都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「海のハンター展」 国立科学博物館
国立科学博物館
「海のハンター展ー恵み豊かな地球の未来」
7/8〜10/2
国立科学博物館で開催中の「海のハンター展ー恵み豊かな地球の未来」を見てきました。
サメにカジキやマグロなど、海に生きる大型の捕食者たち。そうした海のハンターらを標本ほか映像などで紹介しています。
冒頭は遥か昔、約4〜5億年前にまで遡ります。古生代です。名付けて「太古の海のプレデター」。ダンクルオステウスは古生代デボン紀に生息していました。強靭なアゴを備えています。獲物の骨も砕いたそうです。かつての魚の生態系の頂点にあったとも言われています。
「ショニサウルス 頭骨」(レプリカ) 三畳期後期 北九州市立自然史・歴史博物館
このアゴの存在こそ海のハンターを特徴付けるポイントです。中生代のショニサウルスはどうでしょうか。長い鼻をのばした顔面。やはり大きなアゴです。ぱっくりと口を開けています。
「クレトオキシリナ」(化石) 中生代 白亜紀後期 北九州市立自然史・歴史博物館
クレトオキシリナの化石も興味深い。ホホジロザメの祖先です。時は中生代。サメやエイの骨格は軟骨のため、全身の化石があまり残っていません。珍しい標本でもあります。
「カルカロドン・メガロドン」(模型) 新生代 国立科学博物館
新生代に史上最大のサメが登場しました。カルカロドン・メガロドンです。見るも巨大な復元模型。13メートルはあったと考えられています。メガロドンが強烈なのは噛む力です。一本の歯にかかる力は約18トン。想像もつきませんが、ホオジロザメの1.8トンの10倍にあたります。もちろん歯自体も鋭い。狙われたらひとたまりもありません。
「モササウルス類噛み痕のあるアンモナイト」(化石) 中生代
この噛むに関しての面白い資料がありました。アンモナイトの化石です。写真では分かりにくいかもしれませんが、表面に丸い穴がいくつかあいています。これが噛み痕です。噛んだ主はモササウルスです。時代は白亜紀。鋭い歯を持った海生爬虫類の一種でした。なお噛み痕説については異論もあり、巻貝のカサガイが削り込んだのではないかという指摘があるそうです。今後の研究の進展も待たれます。
さて現代と時を進めましょう。ここでは海を深海、極域、外洋、浅海の4つに分類。それぞれの海域ごとに捕食者ことハンターの標本を展示しています。
深海では小さなハンターが目立ちます。一般的に深海とは水深200メートル以下。より深い場所では太陽の光も届きません。さらに水圧が高く、水温は低い。フウセンウナギやビワアンコウなど独特の形状の生き物も少なくありません。
「ミナミゾウアザラシ」 国立科学博物館
ハンターは何も魚類に留まりません。例えば極域のアザラシです。特に大きいのがミナミゾウアザラシ。体長は約6メートル。南極に生息しています。アザラシ類とアシカ類最大の生き物です。顔にはどことなく愛嬌もあります。堂々たる巨体を見せつけていました。
ハンターの主役はサメです。全8目25種。通称「サメラボ」に一堂に会しています。
サメは捕食に際し、まず聴覚で音を聴き、嗅覚で匂いを確かめ、側線感覚で振動をキャッチしたのち、視覚で獲物を捉えるそうです。さらに獲物の電磁気も感じとることが出来ます。聴覚は数キロ先にまで及びます。捕食の一つをとっても複雑なプロセスを経る必要があるわけです。
「アカウミガメ」 国立科学博物館
浅海で何より目をひくのはウミガメでした。基本的には雑食ながらも、種によって好みが異なります。アカウミガメは肉食です。貝なども嚙み砕くそうです。一方でアオウミガメは草食です。海藻や海草を刈り取って食べます。ほかにはクラゲなどの浮遊生物も餌の一つです。クラゲといえば毒がありますが、ウミガメの口腔や食道は角質で覆われているため、あまり影響を受けることがありません。進化のプロセスでそうさせたのでしょうか。
「ホホジロザメ」 国立科学博物館
目玉はホホジロザメの成魚の液浸標本でした。全長3メートル。映画ジョーズのモデルでもお馴染みの生き物です。目を見開き、口を開けた姿は恐ろしい。歯は三角形をしています。この標本は2014年、沖縄県の本部町近海で網に引っかかって死んでいた個体です。後に沖縄美ら海財団へ提供。さらに科博が研究用の標本として作成しました。日本初の公開です。
ほか捕食のテクニックや人のハンター、すなわち漁業に関する展示もあります。科博が得意とする標本目白押しの海のハンター展。なかなか楽しめました。
夏休み最後の日曜、28日に出かけましたが、場内は家族連れで大盛況。かなり混雑していました。今のところ入場規制などは行われていないようですが、金曜夜の夜間開館なども狙い目となるかもしれません。
10月2日まで開催されています。
「海のハンター展ー恵み豊かな地球の未来」(@umihun) 国立科学博物館
会期:7月8日(金)~10月2日(日)
休館:7月11日(月)、19日(火)、9月5日(月)、12日(月)、20日(火)
時間:9:00~17:00。
*金曜日は20時まで。
*土曜日開館時間延長:9月3日(土)、10日(土)、17日(土)、24日(土)、10月1日(土)は20時まで。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般・大学生1600(1400)円、小・中・高校生600(500)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
*金曜限定ペア得ナイト券2000円。(2名同時入場。17時以降。)
住所:台東区上野公園7-20
交通:JR線上野駅公園口徒歩5分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成線京成上野駅徒歩10分。
「海のハンター展ー恵み豊かな地球の未来」
7/8〜10/2
国立科学博物館で開催中の「海のハンター展ー恵み豊かな地球の未来」を見てきました。
サメにカジキやマグロなど、海に生きる大型の捕食者たち。そうした海のハンターらを標本ほか映像などで紹介しています。
冒頭は遥か昔、約4〜5億年前にまで遡ります。古生代です。名付けて「太古の海のプレデター」。ダンクルオステウスは古生代デボン紀に生息していました。強靭なアゴを備えています。獲物の骨も砕いたそうです。かつての魚の生態系の頂点にあったとも言われています。
「ショニサウルス 頭骨」(レプリカ) 三畳期後期 北九州市立自然史・歴史博物館
このアゴの存在こそ海のハンターを特徴付けるポイントです。中生代のショニサウルスはどうでしょうか。長い鼻をのばした顔面。やはり大きなアゴです。ぱっくりと口を開けています。
「クレトオキシリナ」(化石) 中生代 白亜紀後期 北九州市立自然史・歴史博物館
クレトオキシリナの化石も興味深い。ホホジロザメの祖先です。時は中生代。サメやエイの骨格は軟骨のため、全身の化石があまり残っていません。珍しい標本でもあります。
「カルカロドン・メガロドン」(模型) 新生代 国立科学博物館
新生代に史上最大のサメが登場しました。カルカロドン・メガロドンです。見るも巨大な復元模型。13メートルはあったと考えられています。メガロドンが強烈なのは噛む力です。一本の歯にかかる力は約18トン。想像もつきませんが、ホオジロザメの1.8トンの10倍にあたります。もちろん歯自体も鋭い。狙われたらひとたまりもありません。
「モササウルス類噛み痕のあるアンモナイト」(化石) 中生代
この噛むに関しての面白い資料がありました。アンモナイトの化石です。写真では分かりにくいかもしれませんが、表面に丸い穴がいくつかあいています。これが噛み痕です。噛んだ主はモササウルスです。時代は白亜紀。鋭い歯を持った海生爬虫類の一種でした。なお噛み痕説については異論もあり、巻貝のカサガイが削り込んだのではないかという指摘があるそうです。今後の研究の進展も待たれます。
さて現代と時を進めましょう。ここでは海を深海、極域、外洋、浅海の4つに分類。それぞれの海域ごとに捕食者ことハンターの標本を展示しています。
深海では小さなハンターが目立ちます。一般的に深海とは水深200メートル以下。より深い場所では太陽の光も届きません。さらに水圧が高く、水温は低い。フウセンウナギやビワアンコウなど独特の形状の生き物も少なくありません。
「ミナミゾウアザラシ」 国立科学博物館
ハンターは何も魚類に留まりません。例えば極域のアザラシです。特に大きいのがミナミゾウアザラシ。体長は約6メートル。南極に生息しています。アザラシ類とアシカ類最大の生き物です。顔にはどことなく愛嬌もあります。堂々たる巨体を見せつけていました。
ハンターの主役はサメです。全8目25種。通称「サメラボ」に一堂に会しています。
サメは捕食に際し、まず聴覚で音を聴き、嗅覚で匂いを確かめ、側線感覚で振動をキャッチしたのち、視覚で獲物を捉えるそうです。さらに獲物の電磁気も感じとることが出来ます。聴覚は数キロ先にまで及びます。捕食の一つをとっても複雑なプロセスを経る必要があるわけです。
「アカウミガメ」 国立科学博物館
浅海で何より目をひくのはウミガメでした。基本的には雑食ながらも、種によって好みが異なります。アカウミガメは肉食です。貝なども嚙み砕くそうです。一方でアオウミガメは草食です。海藻や海草を刈り取って食べます。ほかにはクラゲなどの浮遊生物も餌の一つです。クラゲといえば毒がありますが、ウミガメの口腔や食道は角質で覆われているため、あまり影響を受けることがありません。進化のプロセスでそうさせたのでしょうか。
「ホホジロザメ」 国立科学博物館
目玉はホホジロザメの成魚の液浸標本でした。全長3メートル。映画ジョーズのモデルでもお馴染みの生き物です。目を見開き、口を開けた姿は恐ろしい。歯は三角形をしています。この標本は2014年、沖縄県の本部町近海で網に引っかかって死んでいた個体です。後に沖縄美ら海財団へ提供。さらに科博が研究用の標本として作成しました。日本初の公開です。
ほか捕食のテクニックや人のハンター、すなわち漁業に関する展示もあります。科博が得意とする標本目白押しの海のハンター展。なかなか楽しめました。
夏休み最後の日曜、28日に出かけましたが、場内は家族連れで大盛況。かなり混雑していました。今のところ入場規制などは行われていないようですが、金曜夜の夜間開館なども狙い目となるかもしれません。
10月2日まで開催されています。
「海のハンター展ー恵み豊かな地球の未来」(@umihun) 国立科学博物館
会期:7月8日(金)~10月2日(日)
休館:7月11日(月)、19日(火)、9月5日(月)、12日(月)、20日(火)
時間:9:00~17:00。
*金曜日は20時まで。
*土曜日開館時間延長:9月3日(土)、10日(土)、17日(土)、24日(土)、10月1日(土)は20時まで。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般・大学生1600(1400)円、小・中・高校生600(500)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
*金曜限定ペア得ナイト券2000円。(2名同時入場。17時以降。)
住所:台東区上野公園7-20
交通:JR線上野駅公園口徒歩5分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成線京成上野駅徒歩10分。
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