「アートアワードトーキョー丸の内2012」 行幸地下ギャラリー

行幸地下ギャラリー
「アートアワードトーキョー丸の内2012」
4/28-5/27



丸の内恒例の現代アート展です。行幸地下ギャラリーで開催中の「アートアワードトーキョー丸の内2012」へ行ってきました。

既に6回目ということで、若手の選抜展としても定着して来た感のあるアートアワードですが、今年も全国の美術大学の卒業制作展より選ばれた約30名の作品が展示されました。

また会期初日には審査員9名公開審査が行われ、大賞以下、各賞が決定しました。受賞作家は以下の通りでした。

グランプリ 片山真理(東京藝術大学)
準グランプリ 潘逸舟(東京藝術大学)
審査員賞
天野太郎賞 糸川ゆりえ(武蔵野美術大学)
植松由佳賞 柳井信乃(東京藝術大学)
後藤繁雄賞 井上康子(京都造形芸術大学)
木幡和枝賞 金光男(京都市立芸術大学)
小山登美夫賞 中園晃ニ(東京藝術大学)
佐藤直樹賞 有坂亜由夢(東京藝術大学)
高橋明也賞 椿凬千里(武蔵野美術大学)
長谷川祐子賞 吉田晋之介(東京藝術大学)
ゲスト審査員加藤泉賞 上村静(名古屋芸術大学)
三菱地所賞 升谷真木子(武蔵野美術大学)
シュウ ウエムラ賞 神谷麻穂(金沢美術工芸大学)
アッシュ・ペー・フランス賞 水野里奈(名古屋芸術大学)
フランス大使館賞 金光男(京都市立芸術大学)
オーディエンス賞  *観客による投票にり決定

あくまでも地下通路の側面のガラスケース内での展示ということで、空間に制約が生じるのはやむを得ませんが、それでも映像、絵画、また立体インスタレーションなど、様々な表現を楽しめるのも大きなポイントかもしれません。

先だってのニュートロンでの東北画展にて可愛らしい雪山のオブジェを出品していた渡辺綾は、同じく山をテーマとした二幅の平面を出品しています。


渡辺綾「めばえいずる・かえりいづ」2012

縦長の画面はまさに掛け軸画のようですが、下から上へと連なる山々、そして上部に現れた山と一体化した神のような人物を見ると、どこか中世の参詣曼荼羅図の世界を思ってなりません。


高谷奏帆「inevitable」2011

近未来風な球形のスカルプチャーを展示したのは高谷奏帆です。上にかかる白い液体は樹脂とのことですが、その下の素材はパッと見ただけではまさか風船とは分かりません。風船という軽い素材が樹脂と結びつくことで意外な質感を生み出します。その姿はまるでむせ返るように咲き誇る花の群れのようでした。


上村静「頭山」2012 他

上村静の二点の平面も力作です。油彩の力強いストローク、そして木炭の素早い筆致は異彩を放っているのではないでしょうか。そのざわめく画面を見ていると、キャプションの「激しい風が吹く。ドンドンドン トントンカッ すー ざっざっ それがリズムを打つ時。私は繋がろうと踊る。」という言葉がすとんと心に入ってきました。


村山まりあ「俯瞰するものたち」2012

何やら生々しい花ともうつぼのような形が全身を覆っています。村山まりあの「俯瞰するものたち」です。顔の閉ざされた等身大の人物像と、台上の頭部と靴とは如何なる関係にあるのでしょうか。


金光男「ロウ-アミ」2012

繊細なテクスチャーで勝負するのが金光男の「ロウ-アミ」です。タイトルにもアミとありますが、画面に近づくと、確かに網状のものが支持体を覆っていることが分かります。無機的なモチーフと皮膚のように爛れる表面の生々しい質感の組み合わせは絶妙でした。


水野里奈「これがかきたかった」2012 他

タッチや色遣いを大胆に変化させ、何層かに分かれた風景や人物イメージを一枚の画面にまとめたのが水野里奈です。極太で即興的な筆致と工芸的なまでに精緻なそれが同居しています。また色の強弱、余白の介入など、画面展開は極めてスリリングです。かなり惹かれました。


岡本瑛里「奪還」2010 他

惹かれたといえばもう一点、是非とも挙げたいのが岡本瑛里です。アクリルと油彩の本画と木炭などによる大下図、計2点を出品していますが、目を剥いて闊歩する奇怪な魔物ともいうべきモチーフには凄みすら感じられないでしょうか。


岡本瑛里「通りものの路(大下図)」2011 拡大

ほぼモノクロームの大下図の精緻な描写にも目を奪われます。キャプションには民俗信仰、また霊という言葉もありましたが、そうしたアニミズム的なものを感じてなりませんでした。


片山真理「小さなハイヒールを履く私」2012 他

グランプリの片山真理は圧巻です。この狭いスペースからはみ出さんとばかりのインスタレーションを展示しています。一度、その世界をもっと広い場所、例えば建物の室内のような空間で拝見出来ればと思いました。



会場は交通至便、東京駅の丸の内地下出口先です。また奇遇なことに最寄の三菱一号館美術館の「KATAGAMI Style展」も同じく5月27日までの会期です。そちらへお出かけの際に立ち寄られてはいかがでしょうか。



また観客の投票によって決まるオーディエンス賞の期限は5月13日です。投票用紙は東京駅から向かって会場入口、右側のインフォメーションセンターでいただけます。是非ともお気に入りの作品を見つけて下さい。

5月27日まで開催されています。

「アートアワードトーキョー丸の内2012」@a_a_t_m) 行幸地下ギャラリー
会期:4月28日(土)~5月27日(日)
休廊:会期中無休
時間:11:00~20:00
住所:千代田区丸の内2-4-1 行幸通り地下
交通:JR線東京駅丸の内地下中央口、東京メトロ丸ノ内線東京駅より地下直結。東京メトロ千代田線二重橋前駅7番出口より地下直結。
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