「毛利悠子 おろち」 waitingroom

waitingroom
「毛利悠子 おろち」
1/19-2/24



waitingroomで開催中の毛利悠子個展、「おろち」へ行ってきました。

廃材や機械部品を素材にして有機的な繋がりをもったインスタレーションを展開する作家、毛利悠子。現在、初台のICCの「アノニマス・ライフ」にも出品中。先だってのMOTの「ブルームバーグ・パヴィリオン」(2012/5/19~6/17)の展示をご記憶の方も多いかもしれません。

その毛利が先月から恵比寿のwaitingroomで個展を開催。小さなスペースですが、これまた作家の魅力を良く伝える内容となっています。



天井には電源コード、そして足元にはハタキ、またラジカセやコイル、木机などが随所に。写真では分かりませんが、これらは可動式。ようはプログラムにそって突如、バタンと倒れたり、またブルブル振動したりしているのです。



この繊細さといえば、前エントリでまとめた利部志穂を思わせる面もありますが、毛利はどちらかと言うと、素材自体の鋭敏な感覚よりも、意外性のある動きの面白さが際立っているもの。

ハタキそのものがまるで生命を得ているかの如く倒れる姿は実に可愛げ。また不知火や雲龍と名付けられた作品も。まるで相撲です。ついつい動きを目で追っかけてしまいます。



電源コードとハタキ、そしてランプに如何なる意味があるのか。普段は意図もしない細かな機械部品自体の動き、そして何よりも相互の関係について考えさせられはしないでしょうか。

さてタイトルにもある「おろち」とは一体何なのか。何でも毛利が最近興味を覚えているという「紐」や「縄」という素材から付けられたものだそうです。

「かつて、とある電子通信機の会社の工場に、恐竜の骨格、あるいは大蛇の姿のようなグロテスクな機具が天井からぶら下がっていた。近づいてよく見てみると、それは赤、青、黄などを何十本もよりあわせ、束ねられた電線であった。そして、この“怪物”の職場の工員たちは“おろち”と呼んでいたという。」毛利悠子(リリースより)

紐や縄が繋ぐ「結び」と機械エネルギー。そこにある謎めいた関係。それを想像力で補いながら見る体験は、殊更に刺激的でした。



なお本展、さり気なく作品の背後に映る影もまた魅力です。薄暗い空間にぽっかり浮かぶ「おろち」のシルエット。それこそ生き物のようでした。

会場のwaitingroomは写美から徒歩圏内。恵比寿映像祭にあわせて是非おすすめします。

明日、2月24日までの開催です。

「毛利悠子 おろち」 waitingroom@waitingroom_
会期:1月19日(土)~2月24日(日)
休廊:火~木曜日。*オープンは月、及び金~日曜日。
時間:月曜 17:00~23:00、金・土・日曜 13:00~19:00
料金:無料
住所:渋谷区恵比寿西2-8-11 渋谷百貨ビル3F(4B)
交通:JR線、東京メトロ日比谷線恵比寿駅西口より徒歩4分。東急東横線代官山駅東口より徒歩5分。
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