないでしょうか。
展覧会全体については報道内覧時の記事にまとめてあります。ポイントは「何故橋を描いたのか。」ということと、燕子花図へ至る前史、さらには後世の受容、つまり抱一による「光琳百図」です。
「KORIN展」 根津美術館
会期も約10日を経過し、残り20日を数えるのみとなりました。なお4/28より閉館時間を1時間延長し、連日18時まで開館しています。閉館間際までいましたが、夕方5時以降はかなり人が引けました。ゆったり鑑賞出来ます。
「もっと知りたい尾形光琳/仲町啓子/東京美術」
琳派ファン待望の世紀の邂逅、是非ともお見逃しなきようご注意下さい。
「特別展 KORIN展 国宝『燕子花図』とメトロポリタン美術館所蔵『八橋図』」 根津美術館(@nezumuseum)
会期:4月21日(土)~5月20日(日)
休館:月曜日。但し4月30日(月・祝)は開館。
時間:10:00~17:00。但し4/28~5/20は時間延長。18時まで。
住所:港区南青山6-5-1
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A5出口より徒歩8分。
注)会場内写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

右:「燕子花図屏風」尾形光琳 江戸時代 18世紀 根津美術館
左:「八橋図屏風」尾形光琳 江戸時代 18世紀 メトロポリタン美術館
会期は意外と短く5月20日まで、既に連日多くの方が来場されているようです。実は私も今日、シンポジウムに参加するために再訪しましたが、昼過ぎの館内はとても賑わっていました。
KORIN展 シンポジウム「光琳画の展開と受容」
日時:2012年4月29日(日)午後1時から4時30分
場所:根津美術館講堂
定員:100名
パネリスト:玉蟲敏子氏(武蔵野美術大学教授)、中部義隆氏(大和文華館学芸課長)、仲町啓子氏(実践女子大学教授)、野口剛氏(根津美術館学芸主任)
司会:河合正朝氏(慶應義塾大学名誉教授)
日時:2012年4月29日(日)午後1時から4時30分
場所:根津美術館講堂
定員:100名
パネリスト:玉蟲敏子氏(武蔵野美術大学教授)、中部義隆氏(大和文華館学芸課長)、仲町啓子氏(実践女子大学教授)、野口剛氏(根津美術館学芸主任)
司会:河合正朝氏(慶應義塾大学名誉教授)

「八橋図屏風」尾形光琳 江戸時代 18世紀 メトロポリタン美術館
休憩を挟んで約4時間、一部討議を含む充実した内容のシンポジウムでした。その様子は出来ればまた別途、記事にまとめるつもりですが、ここでは根津美術館の野口氏の発表内容を踏まえ、取り急ぎ燕子花図屏風と八橋図屏風の鑑賞のポイントを記しておきます。鑑賞の参考にしていただければ幸いです。
制作時期:燕子花図は光琳が40代半ば、八橋図は50代の半ば頃に描いた。時間差は10年。
サイズ:燕子花図は八橋図よりも縦に長く、横に短い。
彩色:燕子花図はかなり重厚でべた塗り。群青の青みが際立つ。八橋図はやや薄塗りで輪郭線の存在が浮き上がる。また全体に明朗で、一つの花びらにも色のグラデーションがある。
橋のたらしこみ:八橋図の左隻にある緑色のたらし込みが右隻では少ない。なお橋は何故か7つしかない。
花の形態:燕子花図は花が大きく重い。また左隻の花には金泥が混じるが、右隻にはない。一方の八橋図はスリムな上、花びらが横へのびるカキツバタの性質をよく再現している。
花群:燕子花図には花群の型紙由来のコピーがある。八橋図は同一作にはないが、燕子花図から取り入れたと思われるイメージが計4箇所見られる。
構図:八橋図に橋を挿入したのは物語性の回復を狙ったのではないか。また全体として一つの視点、やや上から橋とカキツバタを眺めた様子で描かれている。一方の燕子花図は左右で視点が違う。右隻は正面性が高く、左隻は対角線上に上からのぞき込むような視点。
視覚効果:八橋図を右横から見ると橋の水平部分のみが、左横から見ると橋の斜めの部分のみしか見えない。これは光琳が狙った効果なのかもしれない。
サイズ:燕子花図は八橋図よりも縦に長く、横に短い。
彩色:燕子花図はかなり重厚でべた塗り。群青の青みが際立つ。八橋図はやや薄塗りで輪郭線の存在が浮き上がる。また全体に明朗で、一つの花びらにも色のグラデーションがある。
橋のたらしこみ:八橋図の左隻にある緑色のたらし込みが右隻では少ない。なお橋は何故か7つしかない。
花の形態:燕子花図は花が大きく重い。また左隻の花には金泥が混じるが、右隻にはない。一方の八橋図はスリムな上、花びらが横へのびるカキツバタの性質をよく再現している。
花群:燕子花図には花群の型紙由来のコピーがある。八橋図は同一作にはないが、燕子花図から取り入れたと思われるイメージが計4箇所見られる。
構図:八橋図に橋を挿入したのは物語性の回復を狙ったのではないか。また全体として一つの視点、やや上から橋とカキツバタを眺めた様子で描かれている。一方の燕子花図は左右で視点が違う。右隻は正面性が高く、左隻は対角線上に上からのぞき込むような視点。
視覚効果:八橋図を右横から見ると橋の水平部分のみが、左横から見ると橋の斜めの部分のみしか見えない。これは光琳が狙った効果なのかもしれない。
とくに最後の橋の見え方は実際に試すと確かにそのようにしか見えません。右から左からと眺めてみてはいかがでしょうか。

なおお庭のカキツバタもそろそろ咲き始めました。

藤棚ももうそろそろ見頃を迎えるのではないでしょうか。
展覧会全体については報道内覧時の記事にまとめてあります。ポイントは「何故橋を描いたのか。」ということと、燕子花図へ至る前史、さらには後世の受容、つまり抱一による「光琳百図」です。
「KORIN展」 根津美術館
会期も約10日を経過し、残り20日を数えるのみとなりました。なお4/28より閉館時間を1時間延長し、連日18時まで開館しています。閉館間際までいましたが、夕方5時以降はかなり人が引けました。ゆったり鑑賞出来ます。

琳派ファン待望の世紀の邂逅、是非ともお見逃しなきようご注意下さい。
「特別展 KORIN展 国宝『燕子花図』とメトロポリタン美術館所蔵『八橋図』」 根津美術館(@nezumuseum)
会期:4月21日(土)~5月20日(日)
休館:月曜日。但し4月30日(月・祝)は開館。
時間:10:00~17:00。但し4/28~5/20は時間延長。18時まで。
住所:港区南青山6-5-1
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A5出口より徒歩8分。
注)会場内写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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