「呼吸する環礁:モルディブ・日本現代美術展 帰国展」 スパイラルガーデン

スパイラルガーデン
「呼吸する環礁(アトール):モルディブ・日本現代美術展 帰国展」
5/24-6/3



スパイラルガーデンで開催中の「呼吸する環礁(アトール):モルディブ・日本現代美術展 帰国展」へ行ってきました。

スリランカ南西、インド洋に浮かぶ島国のモルディブ共和国。アトールと呼ばれる珊瑚礁を囲む国としても知られていますが、今そのモルディブの主に自然と文化をテーマにした現代アートの展示が行われています。


アリ・ニシャン(ミルゼロ)

出品作家は以下の通りです。

狩野哲郎、荒神明香、田口行弘、中谷芙二子、藤森照信、淀川テクニック、Afu (Afzal Shaafiu Hasan)、Ali Nishan (Millzero)

さて重要なのは現地での滞在制作です。日本人アーティストは現地で様々なリサーチを行い、その滞在の経験を作品に活かしました。

だからこその帰国展です。実は本展はモルディブの首都マレの国立美術館で開催されましたが、それが大変な好評を博したということもあり、こうした日本展も実現したというわけでした。


淀川テクニック「さざれ魚」2012年

さて滞在制作という観点からもまず印象深いのは、淀川テクニックによる「さざれ魚」です。現地マレにて拾ったペットボトルなどのゴミをこのような魚の姿に象っています。


藤森照信「Human Nest,Maldives」2012年

また建築家の藤森照信はモルディブでの展覧会のために、「Human Nest,Maldives」と名付けた小屋、キャプションの言葉を借りれば「巣」を現地の人の手を借りて作り上げました。


田口行弘「MAGU」2012年

そして田口行弘はマレのイスラム教徒の女性の纏う布に着目し、インスタレーションとして展示しています。その色とりどりの布地が吊るされた様子を見ていると、どこかモルディブの街をイメージ出来るのではないでしょうか。

ちなみにこの田口はマレで撮影したアニメーション作品も出品していますが、淀川テクニックや藤森も、現地での制作の様子を映像で紹介しています。これは嬉しい試みでした。

それにしても圧巻なのはお馴染みの吹き抜け空間で展示された荒神明香の「Fenn Fashala Lens」です。


荒神明香「Fenn Fashala Lens」(部分)2012年

テーマはモルディブの海です。無数の円いアクリルレンズが吊るされ、それがさざ波のように広がり、美しい水面を描いています。


荒神明香「Fenn Fashala Lens」(全体)2012年

水面の向こうに沈む魚、そして彼方に建つ小屋、この景色こそモルディブの原風景と言えるのかもしれません。

モルディブは今、世界的な海面上昇のあおりを受け、国土の喪失の危機を迎えているそうです。海に囲まれた日本だからこその何らかの手助け、アートに限らず、もっと身近に引き寄せて考える一つの機会になるのではないでしょうか。

6月3日まで開催されています。なお入場は無料でした。

「呼吸する環礁(アトール):モルディブ・日本現代美術展 帰国展」 スパイラルガーデン@SPIRAL_jp
会期:5月24日(木)~6月3日(日)
休館:無休
時間:11:00~20:00
住所:港区南青山5-6-23
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅B1出口前。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )